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濃すぎた血の愛が故

作者: 高遠

若干ガールズ、近親相姦表現があります。


彼氏に殴られた。


昔からあの人は、私を殴った。


何かが気に入らなくて


何かにすがりたくて


何かに救われたくて


彼は、私を殴った。


好きなの?


私が好きなの?


私は好きなの?


あなたを?


分からない。


分からないわ。


『殺してあげようか?』


柔らかな笑みを浮かべて言うのは


全く私に似ていない妹。


いつもは、マスクをしている妹は


何故かその日、マスクをしていなかった。


泣いている私の背後に立って


私を抱き締めるように手を回して


彼女は微笑みながら言ったのだ。


涙をすくいとる美しい指先に


優しさと愛を見出だしてしまったのは


私の心が弱かったからだろう





《殺して....くれるの...?》






掠れた声で呟いた私に


蕩けるような笑みを浮かべて


妹は、血嘲った(わらった)


『うん。殺してあげる。』


赤い舌がチラリと覗く


妹の笑みは美しいまま


『だって、お姉ちゃんの頼みだもの』


淡く輝く水を眺めるような眩しさと


底のない地獄の釜を開けたような罪悪感







《ありがとう》







翌日、彼氏が死んだ。


事故だったらしい。


車で海に落ちたらしい。


妹は、冷たい雪のような笑みを浮かべて


『良かったね、お姉ちゃん』


と、言った。


私は、妹に抱き締められながら


いいようのない苦しさと


どうしようもない想いで


がんじがらめになりながら


妹の美しい手を握った。









《えぇ....ありがとう》

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