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東方秘封活動記  作者: 紅き蠍
第一章 アカイキリ
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第六話 Fall down

《岡崎教授からお電話です》



しばらく呆然としていると、教授から電話がかかってきた。



「はい、亮です」



《もしもし?亮君ね、今すぐ学校に来てくれる?》



何でだ?市民に外出禁止令出てるのに来いとは。



《そのことなんだけどね、今日たまたま蓮子とマエリベリーがすごく早く来てるのよ、それも規制が出る一時間前に、それで蓮子が調査しに行くって聞かないのよ、だから……》



「あーわかりました、所謂”出勤命令“ってやつですね、いいですけど警察に出会ったらどうすれば?」



《この霧よ、うまく立ち回れば貴方は幽霊みたいなものよ、可能な限り音を出さないことが求められるわ、わかるわよね、もし見つかっても私の方でもみ消すから》



それでいいのか警察。



《でも、さすがに殺しまですると擁護できないわよ、できるだけ面倒事は避けて頂戴、後は頼んだわよ》



……準備するか。



まず、ロッカーの鍵を電子番号で解錠する。


中にはハンドガンケースに入っているハンドガン、マグポーチ、ウエストバッグ、バックパック、ホルスターといった武器関係の物に、


五十メートルロープ、ジップライン用フック、ワイヤー射出機、望遠鏡といった一見したらプロの覗きにしか見えない装備が入っている。



バックパックを背負い、ヒップホルスターを腰の右手側に着ける。


ベルトをつけたマガジンケースを両肩に掛ける。



バックパックにはマガジンが十本、肩に掛けたマガジンケースには二本づつ計四本、本体に一本で計98発の弾丸を持つ。



バックパックには先程言った物を全て入れ、食料、簡易寝袋、ライター、吊り下げ式鍋も入れておく、これで少なくとも先輩達は遭難しても大丈夫だ。

一応、薄めた血に漬けたバンテージも入れておく。



ハンドガンの装填を確認、ベルトのホルスターに自分の血が入った注射器を差し込み、玄関を出た。
































































Side マエリベリー・ハーン



「先生、本当に呼んだんですか?長くないですか?」



「ちゃんと電話したわよ、貴方達みたいに異常に早く起きて学校に来てるわけじゃないのよ、規制があって……ちょっと待って、電話が入ったわ」



そう岡崎教授が言うと、ポケットから赤いスマートフォンを取り出して話し始めた。



話が終わると、窓際に向かって歩いていき、窓を開ける。



すると向こう側からワイヤーが伸びて来て部屋に入る。


そのワイヤーを岡崎教授が部屋の扉に括り付けた。



「それはなんですか?」



「すぐにわかるわよ」



そういった時、窓の向こう側からジリジリとワイヤーが擦れる音が聞こえてくる。



「お待たせしました、玄関が封鎖されていたので、ジップラインを使ってしまいました」



窓から亮君がフックに手を掛けたまま窓からやって来た。窓枠に手を掛けて乗り越え、ワイヤーの端を外して何やら巻き取り機の様な物にセットすると、向こう側のワイヤーが一気に回収されていく。



こんな物もあったのね……すごい人ね。



「それで、どうするんですか?本当に調べにいくのですか?」



「どうなの?蓮子」



蓮子が少し悩んでからすぐに決断した。



「行くわよ!世界の謎を調べるのが秘封倶楽部の使命よ!」



私はため息をついて地図を出す、亮君は端末を取り出していじり出した。



「霧の発生地点はこの山です、この下の写真は霧のせいで見えません」



私の広げた地図に亮君が端末を置く、どうやら地図と同期させたらしい。



「この山の麓まで行くのはバスが早いわね、でも、規制の出てる今はバスなんて出てないでしょうね」



私がそう言うと、亮君は驚くことを言い出した。



「いや、一つだけ方法があります、教授、京都市バスの運行ログをいじれますか?無理でも消すことは?」



「できるわよ、私を誰だと思ってるのかしら?」



確か教授って警察の幹部に知り合いいるんだったかしら、すごい会話ね。



「それなら方法があります、行きますか?」



「行くに決まってるわよ!準備しなさい!」



「分かったわよ……じゃあ行きましょう」

































































Side 亮



学校前にあるバス停の前に移動した。



「それで?手って何?」



左手をバス停の情報受信用アンテナに合わせ、右手でスマートフォンを持つ。



「ダイブ、イン」


専用のプログラム起動コードを呟いて起動する。



網膜に投影された電子ネットワークの一本を捕まえ、端末まで引きずりこむ。



「無理だ!三十秒以上は耐えられない」


端末をいじって運行ダイアを変更する。



「さっきから何してるの?」



「クラッキングです、今はバス会社の運行ダイアを変更しています」



「……大丈夫なのそれ……」



「教授にダイアログを消してもらうんで大丈夫ですよ、バスが来ましたよ」







































































山に着いた。



「一応、僕は武器を持っているので、何かあっても対処できますが……離れないでください、さすがに離れすぎると狙えません」



腰から拳銃を引き抜き、装填する、二人とも拳銃を見て絶句している。



「行きましょう、私が一番後ろにいます」



先頭に蓮子先輩、メリー先輩と続いて俺が並ぶ。


目標地点は山の中腹だ。



道中は特に何か起きたわけでも無い。



「ここから霧が出てるのね?」



「はい、衛星画像ではそうなってます」



「なら、入り口を探さないとね」



少し後ろを見る為目を離したその時だった。



『きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』



「メリー先輩!蓮子先輩!くそッ!」



すぐにロープをすぐそばの木に括り付け、端を固定する。


反対側のロープを穴に落とし、体の左側にロープを通し、右手をロープの上、左手を腰辺りのロープを握りゆっくり滑る様に降りる。

ラペリング降下だ。



壁面を蹴りながら、ロープを持つ手を緩め穴を降りる。


中々深い穴だ、先は真っ暗で見えない。もしここで手を離せば下に湖でも無ければ死ぬだろう。


そうであれば蓮子先輩やメリー先輩は死んでしまっているかもしれない、だが、一応死亡確認と死体の引き上げはしないといけない。



そうでないことを願いたいが……



突然、上の方で轟音が響く。

と同時にロープの張りが弱くなった。



いきなり落ち始め、壁に飛びついて落下を防ぐ。

岩に手を掛けてなんとか耐える。



ふと上を見ると頭の上に木が落ちて来た。回避できない!



衝突する瞬間、目から火花が散り、手に込めていた力が緩みかける。

手は離れなかった為、なんとか落下は免れた、


だが、今度は掴んでいた岩が緩み、崖から外れる。


岩と共に穴を落ちていく。五秒の自由落下の後、湖に叩きつけられる。



その衝撃で気を失いかけ、覚醒したと思った時、自分のからだに何か乗っているのを感じた。


自分と共に落ちて来た岩だ。



岩と地面に挟まれ身動きがとれない、

とにかく岩をどかす為、手に力をかける。



岩がようやく動き、浮かぼうとした時、空気の限界がきた。口から息が漏れ、意識が遠のいて行く。



完全に脱力し、沈む感覚を持っている時、

二つの小さな細い腕が俺の腕を掴んだ時、

完全に意識を失った。





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