表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方秘封活動記  作者: 紅き蠍
第一章 アカイキリ
7/20

第七話 フェーズ1

…………





………………………




………………ここは…………どこだ?




ベッドの上か?




朦朧とした視界の中で見えるのはベッドに横たわっている自分の体だ、上半身の服はない、

所々凍りついている。どうやら傷口を氷でふさいでいるようだ。氷は少し赤くなっている。



「あ、起きましたか?まだ寝ていてください、傷口が開いてしまうので……氷でふさいでいますが…」


緑の髪の少女が俺に話しかける。彼女は白いシャツと青い服を着た至って普通の少女だ、唯一違う点は背中には羽のようなものが生えている。


腰についている筈の注射器が見当たらない。



「腰についていた注射器はどこにある?」



「ここでしょ?大ちゃん」



青い髪の白いシャツと青いのワンピースを着て、頭に青いリボンをつけた少女が答える、その手のひらには最初に持ってきた三本の注射器が乗せられている。



「それをこっちに持って来てくれるか?氷も溶かせるか」



注射器を持っている少女に話しかける。彼女は素直に注射器の内の一本を俺の手の上に置いた。



「氷を溶かすのは火じゃないと…チルノちゃんは離れてて、溶けちゃうから」



溶ける?人間が火に近づいただけで溶けるはずはない。



緑の髪の少女が暖炉の火をランプに移して、凍った所にランプを近づける。



しばらく炙れば氷が溶け始め、水がながれ始める。



氷で見えなかった傷口が姿を表す、内臓までは届いていないが、それでも大量の血を流している。



俺は氷が溶けきったことを確認して注射器に入っている血を左腕に流し込む。



するとどうだろうか、先程まで血を流していた傷口はみるみるうちに塞がり始め、血が止まって行く。



やがて血を拭うと元々傷があった所は元の健康な皮膚に変わっている。



その光景を見た少女達は信じられないという目つきで俺を見ていた。


これが俺の自然治癒力を上げる能力だ。


まだ少し痛む、だがそれも数分後には完全に痛みは引いていた。



「こういう体質なんだ、すまない、君たちが助けてくれたのか?」



「あたいが見つけてあげたんだからね!感謝しなさい!」



青い髪の少女が胸を張る。

どうやら二人で助けてくれたようだ。



「名前は?俺は下谷亮だ」



「私は大妖精といいます、こっちはチルノちゃん、私達は妖精なんです」



妖精?なんだそれは、人間とは違うのか?



「妖精は自然から現れて決して死にません、死んでもしばらくすれば復活する、そんな存在なんです」



大妖精が言う。



「ここはどこなんだ?」



「ここは霧の湖です、私の家なんです」



先輩達がどこにいるか知りたい。



「俺を見ていた、ということはもしかして俺の先に落ちてきた二人の女性は見なかったか?」



「それなら紅魔館に連れられて行ったよ、紅魔館は崖の上」



崖の上……ロープは木に引っ掛けてあるままだ、落ちて来ているから回収できそうだ。



「教えてくれてありがとう、もう行かなくては」



ベッドから立ち上がり、扉の近くにあるカバンをとり、扉から出ようとする。



「ちょっと待ってください、今外は非常に危険です、最近本当にこの周辺がおかしいんです、チルノちゃんの家も壊されちゃって……

その二人の女性は紅魔館にいれば安全です、私達がここから出す方法を探すのでこの家から出ないでください」



「すまないが、忠告には従えない、どうしても俺はあの二人をたすけなきゃならない」



それだけ言って出ようとすると、チルノが大妖精に話し出した。



「行こうよ大ちゃん、外の様子の原因も知りたい、もしかしたら……紅魔館に原因があるのかもしれない」



大妖精がそれを聞くと、大人しく準備を始めた。



「チルノちゃんがそんなことを言うなんて珍しい……分かったよ、私も行く、その代わり、チルノちゃんが怪我したらそこで終わり、私は家に帰るからね」



大妖精がチルノに向かって忠告した。



「ところでさ、亮って上の服を着ないの?」



チルノに指摘される、



忘れてた。

















































上着を着て、準備が完了し、外に出る。大妖精とチルノの二人は既に外に出て俺を待っていた。



「紅魔館の崖ってのはどのくらいの高さだ?」



「少なくとも20mはあります、人間が登れるような突起が無いのであなたは無理だと思います、私達は飛べますが……」



「それなら一つ方法がある、湖はどっちだ?」



少女二人が成人に近い男子を持ち上げられるはずはない。



なら、ロープを使えばいい、ロープの端を彼女二人に持ってもらって上の突起にでも引っ掛けてもらえばいい。



「湖に行くんですか?!あそこはもっと危険です」



「あっちだよ、でも気をつけて、あそこは霧が濃くて周囲が見にくいから」



チルノが霧で満ちている方を指す。



ガバメントの残弾を確認する、よし、ちゃんと本体にも入っているし、左右のマグポーチにも二本ずつ入っている。



カバンに穴が空いた形跡はないからよし、準備完了。



穴の中は日が差していない筈なのに明るい、太陽が無いからか曇り空のような感覚になる。



まあ、そもそも太陽の光は霧で届いてないんだけどね。



スライドを引いて薬室に弾丸を入れる、発砲すれば大きな音が出る、その音は当然こちらに気づいた者が来るだろう、それが味方する者か敵かはわからない、

十中八九、敵だろう、そうなれば一発でも外せば大変なことになるだろう。


リロードの時間と狙う時間を考えると外せば一気に不利になる。気をつけなければ。



銃を持って下に向ける。

ついて来るよう指示し、首に掛けているライトを点灯する。




足が付いてからハンドガンを抜いて奴らに攻撃を始める。



以前よりも若干ではあるが、照準のブレが少なくなり、狙いやすくなった、このハンドガンの弾薬に慣れたのかもしれない。



以前は3発程外してしまったが、今回は一発も外してない、これも慣れなのか?



しかも倒して行く度にどこが弱点かわかるようになって来た。

あの光っている額当たりを狙うと良いようだ。



試しに一発額に撃ってみると、一撃とはいかないがかなり怯む、その隙にもう一発撃ち込めば確実に倒せる。



直ぐにチルノ達の所へ向かう。



「よし、行くぞ!先に行け!」



チルノ達を先に大妖精の家へ向かわせ、ここでしばらく迎撃する。



銃声がこの洞窟内で響いている、こちらの存在を大きく示しているようなものだ。

次々と狼のような生き物がやってくる。


銃で撃って怯ませてからキックで他の者と一緒に吹き飛ばす。



波が途切れた瞬間を狙って撤退する。

大妖精の家へ向かうには崖を登る必要がある、岩に掴まって登れるぐらいの崖だ、一旦そこまで退避する。























































崖の岩に手を掛けて登る、ここまで登ることは奴らにはできないはずだ。



案の定、下から威嚇してくるだけだ。



ハンドガンで仕留めつつ崖から少し離れる。結局奴らは後ろを振り返って逃げて行った。



それを見届けた後、大妖精の家へ向かう。



道中、焦げた匂いが鼻を突く。


もしかして……




チルノ達は大妖精の家だった物の前に立っていた。



家は完全に崩れ、一部が燃えている。



「やっぱり……これで奴らの怒りを買ったのよ……」



かける言葉が見つからない。唯何もできずに立ち尽くしていた。



そうしている間に奴らの声が聞こえてくる。



悔やむ時間は無い、直ぐに逃げなければ、紅魔館に逃げれば大丈夫だろう。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ