告白(の導入ともとれる会話)
「好きです。付き合ってください。」
「ありがとう、でもごめんね。」
だめだ。
何度シュミレーションしてもうまくいく気がしない。
俺は朝起きてからずっと告白の妄想、いや練習をしていた。
しかしながら、まったくうまくいく気がしない。
頭の中で告白を繰り返すたびに、振られる印象が強くなっている。
もう放課後まで時間がない。明日に持ち越すのだけはどうしても避けたい。
また放課後まで悶々とするのはとてもじゃないが耐えられない。
ええい、あったって砕けろだ。俺は一瞬やけっぱちになって、
「中井さんって好きなひといるの?」
急に話しかけられたのに驚いたのか、突拍子もない質問に戸惑ったのかはわからないが彼女の可愛い目がぱっちりと開いていた。
「なんでそんなこと聞くの?」
まあ、そういう返しが来るよな。
わかってはいたが、やはり返答に困る。
俺には友達がいない。彼女がそれを知っているかはわからないが(まあ、俺の周りに人がいたことがないのでバレバレだろうが)、友達が知りたがってる路線は非常に危険だ。誰が聞きたがってたの?とか聞かれたら即刻アウトだ。
そうなったら残された選択肢は俺の中で一つしかない。
「いやっ、ちょっと気になっただけだよ。」
これは友達が知りたがってるんだ作戦よりよっぽど危険だ。
気になった?こいつ私のこと好きなんじゃねえのか。ぼっちがなに色気づいてんだよ。先に友達作れや。などと思われる可能性が大なのだ。
だが、俺は彼女がそんなひどいことを考えるような子じゃないと思ってる、というより願っている。
だから、おれはこの危うい発言をあえてした。だって彼女は天使に違いないから。
さあ、返事を下さい。




