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衝撃への前章
それから先は幸せな人生だった。
毎日登下校も一緒、昼食も一緒にとった。
彼女はいつも俺を気にかけていた、というよりも残念ながら俺の能力についていつも興味津々だった。
「それは誰の心の声でも聞こえるの?」とか「特定の人物だけの心の声を抽出できないの?」とか「そんなに人の心の声を聴いていてよく廃人にならなかったね。」とか「へー、いつそのスイッチを見つけたの?」。
俺はどの質問に対しても彼女にできるだけわかりやすく伝わるようにかみ砕いて説明しようとした。
しかしいかんせん、国語力の低い俺にはそんな芸当ができるはずもなかった。
日頃、勉強していなかったことをここまで後悔した日はない。
そんなこともつゆ知らず、成績優秀な彼女は俺の拙い説明でも大半を理解していた。さすが俺の彼女だぜ。
そんな自分の能力を明かす日々が続き、少し疲れが出てきた俺に対し(本当は女の子と接するのに慣れていないだけなのだが)彼女はこう言ってきた。
「ありがとう、じゃあ次はこっちの番だね。」




