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型破りな探偵達   作者: 黒猫レオ
飛び出せ。
23/26

search 18.~カプセル~

「……優華ちゃん、いないね」

ミイは道具をウエストポーチにしまいながら言う。

「そうだな……てかこれ何だ?」

キルは恐る恐る近づく。

銀色の箱。見たところ、横20センチ、縦10センチ、高さ15センチくらいだ。

「んー……これ取れないよ?」

ニカが箱を掴んで引っ張るが、取れない。床に直接つけてあるようだ。

「何でこのデカイ部屋にこれだけなんだ?」

エヌが言う。

確かにあまりにもおかしい。この部屋は4人が入っても十分すぎる広さがあるのに、部屋にあるものといえばこれだけである。

キルはその箱をもっと観察するために近寄った。箱の上を軽くこんこん、と叩いてみる。ずいぶん丈夫そうだ。多分その辺に売っているようなものではないだろう。

ミイは、その箱についているダイヤル錠とにらめっこしている。くるくる回してみたり、逆向きに回したりする。

「……どう? 開けられそうか?」

「んー……これはやったことないんだよねー……。結構最新のやつみたいだし」

そう言いつつもきちんと道具を出してきているところを見ると、一応開ける自信はあるらしい。聴診器のようなものを箱に当て、それにつながったイヤホンを耳にはめ、ミイはダイヤルを回し始めた。

その間、エヌとニカは箱以外のものを捜索中であった。

「この頑丈な部屋と箱を見る限り、あの中身は大事なものなんだろう。もしかしたら、優華ちゃん誘拐につながるものかもしれない。となると、この部屋には監視カメラくらいあるだろう」という、今日は調子がいいエヌの考えである。

部屋の中を歩き回り、カメラを探す。

「んー……ないね」

「諦めはやいぞ。とにかく考えろよ」

「エヌに言われたくないよー! 俺エヌよりは頭いい自信が……」

『はい……一旦ストップ……全部聞こえてる……から。無駄口……叩かずに……真剣に……探して』

イヤホンから聞こえたチシャのお叱りは、もちろんミイとキルの耳にも入っている。

「……お前ら真剣にやれよ」

「やってるよー! 俺は真剣だけどエヌが……」

「人のせいにすんな、2歳児」

「あれ!? 俺なんか3歳若返ってない!?」

「うるせえ。ちゃんと探せ」

残念ながら、言われてしょげるようなモロい心の持ち主ではない。反省の念が全く感じられないニカを見て、キルはゆっくりため息をつく。

「あ」

エヌが小さな声をあげたかと思うと、すぐさま背負ったリュックをがさごそしはじめた。……嫌な予感しかしない。

「んー? どしたのエヌー……」

ニカが言い終わるか終わらないかというときだった。

ぱしゅんっ!

何かが弾けるような音がし、続いて何かが焦げるような匂い。

「……へ?」

唖然、という言葉がよく似合う顔をしたミイが、鍵を開ける手をとめて力なく振り返った。キルも同じく、顔を上げた。

部屋の天井の隅から、細くあがる黒い煙。ぱらぱらと落ちる何かの残骸。下には小さくて黒い光るものが、これまた細く煙を出しつつ転がっている。

「……えーと……これは?」

「ん。カメラだな」

大きくうなづくエヌ。

「やっぱりあったんだな。ご苦労。……ただこれ……いきなり撃っちゃって大丈夫か?」

「分からん。とりあえず見つけたからはやく録画とめねぇと」

エヌの手に握られたものは、小型で、物を破壊するとき専用に作られた銃である。素早く狙いを定めやすくなっており、また破壊力も高い。もちろん、人に使えば大変なことになるため、絶対に使えない。

「いや……私ら結構いろいろ喋ったし……」

「……もう遅いんじゃない?」

ミイと顔を見合わせて呟く。

「まぁだが早いに越したことはない」

「……そうだな」

キルが大きくうなづいたとき、ミイの方で音がした。

「あっ! キル! 開いたよ!」

嬉しそうなミイの顔。よし、とガッツポーズすれば、いえーい! と向こうでハイタッチが起きる。はしゃぎすぎだ。

「じゃあ開けるよ? いきまーす……」

がちゃり、と重い音。開く箱。そして。

「……んぁ?」

訳のわからない声が出る。

箱の中身は、見覚えがある。全員がそろって口を押さえた。

「……どういうことだ、これ……」

冷静に物事を見ることができるキルやエヌでさえ、言葉が出ない。

『ん……どうかした?』

呑気なチシャの声が、沈黙を割く。

キルは震える手で中身を取り出した。

黒い箱の中の、小さな袋。その中に入っていたのは、つい先日盗まれた、花笠教授のカプセルだった。

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