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東方秘封活動記  作者: 紅き蠍
第一章 アカイキリ
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第十六話 平穏

次で第1章は終わりです。

動きを止めた奴に銃口を向けたまま、しばらくすると、メリー先輩が駆け寄って抱き起こす。


「大丈夫?痛むところは無い?」



「はい、僕は……あいつは……?」



身体全体の痛みを抑えて、メリー先輩の肩を借りながら倒れた奴の元に向かう。

途中降りてきた蓮子先輩も途中から肩を貸してくれる。



奴の側にはレミリアに抱きついているフランと目を覚ました咲夜がいる。


「一体何が起きたのですか?」



咲夜は頭を打ったらしく、後頭部をさすっている。



「奴が本気を出したんだ、死ぬかと思った」



「お姉様!大丈夫?怪我はない?」



「私は大丈夫よ、フラン、助けに来たのね、ありがとう」



チルノと大妖精も降りてきた。


「そいつは生きてないの?」



「今から確かめるから離れてくれ」



そう言って倒れている奴の側に近寄り、ハンドガンを装填して右手で構える。

左手で奴の首元で脈を取る。


脈は無い、呼吸も止まっていて、瞳孔も開ききっている。


もう息は無いと伝えようとした時、奴の口から濃い紫色をした煙のような物が出てくる。


左手でメリー先輩、蓮子先輩を奴から遠ざけ、右手に持つハンドガンを強く握る。



その煙はしばらくその場で何かに抵抗するかのように渦巻いた後、チョーカーの陰陽玉に吸い込まれて消えた。


陰陽玉は吸い込んだ後、青白い、強い光を出し、その後ゆっくりと光は消えた。



奴をよく見ると、今までは醜い女の顔だったのに、今では幼さを感じる女の子だった。



「ルーミアだ!ここ最近見てないと思ったらこんなことになってたんだ」


チルノが叫ぶ。



「恐らくあの堕落した吸血鬼の女王の霊に取り憑かれていたのでしょう、今の煙がそうなのであれば、もうこの子は大丈夫でしょう」



咲夜がルーミアの様子を確かめながら言う。


確かにあれだけ頭に弾丸を浴びせていたのに、顔には傷一つ付いていない。



「問題はその陰陽玉ですが、恐らく封印器の一つでしょう、そうでもなければ、霊は吸い込まれません」



咲夜は亮の首元にある陰陽玉を触りながらそう言った。



突然、亮のポケットから着メロが流れる。



「はい、亮です、教授ですか?」


すると電話の向こうは大声を張り上げた



《やっとかかった!心配したのよ!霧が晴れたのに一向に連絡を寄越さないんだから、警察の通信妨害をかいくぐってやっとかけたんだから!すぐに山から下りて来なさい!車で迎えに行くわ!》



そう勢いよくまくしたてると、一方的に通話を切られてしまった。



蓮子先輩とメリー先輩にそう伝えると。



「私たちは大丈夫だけど、亮君は大丈夫なの?骨とか折れてそうだけど」



実際、衝撃波や触手の直接攻撃の所為でかなり肉体にダメージがある。

だが、亮は一般の人間とは違う点がある。



彼はバックパックから薬とバンテージを取り出し、体の痛む箇所にバンテージを巻き、その後で薬を飲んだ。



「大丈夫です、僕は他の人と違って回復が早いですから」



「なら、行くのね」


レミリアが亮に問いかける。



「ええ、ここは俺たちの居る場所じゃないから、出口はどちらで?」


亮がそう聞くと、レミリアは館を指してこう言った。



「ついてきなさい、この館の裏の池が外に繋がっている」



レミリアが先頭に立ち、フランがその横に並ぶ、咲夜は一瞬ルーミアと一緒に消えて、すぐに現れた後、レミリアの右後ろに立った。


俺を先頭に、蓮子、その隣にメリー、チルノと大妖精は 亮の隣を歩いた。



裏庭にはそう時間がかからなかった、大きめの池があり、そこから光が見えている。



「この水は私の友人による特別製でね、この中では呼吸ができる、息を止める必要はないわ」



試しに亮が顔を水の中につけると、水の中に鼻で息を吸っても、刺激が一切無い。ただ、水が物に触れて空気に変わるわけではなく、普通に顔は濡れた。



「メリー先輩、蓮子先輩、泳げますか?」



そう亮が聞くと、



「……実は私、泳げないの」



メリーが恥ずかしそうに手を上げて答える。



「えぇっ!嘘っ!?メリー泳げないの?!」



「昔溺れかけたことがあって……」



そう蓮子とメリーが言い合っている中で亮はカバンからロープを取り出し、自分のカバンのフックにかけた。



「ならこの紐に捕まっててください、捕まっている時は足を歩く時みたいに動かしてください」



厳密に言えば、泳ぐ時のバタ足は歩く時とは全く異なり、足の先を鞭のようにしならせるのだが、今そんなことを教えている暇は無いので、歩くようにとだけ教える。


亮はカバンのチャックが全て閉まっていているのを確認し、蓮子、メリーから濡れてはいけないものを預かり、専用の防水パッケージに詰め込んだ。


そして、亮はロープを持ったまま池に入り、中央辺りで浮き、メリーに向かってロープを渡した。



「そういえば、チルノ達はどうするんだ?」



奴が倒された後から全く喋らないチルノに声をかける。



「この子たちなら私たちが面倒をみるわ」



レミリアがチルノの肩を少し叩き、そういった。


だが、チルノの目は少しだけ、潤っていた。



それを確認した亮は、自分でもよくわからないまま、こう言った。



「なら、チルノ、一緒に来るか?」



「えっと……亮君?突然何言ってるの?」



メリーが困惑した表情で亮に聞く。



「慣れている方が良いでしょう、うちはスペースがありますし、親に孤児を拾ったと言えば資金提供もしてくれるでしょう」



亮の両親は父が社長で母はその秘書という、一般家庭の平均年収を軽く笑い飛ばすほどの金持ちである上、いわゆる親バカであり、彼が必要としていれば遠慮なく買い与え、譲る。



「……亮君って、ロリコン?」



「違いますよ?!」



だが、それが聞きたいわけではない、彼がなぜチルノ達をついてくるように聞いたのかが知りたいのだ。



そんな会話をバックにチルノは考える。

不安そうにレミリアの顔を覗き込む。

レミリアはただ微笑み返すだけだ。

しばらくの静粛の後。



「決めた、あたい、亮と一緒に行く!大ちゃんはどうする?」



チルノは大妖精の方を見て聞く。



「チルノちゃんが行くなら私も一緒だよ、私とチルノちゃんはいつも、いつまでも一緒でしょ?」



大妖精の答えにチルノは満面の笑みを浮かべて「あたいと大ちゃんは一心同体だもんね!」と答える。



「ごめんなさい、せっかくのご厚意を無駄にしてしまって」



大妖精はレミリアに向かって頭を下げる。



「気にしないでいいわ、あなた達で決めたことでしょう?なら、私が口を出せる立場ではないわ」



そう言うとレミリアは亮達に背を向け、屋敷に向かって歩き始める。



「それでは、私はもう休むことにするわ、チルノ、大妖精は向こうでも上手くやりなさい、亮達はまた、いつか会いましょう」



そう言ってレミリアは屋敷へ消えていった。



「それでは、私もお暇させていただきます」



そう言った咲夜はすぐにその場から消えた。

恐らく時間を止めてその場から去ったのだろう。



「印象に残る人たちだったわね、蓮子」



「そうねメリー、帰ったら日記に書かなくちゃ!」



「僕たちも行きましょう、教授が待っています、僕が先導します、ついてきてください、メリー先輩はロープから手を離さないように」



そう言うと亮は大きく息を吸って水に潜った。

水の中は暗く、蓮子が持つライトしか先が見えない。

だが、亮はARに搭載された暗視モードによって前が見えている。



メリーは目を閉じ、ロープを決して離さないよう、強く握りしめている。


大妖精とチルノは離れないようしっかりと泳いでいる。



息はできる、が、鼻から吸うと水も一緒に入ってくる。口から吸えば水も飲むことになるが、ちゃんと息もできる。



どのくらい泳いだのだろうか、三十秒、1分、もしかしたら10分かもしれない。


暗かった水に光が差した。


速度を上げて光に向かう。



そして、ついに水面にたどり着いた。



亮は大きく息を吐き出し、陸に上がると顔を水面に出し、ロープごとメリーを引っ張り上げた。



メリーが水面に顔を出したのち、蓮子、チルノ、大妖精の順に顔を出した。



湖の上空の空は青空が広がり、さっきまでの赤い霧が嘘のような印象を持たせる。



突如として轟音が鳴り響く。


空を見上げると、一機の戦闘機が丁度上空を通り過ぎていった。



隣で女性全員で服の水を絞っているのを視界に入れないように、彼は地面に倒れこんだ。



「やっと、終わった……」



その声は、当然ながら疲れが出ていた。





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