幸福
中学時代を思い出す。
あの時の俺は若かった(今もピチピチだけどな)。
一目惚れして、献身的にアピールしつづけた女の子、最終的にはクラスの中間層の微妙なやつと付き合いやがった。そのときに、
「私はナイトより王子様の方がタイプなの。自分に自信がある人って素敵じゃない?」
はあ?わけわからんわ。顔もそこそこ、運動、勉強もそこそこなやつのくせしていっちょまえのプライドをもってるやつのどこがいいんだよ。
俺はそのことから女という生き物がいかに不可思議な存在なのかを学んだ。女の子はみんな自分の考えとは違うんだ。そんな今思えば当たり前のことである。
そう、みんなちがう。
この子は特別なんかじゃない。俺は目の前にいる美しさの塊を見て思った。
「付き合ってください、貴方のことが好きです。」
口が滑った。
「貴方がどんな存在であろうと構わない。それでも貴方が好きなんです。」
思っていることがすべて口から出た。
このタイミングはないだろ。相手の質問に答えもせず、自分の好きなようにしゃべる、一方的に話すなんてあのばか野郎と何もかわらないじゃないか。そう自省する間もなく、
「いいよ、きみのこと知りたいし。」
なんですと。
かくして俺と自称美少女ユーマとの交際が始まることとなった。




