第十七話 平穏?
亮とマエリベリー、蓮子、チルノと大妖精は教授の車に乗らせてもらい、家まで送ってもらった。
チルノと大妖精を見たとき、驚いた様子ではあったが、 口には出さなかった。
アパートに到着し、階段を上り、部屋の鍵を開けて部屋に入る頃には、亮の左手につながれたチルノはウトウトし始めていて、大妖精もまだしっかりしていたが、もうほとんど動けないようだ。
服はある程度乾いており、風邪をひく心配もないだろう、ただ、布団が亮の使っていたベッドしかない。
仕方なく、チルノと大妖精をベッドに誘導する、チルノはすぐにベッドに倒れこみ、大妖精はすみません、と口にして、すぐに寝てしまった。
亮はベッドに寝る彼女たちに布団をかけてやり、自分は服を着替えると、ソファーに腰掛け、いつもの膝掛けと冬用コートを引っ張り出し、胸にかけると。
落ちるように眠ってしまった。
次の日……丁度休日の昼下がり。
大家に事情を説明するために亮は部屋を出て階段を降りていた、後ろにはチルノと大妖精同士で手を繋いでついてきている。
「ハァックショイ!くそッ、もっと暖かい格好をしておけばよかった……」
亮は残念ながら、コートを被ったにもかかわらず、風邪をひいてしまった。口元にはマスクをしていて、顔は雰囲気的にげっそりとしている。
「チルノ、大妖精、これからこのアパートの偉い人に話をつける、偉い人に認められないと俺は家を追い出される、クジュッ、二人は俺が話し終わって部屋に戻るまで不用意に口を開くなよ」
「分かった!!」
と元気よく答えるのはチルノ。
「大丈夫です、チルノちゃんのフォローは私がします」
とチルノに不安な回答をしたのは大妖精。
その回答に対し、深いため息をついたのは言うまでもなく亮。
彼はこの近くに住む親戚が亡くなり、隠し子を認知し、どこも受け取ってくれなかったので、家のスペースに余裕のある自分が引き取ることになったと説明したが、うまくいくかわからないので不安なのに、大妖精の余計な一言でさらに不安になった。
ただでさえ熱や鼻水のせいで思考が回らないのに。
そんな不安を持ち、ついに一階の一番端、大家さんの部屋についてしまった。
部屋をノックすると、大家さんはすぐ出た、先ず実家から送られてきた三浦大根(家で栽培されたものでない)を渡し、
後ろの2人を見せたのち、説明した。
「そういう事情であれば結構ですよ、騒がしくされなければ私としても許可して良いと思っておりますので」
と、あっさりと許可してくれた。
なお、大家の人はこの時点で、亮が風邪を引いており、さらに何か裏があることを感じているが、自分も風邪をうつされたくないし、何しろ亮がかなり辛そうなので、さっさと許可して休ませることにしたのである。
当然のことながら、亮はそんなことも知らず、深く御礼すると、ボロが出ないうちに早々に退散した。
が、彼にさらに不幸が訪れる。
部屋に入る直前、誰かが階段を上ってきた。
二階には亮とエドワードしか住んでなく、そのエドワードは今日と明日を使って呉海軍基地を見に行くといって早朝に出た。
ガンガンしてきた頭を階段の方に向けると、昨日まで見てきたあの青い髪の毛が見えた。
後に亮は「あの瞬間、頭の痛みがそっちを見るな!と警告するように感じた、今でもそう思う」と語る。
「あら、ご機嫌よう、亮」
その声を聞いた瞬間、彼の頭痛は天外突破した。
「お久しぶりです、亮様、チルノ様、大妖精様」
「何で、ここに、いるんだ、咲夜…」
頭痛のせいで言葉が途切れ途切れになってしまう。
「何故って、ここに住むからに決まっているでしょう?理解しかねますね」
違う、そうじゃない。と言いたいが、彼の頭はさらに痛み、回答すらさせない。
「というわけで、本日より亮様の隣……203号室に入居します、咲夜・R・十六夜でございます、以後お見知りおきを」
それだけ聞いて、彼は空を見上げ。
「……どうしてこうなった」
その言葉を最後に気絶した。
第1章 アカイキリ
End
第1章はこれで終わりです、いくらなんでも長すぎました、これから自重……できるかなぁ…




