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女神の助け
「瞳って彼氏いるの?」
俺の席の隣で勝利の女神が尋ねた。
ここでいう勝利の女神とは、中井さんと最初に友だちになり、気心を知り合ったクラスメイトの渡由美のことだ。
普段は、お前には音量調節機能がないのかと思うくらいの大きな声が、今の俺には心地よい天使のささやきに聞こえる。
有難う、由美様、渡様。
さて、舞台は整った。
俺の能力の見せ場がようやく来たようだぜ。
俺は全神経を耳に集中させ、愛しの瞳ちゃんの声だけの抽出を試みた。
よし、いける、、、はず。
さあ、さあ、こい。
ばっちこーーい。




