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型破りな探偵達   作者: 黒猫レオ
3 振り向けば。
12/26

search 0.~キルの場合~

「くっそ……ついてくんな!」

街を走る『少女』。後ろを追ってくる、たくさんの大人たち。

「待て、止まれ!」

「もう懲りろ!」

「また捕まるんだぞ、『脱走女』!」

ちっ。

舌打ちをした。

短く切った髪は男のようで、なびくような髪はない。

泥だらけのスニーカーに、破れたジーパン、黒い長めのコート。

「もうちょいスピード上げるか……」

荒い息でそう呟き、大人たちを一瞥して、ペースを上げた。


「はぁっ……はぁ……もう来ないか……」

18歳の少女は、額を流れる汗を、乱暴に肩で拭った。

「誰も来ないよな……」

息を整えながら、髪も手グシで整える。

暗い街灯のない道だった。歩いても街灯はなく、反対に光は少なくなっていく。田んぼや山が多くなり、ついにアスファルトの道も途切れた。

「いっ……て!」

足を瞬時に真上に上げた。見ると、木のトゲが刺さっていた。

「ったく……」

また乱暴に引き抜いて、道を進んだ。


少女は、大人が嫌いだった。

自分を捨てた親も、入った施設の先生も、すれ違う度にひそひそ話をする大人も。

いつも施設から抜け出して、逃げた。

ついたあだ名は、『脱走女』。

問題児と言われ、大人に嫌な目で見られ、ついに子供も寄ってこなくなった。

汚い身なりで歩く少女に誰も助けの手を出そうとはせず、むしろ遠ざかっていった。


「着いた……」

少女が見上げた場所は、小さいつぶれた車だった。

誰にも乗られず、置き去りになった車。なんだか自分のようだと、一目で気に入った場所だ。シートにまで草が生えている。錆びた車体に近づき、少女はドアを開けて乗り込んだ。脱走するといつも雨をしのいでいる場所だった。


「……え、ねぇってば」

はっと目を開けたキルは、誰かに体を揺さぶられていることに気付いた。いつの間にか寝てしまっていたらしい。

見つかった。

瞬時にそう思った少女は、飛び跳ねるように起き上がって、その手から離れた。

「誰だ!」

くるっと相手を見た。そして、ぽかんと口を開けた。

「あ……大丈夫かなって……ごめん……迷惑だったかな……」

とぎれとぎれに話す相手は、眠そうに目をとろんとさせた男だった。きちんとした服装で、こぎれい。自分とは全くかけ離れた格好だ。いつものくせで、ムッとする。

「……何だ、お前」

「ん……俺……チシャ」

チシャ? 少女は吹き出した。

「何だ、ハーフか? それにしちゃあ日本人顔だな」

「そりゃ……純日本人だから……」

少女は首を傾げた。

「ほら、私は大丈夫だよ。分かったらさっさと行っちまえよ」

しっしっ、というように手を動かす。

「あ……一つだけ……」

「何」

内心いらいらしながら、少女は聞いた。

「探偵……とか……興味ない?」

ふにゃっ、と、相手―チシャ―の顔が緩んだ。笑う、というより、緩む、という感じだった。

「探偵?」

何でそんなこと聞くんだ。少女は聞き返した。

「俺……探偵なんだ……今……仲間を集めてて……」

「はぁ?」

一体こいつは何を言ってるんだ?

少女は眉をしかめた。

「もっと頭の良さそうな奴を誘えよ。私なんて誘うな。邪魔になるだけだ」

「君の……頭が悪いなんて……君が決めたこと……だろ?」

ふん、と少女は鼻で笑う。

「そうだよ。私はバカだ。それはこんだけ生きてきてりゃ嫌でも分かるっつの」

鼻であしらった。

気付きたくなくても、気付いてしまう。自分が無知で、誰にも認められないこと。

自分より何かをはるかに知っている大人がなぜか憎らしくて、いつも避けてきた。

お前は何も知らない、と思い知らされるのが嫌いで。上から目線は遠ざけてきた。

「使いようによっちゃ……伸びる」

え?

少女は耳を疑った。

「伸びる?」

「ん……その見た目で……伸びると思った……」

チシャは手を差し出してきた。ぎくり、と心臓が跳ねる。長年の勘だ。

いつも大人は優しそうな顔をした。でも捕まれば施設へ送り返されてしまう。手を差しのべられても、少女は絶対に自分からは手を伸ばさないと決めていた。そうすれば、手を出す大人もいなくなった。

が、チシャは手を差し出した。しかも、何もしてこなかった。

とても力強く、でも優しい手。

初対面なのに差し出された手は、いろいろな苦難を乗り越えてきたような手だった。

少女はその手にくぎ付けになった。

おずおずと遠慮がちに出されるのではなく、堂々と、手いっぱいに力が込められていた。


そうか。


少女は思った。

私が、私が欲しかったのは、これなんだ。

自由とかカッコいいものじゃなくて。


仲間が、欲しかったんだ。差し出してくれる助けが、欲しかったんだ。

自分を認めて、話しかけて、分かってくれる、そんな仲間が。

こんな自分でも、しっかり助けようとしてくれる、そんな手が。


手を握ることはしなかったが、少女は動いていた。

自分が気付いた時には、少女の体は車から出ていた。

「ん……君……名前は?」

チシャに聞かれて、少女は首を振った。

「ない。あったはずだけど、覚えてねぇや」

チシャはまた顔を緩ませた。

「そう……じゃあ名前も……必要だね」




気付けば、5年。


当時18歳だった少女は23歳の『男にしか見えない女』に変貌していた。


『キル』と名前を変えて。

……あれ?


コメディー要素が…ない(´Д` )


すいません。


過去の話は真面目にしてますね…


多分この次も真面目な感じに…なるかと思います…


けど!ちゃんとコメディーに戻しますから!


彼らを嫌いにならないで下さい!笑

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