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型破りな探偵達   作者: 黒猫レオ
1 Black One、始動。
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「依頼きた」

軽ーいその報告は、もちろんチシャである。

「もっと重い雰囲気で言えよな」

「だって今回めちゃくちゃ簡単だしさ」

チシャがメモ帳を見せてくる。キルはそれを覗き込んだ。

「『あるものを取り返して欲しい』……それだけ?」

「それだけ」

ミイがつまんないの、と言った。確かに、プロとしてはこれはつまらない依頼である。

「報酬いくらー?」

「またお前は金の話か、ニカ」

「気になるじゃん」

「1000万」

割り込んでチシャが入ってきた。ふぅん、と言った途端、全員の動きが止まった。

沈黙。

「『「『…………1000万⁉︎』」』」

「そうだよ」

「いや、絶対おかしいでしょリーダー! それだけで1000万はないって!」

「だって言ってたし」

「うっわ、絶対ヤバい依頼じゃねぇかよ……」

「俺わくわくしてきたー!」

「おい、キル。一人だけ違う方向にテンション上げてる奴がいるぞ」

「…ほっとけエヌ」

「てか何取ってくんの?」

ニカの言葉に、一同が口を閉じた。さぁ、とチシャが言う。

「そこ一番重要だろうが!」

「言わずに切っちゃったから」

「聞けよそこは!」

ミイは頭に手を当ててしばらく考えたような格好をしてから、静かに言った。

「……クスリとか?」

ばしん、とキルが頭をはたく。

「それガチでヤバい奴だし! つーか私ら探偵だからそれやっちゃ犯罪だろ⁈」

「待て、キル」

急にエヌがキルを制した。首をゆっくり左右に振る。

「……何だよ」

クスリって可能性もあるぞ、と言われる気がして、キルはごくりと喉を鳴らした。

「キルのツッコミ、間違ってる」

「……は?」

「もう俺たち、犯罪ギリギリかすってるからな」

……正論を言うな。てか、今重要なのそこじゃない!

「そうじゃなくて! ……チシャ、お前依頼受けたのか?」

恐る恐る聞いてみる。ほえ?という間抜けな顔をキルに向けたチシャは、当たり前じゃん、というように呟いた。

「受けたけど」

またの、沈黙。

「……そんな軽いもんじゃねぇーっ!」

「そうよリーダー! リーダーは潜入行かなくていいだろうけど、命の危険があるの私たちだからね⁉︎」

「俺仕事好きだから何でもいいやー」

「おいキル……」

「ほっとけ、エヌ」

「だって、取り返すだけで1000万だもん。得じゃん」

「得とか損とかより命の尊さ理解してくれチシャ!」

キルが頭を抱えた時だった。

こんこん。

事務所のドアがノックされる音。

「あ、忘れてた」

チシャが、ごめんと言うようにちろりと舌を出した。

「依頼人、今日来るらしいから、よろしく」

…………


……チシャ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎



入ってきた男性は、見た目三十代前半くらいの人だった。

「……意外と若かったね」

「ニカ。お前は内緒話のつもりらしいけど、丸聞こえだからな」

「あっは、ごめーん」

キルはニカの首根っこを掴むと、わあわあ騒ぐニカを、ぽいとゴミのようにお仕置き部屋に放り込んだ。

「……申し訳ありません。うちのバカが騒ぐもので」

「いえいえ、大丈夫です」

名刺が机の上に置かれた。

「私は、大学教授をしております花笠と申します」

花笠さん、と言いながら、キルは名刺を取った。

「……何かの研究を?」

「ええ。実は、取り返していただきたいのは、その研究の成果なのです」

花笠は手を顔の前で組んだ。

「研究の成果を……誰かに盗られたとか?」

「盗られた……というのは、少しおかしいかもしれません」

キルはチシャと顔を見合わせた。

「……というと?」

「研究結果を預けたのは、私なんです」

ほえ? と間抜けな声を出したのは、ミイである。

「お恥ずかしい話なのですが、研究結果を、助手である男に渡しまして。そのまま助手が行方をくらましてしまったというわけです。

「……それってつまり……?」

「はい。まずその助手から探さねばならないということです」

………。

『えー、めんどくさーい』

全員の考えを代表して口に出してくれたのは、空気を全く読まないニカである。

「ニカ……っ!」

「いえ、そう言われるのは承知の上です。ですから、報酬を高く出すと!」

確かに報酬は高かった。しかし……

『俺たち探偵って書いてるけどさー、実は探偵らしい探偵してないもん』

その通りだ。肩書きは探偵だが、危ない犯罪ギリギリの仕事ばかりしてるのだ。人探しなんて、本音はやったことがない。

「……ま、出来んじゃないの?」

のほほんとした音が、キルの頭上から降ってきた。チシャだ。

「何でもやってきたんだから、今回も何とかなるでしょ」

…………

やはり、頼りがいはないが、こいつがリーダーである。

キルは、ふぅっ、と息をついて、ニヤリと笑った。

「……引き受けました。報酬は1000万。助手を探し、研究結果を取り返す。よろしいですか?」

花笠はほっとしたようにぱぁっと顔を明るくした。

『よーし、仕事ーっ!』

「Black One、始動!」



さて。彼らは知らなかった。この案件が、後に彼らの人生を大きく左右することに。









さて…こんな無茶苦茶な彼ら、一体どうやって捜査していくんでしょう?(苦笑)


次回もよろしくお願いします!

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