第十八話 新たな武器
あけましたおめでとうございましたぁ!
(新年から一ヶ月半経過)
気がついたら、前回の短編を投稿してからもう六ヶ月経ってしまいました、今年からは投稿する期間を空けないようにして行きたいと思います。
一面に広がる草原に私は立っている。
吹き抜ける風が顔を撫で、髪を空へと流す。
ーーやっと、目覚めたのね。
誰かの声が聞こえる。
でも、周りを見渡してもどこにもいない。
ーー無駄よ、私はあなたの心の中にいるの。
ーーでも、もうすぐ会える、あの血を飲めば、あなたは私に会えるわ。
あなたは誰なの?そう声に出そうとしたとき。
ーーでは、時間ね、また会いましょう……___
GHHJSTWiKJFGGRPLM
FDSFFJKJGDEAQtHCJ
DUJTWATIPJBNC'sDWAHV
GETSFGHmKJNBCZSEHKOJTW
FRWFHVeJKJVCKBHFVHJG
第二章 オミワタリ
「人が人であるためにはどうすればいいの?」
少女は少年に問うた。
少年は答える。
「思い続けること、ただそれだけ」
ここは京都内のとあるピザ屋。
その警備室。
その部屋に彼はいた。
彼のいる警備室以外の照明は落とされ、昼間とは全く違う様子を見せている。
タブレットに監視カメラの映す映像を見て、彼は椅子の左の肘掛けに設置された扉のスイッチを押す。
すると、左側の電磁ロック式の重々しい扉が閉まる。
しばらくすると、重い足音の後、扉が叩かれる。
四回程扉を叩いた後、再び走り去る音が聞こえる。
椅子についている小型のLEDライトのスイッチを入れると、小さな窓に何かの影が写る。
彼はそれを一瞥すると、左の扉を閉じたまま、右の扉もライトで確認しようとする。
そこで、鐘が鳴る。
こうして、彼の土曜のみのバイト、
【ピザ屋の深夜警備員】の仕事が終わった
《俺が斡旋したバイト、どうだ?》
「もう少しまともなのは無いのか?土日だけ出て一万五千は格別で、お前の用意したモーションセンサーと追加強力バッテリーのおかげでなんとかなってるけどな」
日曜日の昼、有澤から連絡が届いた。
そのついでに買い物をしていると、バイトの話になる。
《ふむ、わかった、また別のバイトを探しておく、それまで頑張ってくれ》
「それで、俺に伝えたいことあるんだろう」
《ああ!そうだ、お前に朗報だ、政府からショットガンの購入許可が出たぜ、料金さえ支払ってくれればいつでも届けられるぜ》
政府発行の銃所持許可証は、所有している間、犯罪を行わなければ、徐々に解禁されていく。
ただし、一度でも警察のお世話になると取り消される。
「ショットガンか、前の事件で火力不足を感じていたからな、このタイミングはナイスだ、いくらだ?」
《ふむ、一番高いので八万だな、買うか?》
そこで彼は通帳を確認する。
そこには0が7桁書かれている。
それも一週間ごとに親名義で振り込みがある、一回につき五十万くらい。
あの親バカ共め……そんなに使えるかよ……
そう再認識して、購入を決断する。
《毎度あり!M870をお届けするぜ!》
すぐに宅配便がチャイムを鳴らす。
一体どうやって運んでいるんだか?
「それと、一つ聞きたいんだが、サブマシンガンとか、連射できるのは無いのか?」
「それは俺に密輸しろって言いたいのか?個人に強力な火器の販売は禁止されてる、お前が警備会社にでも入らない限りそいつはできない相談だな」
どうも話を聞くと単発ライフルはこの後解禁されるらしいが、連射ができるのはやはり組織向けしかないらしい。
「あ、あともう一つ、ARのメジャーアップデートプログラムが完成した、LANケーブルを繋げてくれ」
ARは表向きにはリコールが完了していて、保証はおろかアップデートも終了しているため、こうやって有澤が開発して、亮が試験する。
こうすることで、有澤はまたARが出た時に支配するこのができて、亮は安全にARを使用することができる。
「今回はどんなのだ?」
「先ずはハッキングの簡易化だ、いままでは頭使っていたが簡単なものであればスマホで簡単にやれる、難しい物でも時間をかければスマホでもやれるぞ、あとARアビリティの追加だな、スレットとペインキラーだな、効果は後で確認してくれ」
ARアビリティとは、ARが身体に特殊な信号を流すことによって体感時間の流れを遅くしたりすることができる。
《よし、ARのアップデートも完了した、もういいぜ、長くなったな》
話し始めたのが9時、アップデートが完了したのが次の日の午前一時。
チルノと大妖精は既に寝ている。
寝るときにチルノが、「夢で女の人に会ったら元気だよって伝えてね?」と言われた、意味は全く分かっていないが。
「明日は休みだが眠い、もう寝る、また今度な」
《おう、いい夢みろよ!》
そうして通話は切れた。
シンクから水を一杯汲んできて椅子に座って一口飲む。
そして、なぜ強い武器を求めたか思い出す。
レミリアの病気による霧、そして遭遇した犬のような生き物と、堕ちたヴァンパイアクイーン。
ハンドガンだけでは圧倒的な威力差があった。
こっちの攻撃は5発でやっと一体なのに、あちらの攻撃は一撃でこちらを殺しかねない。
血液があったとしても何本必要になるかわからない、あったとしても、一撃で心停止や脳をやられれば死んでしまう。
それに、もう二度とない訳ではない。恐らくまた似たようなことが起きるだろう。その時、俺は生きて帰ってこられるだろうか、そしてメリー先輩や蓮子先輩を守りきれるだろうか?
そのために、力を手に入れる、決して自分のためではない。
気づいたら、神社の縁側にいた。
さっきまで椅子に座って気持ちを整理していたのに。
恐らく、夢を見ているのだろう、また風邪を引いてしまうのだろう。
「あら、ようやく来たのね、英雄さん、人を救った気分はどうかしら?」
声がした方を振り向くと、最初に山に登った時、神社のような廃墟にいた巫女だった。
「お前……あの時の!」
「私はお前なんて名前じゃないの、ちゃんと博麗鈴音ってちゃんとした名前があるの」
「それで、鈴音さんが一体俺に一体何の用だ」
そう俺が言うと、彼女は髪をかきあげて姿勢を正すと、こういった。
「あなたに依頼したいことがあるの
あなたにこの世をあの世の悪人から守る守護者になってもらいたいの」
「あの世?守護者?どういうことだ?」
「順番に説明するわ。
まず、この世界についてよ、
私たちの世界は表のこの世と、裏のあの世があるわ、
あなたたちのいるのはこの世よ」
「なるほどな、俺たちがいるのは表の世界で、お互いの世界は干渉できないんだろう?」
「そうよ、お互いの世界は人の出入りができない、できないはずなのよ」
「はず、とは?」
「毎年こちらの世界では3桁の行方不明者が出るのよ、よく探してみるとそちらの世界に何人かは行ってるのよ、そういう奴に限って悪さしてるのよ」
「そこで、俺の出番か」
「そう、この世界には協力者は何人もいるけど、みんな戦うことはできない、でも、フォールヴァンパイアクイーンを倒したあなたなら……」
亮は少し考えた後、こういった。
「別に協力者になってもいい、でもサポートだけはしっかりやってくれ、少なくとも敵の情報は知りたい」
「大丈夫よ、準備してある、これがあなたがこの間相手にしたあいつら、私たちはスウォームって呼んでいるんだけど、それの資料も持ってきたわ、あと、チョーカー貸して?」
チョーカーを首元から外し、鈴音に渡す、すると、鈴音はチョーカーに手を重ね、青い光を浴びせる。
「これであなたは私と通信できるようになったわ、でも気をつけて、これはあなたがあの世の人物に接近して、あの世とこの世の狭間、つまりスウォームがいる環境にならないと通信はできない」
「助かった、これで情報無しで戦うことは無くなるだろう」
「それじゃあ、あなたを元の世界に戻すわ、頑張ってね」
そう言って鈴音が肩に手を置いた時、強烈な睡魔が襲い、数秒もせずに寝てしまった。
《スウォームとは》
あの世で度々大規模な被害を起こす生命体の総称。
大半は犬型であるが、人の形に変化するものもいる。
活動時間は決まっていないが、長年の観察によると、半分は昼に、もう半分は夜にと、交代で活動している。活動していない半分は、巣として使用している洞窟や、自分らが作った穴の中で寝ている。
オスとメスの2個体が確認されていて、基本オスは外で獲物探し、メスは後述する一頭だけのオスと生殖活動を行っている。
常に群れで活動し、その群れはおよそ50匹程で、それ以上の群れはレイダーと呼ばれる。
雑食。主に肉を好むが、食料が取れない場合、近くの草木をかたっぱしから食べ尽くすので、山が一夜ではげかえることはよくあることらしい。
《スカウト》
スカウトとは、スウォームの中で一番世代の低いオスの呼び名。
4足歩行、形は犬に近いが、後ろが丸っこい。口には上顎と下顎合わせて8本の鋭い犬歯を持って、前足の爪は非常に鋭い。
個体によっては、歯に毒を持つものもある。
常に3~5匹で行動し、獲物を探す。
見つけると吠えて合図を送り、味方を呼び寄せるが、集まりはあまり早くない。
基本的に真っ直ぐ襲いかかってくるため、背後で発見されない限り、不利な状況にはなりにくい。
ただし、応援は呼ばれないように、集団に囲まれると手痛い攻撃を何度も受けることになる。遠距離で倒すのが一番安全だ。
《ウォーウルフ》
スウォームの中で一番大きなオスがなる。
大きくなったオスは、一度群れから離れ、一匹で生き延び、しばらくすると帰ってくる。
外見は狼男。
強靭な肉体を持ち、二足歩行。殴りは20㎝のコンクリートの壁を破壊するほどの強さを持つ。
普段は巣穴でメスとともに生殖活動を行っているが、スウォームに一定の被害が出ると巣穴から出て、被害を与えているものを探して始末する。




