表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
建前  作者: GAKI
35/38

中井瞳

人間ではない。

彼女はそう言った。しかし、俺はそのことにそこまで驚くはずがなかった。彼女の心は読めない。それだけで十分俺の中では超上じみているからだ。

だがそれは前の俺だったらの話だ。俺は一度彼女に自身がユーマだと嘘ぶかれている。嘘の嘘は真実だが、それに嘘が続いてもおかしくはない。嘘の嘘の嘘は結局、嘘だ。

「信じてくれないんだ。一度は愛し合った仲なのにね。嘘かどうかなんて最初はどうでもいいっていってたじゃん、あいだみつを風に。」

俺は驚きを隠せなかった。彼女に愛し合ったなどといわれたことにではない(ほんとは超うれしかった)、俺が口にしていない言葉、そう俺が心の中で思っていたことを知っていたのだ。

開いた口が塞がらない俺に対して彼女も口を閉じることはなく、

「山倉君はさ、最初から私のこと気になってたよね。容姿端麗な美少女で、俺が彼女の支えになるんだ、みたいなもてない男が抱くテンプレ青春ストーリー描いてさ。なかなか聞いてて面白かったよ。滑稽といったほうが正しいかったのかな。まあ、そこからは毎日私のことばかり考えてたよね。そのくせ、全然話しかけてはこなかったけど。」

俺はまた驚いた。彼女とても雄弁なことに、さらに初日俺に面白いねといった背景に。

流石の俺もそこまで馬鹿ではない。

彼女に尋ねることは決まっている。いや、尋ねる必要はないのかもしれない。

俺は彼女の言動の確実性を保証する術を持っていない。

だが、今はそれが問題なのではないのだ。彼女の口から聞きたいのだ。

「君は俺と同じ境遇なんだね?聞こえるんだ、人の気持ちが。」

「そうだよ、君と同じ、いやそれ以上の存在だよ。」

ここから先も彼女のターンだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ