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決心
「へー。ちなみに私は好きな人はいないよ。」
「そうなんだ。ありがとうね。」
これ以上の会話は俺には無理だった。
まあ俺にしては頑張ったほうだな。よくやった、俺。
家に帰り、日課のネットサーフィンを始めた俺に一抹の疑問が生じた。
あれは彼女の本音なのだろうか、と。
もしかしたら、彼女には思い人がいるんじゃないのか。いや、それどころか彼氏がいるんじゃないのか。
俺みたいな友達(仮)に恋愛事情を赤裸々に語るだろうか。いや、、語らない。恋愛話なんてかなり親密な間柄じゃないと出来ないだろう。
俺の中のモヤモヤした感情が大きくなっていった。
耐え切れなくなった俺は、左耳を触る覚悟を決めた。
明日、彼女の本音を聞き出そう、と。




