劣等感
そんな学校のヒーローにだよ。
笑われた俺はどう思うだろうか。
まず第一に、俺のメンタルは鋼じゃない、ガラスだ。それも、強化ガラスじゃない。
だから、全く気にならない何て事があるはずがない(言ってて悲しくなるが)。
第二に、俺はドエムじゃない。
やったあ、ヒーローに笑っていただけたよ。
恥ずかしいけど、快感を禁じ得ないよ。
何て思わないし、思いたいとも思わない。
だから俺に残る感情は、羞恥しかない。
うつむいて、顔が赤くなっていく。
体が熱くなっていく。
ただそれだけだ。
だが、それだけのことが高校生の俺には、春を思う季節真っ盛りの子供には辛いのだ。
目上のひとに、自分より優れた人間に笑われることは。
劣等感が募っていくのだ。
自分には何もない、だが同い年で同じクラスのあの女の子には、能力があり人望がある。
嫉妬、いや違う、自己嫌悪だ。
何もしてこなかった自分が、努力して様々なものを持った人間を目にして、いやおうなく比べてしまって、自分がどれだけ愚かで小さな人間であるかを見せつけられているだけだ。
俺はそれに耐え切れず、授業が終わるとすぐ机に突っ伏した。
涙は他人には見せない主義なのだ。




