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東方秘封活動記  作者: 紅き蠍
序章 ハジマリ
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第二話 夢

2000年のある日、突如NASAの観測機に一つの小惑星が発見された。その小惑星は地球の軌道上に直撃することが判明。

ギリシア神話の死を司る神からタナトスと名付けられ、直ちに対策本部が立てられた。



彼等は当時先端技術だったレールガンを設計、七機のレールガン発射基地をアルテミスと名付け、小惑星を迎撃しようとした。



そして、2012年、12月21日、遂に小惑星が落ちてきた。当時戦闘機に乗り、状況を確認していた人はこう言った。



『まるで空から星が落ちてくるようだ』と。



小惑星の迎撃には成功した。

地球の総人口の三分の一が死滅した程度に。

それにより、地球の総人口は47億人になった。



一番被害が大きかったのは中国や朝鮮半島で、今回落ちてきた小惑星の四分の一が中国や朝鮮半島に落下したため、中国や朝鮮半島は穴だらけになり、全ての中国人や朝鮮人は死亡した。



さらにこの小惑星の迎撃により発生した隕石は生命にとって毒のガスを放出し、墜落地点の付近を不毛の土地にした。



しかし、人類もやられっぱなしではなかった。



墜落地点の近くに住んでいた人達に免疫ができた。

その免疫は、所有者を病気にかかりにくくしたり、夜目が効くようになった。免疫所有者の総数は生存者の3割。



さらに免疫所有者の1%の人間には特殊な能力が与えられた。

ある者には一瞬で答えを導ける能力を。

ある者には自由に姿形、顔を変えられる能力を。

ある者には五感が超強化される能力を持った。



その者たちはこう呼ばれた。



【スペックホルダー】と。





「はい、ここが君の新しい部屋になります、荷物もきちんと届いてます、綺麗に使ってくださいね?」



午後三時ごろ、到着したアパートの管理人さんに自分の部屋を案内してもらい、お礼をして、自分が持ってきた荷物を整理し始めた。

ダンボールからエアソフトガンのMk-23ソーコムピストルを取り出して眺める。

やっぱり銃はかっこいい。

…と、そんなこと考えている暇は無い。さっさと片付けないと今夜は床に寝ることになる。さっさと片付けないと。



カレンダーの今の日付を見ながら、俺がこんなに早く来ているかを確認する。



合格が決まったその次の日だ、学校から一本の電話が来た、内容は。



『話したことがあるから、三月十一日にくるように』



今日は三月十日、明日大学に出向かないといけない。そのためにここに来た。



とりあえず、今日は近くのコンビニで弁当を買ってきて食べ、眠くなってきたため、もう寝ることにした。

































その日、夢を見た。



寂れた神社。



空を覆い尽くす赤い霧。



四月なのに雪が積もる日。



いつまでも変わらない春の陽気。



夜が明けない日。



ありとあらゆる花が咲き誇る日。



一人の巫女が消えていく風景。



局地的な地震が多く発生し。



様々な場所から突然間欠泉が出る街。



巨大な飛行船が街を隠す景色。



人の霊が見え、街を遊歩する景色。



そして、山に多くの武装した集団が集まる景色を。




そして、誰かの呼び声とともに、




彼は、静かに、目が覚める。




「朝、か……」



ひどい夢を見た気がする。



素早くベッドから降り、かけておいた服に手を伸ばす。



上は白の長袖シャツに迷彩柄のフード付きパーカー。下は動きやすくするために少しだけ余裕のあるジーンズ。



鏡を見て服にシワやゴミがついてないか確かめる。ないようだ。



そして、あらかじめ買ってあるパンを食べながらテレビを見る。



『先日、首相より発表された消費税率を引き上げるという発表を受けて関係各所は緊急の調整を行っています』



『昨日、午後三時ごろ京都府の山にて火事が発生しました、怪我人はいませんでした』



どこも似たようなニュースしかしない。それもそうだ、日本国民は行動の自由を保証された代わりに、特定の事件や出来事には深く詮索できないようになった。



だが、一部の人間はまだしているようだが。



左耳に掛けてある小さな黒い補聴器のようなものを起動する。



AR……拡張現実と呼ばれるシステム。これをつけることで、日常的に必要な情報を視覚化できる。



とりあえず、FPSをして昼まで待つと。



「Ryo, did you wake up?Let's go out. (亮、起きてますか?行きましょう)」



隣の友人……エドワードが声をかけてくる、彼はアメリカ合衆国からはるばる日本の文化を学ぶため、やってきたそうだ、今日は大学内の図書館で調べるらしい。



「Ah, okay, go now. (あぁ、わかった、今行く)」



彼も昔海兵隊の基地が近くにあり軍人に憧れていたそうだが、喘息を患ってしまい、仕方なく諦めたそうだ。

そのせいで……そのおかげか、彼とは

仲良くなった、俺の英語も良くなったから万々歳。



「It is a dull face. Did you see ghosts?(冴えない顔ですね。幽霊でも見ましたか?)」



「All right. No problem(大丈夫だ、問題ない)」



一応携帯と受験番号を書いた紙、志願書を持っておく。



「Into which extracurricular activities do you go?(あなたはどのサークルに入る?)」



「I am not yet selected.(まだ決まってない)」



サークルか…親バカなあの夫婦ならかなりの仕送りが来そうだ、バイトはしばらく大丈夫そうだが…普通のサークルには入りたくはない、自分を探すため、自分を変えるために入学したのに、普通のサークルに入る意味が無い。



そういった会話が長く続き、ついに学校に到着した。



「Are you ready?(準備はいいか?)」



「Yes, Ready.(はい、いつでもどうぞ)」



そうして俺たち二人は学校内へと入っていった。











































職員室と校長室は何故か二階にある。図書館は別館だが、一応職員室で許可をもらうらしい。



館内に入り階段を上って踊り場から次の階に上がる階段を上る時だった。



「えっ、ちょっと……き、きゃあァァァァァァ?!」



上からワイシャツのような物を着た黒いソフト帽をかぶった女性が落ちてきた。



「おっとっととと…うわァァァ!!」



ちょうど俺の上に落ちてきた。

その時だ、突然記憶がフラッシュバックした。



トラック……赤信号の道路……一人の少女……跳ね飛ばされる人……倒れた人から流れる血……



気づいた瞬間に背中から衝撃がきた。

腹に落ちてきた為に六段程背中から落ちてしまったようだ。



「あぁ………くそッ……」



「Are you okay? Princess?Is there the injury?(大丈夫ですか?お嬢様?御怪我はありませんか?)」



「え、ええ、大丈夫、ありがとう」



先に女性を彼が起こす。



「Are you okay? Ryo? Blood flows from a back . (大丈夫ですか?亮?背中から血が出てますが)」



「Okay, I heal quickly.(大丈夫、すぐに治る)」



その後すぐに立つ。



「ちょっと!蓮子大丈夫?!」



すぐに後ろから別の女性がやってきた。



「ええ、メリー大丈夫よ」



そう蓮子と呼ばれた女性が言うと、メリーと呼ばれた女性はよかった、とつぶやいた。



「ごめんなさいね、大丈夫かしら?」



蓮子さんが俺に話しかけてくる。



「ええ、大丈夫です、慣れてますから」



慣れている、という単語に疑問を持ったのか、首を傾げるが、急いでいるので、と言ってすぐに去っていった。



ただ、どこかで彼女を見た気がする……最近ではない、もっと昔に。






























Side 蓮子



「メリー!早くしないとカフェのデザートが売り切れちゃうわよ!」



私は講義が終わってからすぐにメリーと合流して、いつものカフェに直行しようとした。あのカフェのパフェがすぐに売り切れてしまうため、終わった後、すぐに行かなければならないのだ。



ただ、その日は少し調子が悪かったようで、階段の手前で滑ってしまった。



「うわぁぁぁぁぁ?!」



「れ、蓮子!?」



落ちたらマズイ!そう思い、階段のギリギリで耐えようとした…が。



「えっ、ちょっと……き、きゃあぁぁぁぁぁ!!」



落ちてしまった。大怪我覚悟で目を閉じてしまい、次に目を開けると……



「あぁ…くそッ…………」



白のシャツに迷彩?柄のパーカーを着た男子が下敷きになっていた。



その人の顔を見た瞬間、記憶がフラッシュバックしてきた。



横からくるトラック……運転手の居眠り……跳ね飛ばされる瞬間……突き飛ばされた後の自分の立っていた場所……



「Are you okay? Princess?Is there the injury?」



「えっ、ええ、大丈夫、ありがとう」



隣にいた茶髪のアメリカ人のような人が手を差し伸べてくる。その声で気がついた。なんて言っているかわからないけど。

(※蓮子は完全理系型の人で英語が苦手です)




彼はすぐに下敷きになっていた人にも手を差し伸べて起こした。



「ちょっと、本当に大丈夫?」



その後にすぐにメリーがやってきた。

とりあえず、下敷きにしてしまった人に謝ることにした。



「ごめんなさいね、大丈夫かしら?」



「ええ、大丈夫です、慣れてますから」



慣れている?何に慣れているのだろう。



とにかく、今急いでいることを思い出し、メリーを連れて謝りながら、カフェに向かうことにした。



「蓮子、さっきの人大丈夫かしら?」



「きっと大丈夫じゃない?」



そんな会話をしながら、途中まで来た時、脳裏に昔の思い出が蘇った。




あの人と、会ったことがある……?







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