表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/22

第3話『散策』

 クリスと別れてから、俺は事件現場の一つであるセントラルパークへと足を運んだ。

 最初の犠牲者が見つかったのは、この公園のほぼ中央のあたり。当然ながら既にその面影は残っておらず、警察による封鎖もとっくに解除されている。

 死体があったであろう場所まで歩いていき、周囲を見渡す。排煙による曇天の下、身なりの良いやつらが昼のひと時を楽しんでいた。

「さすがに目ぼしいものは何もないよな」

 事件から時間が立っていることもあり、いつもと何ら変わりない光景が広がっていた。

 この場で事件が起こったのは、今からおよそ半年ほど前。早朝の薄暗い時間帯に、ここいらを寝床としている浮浪者の一人が首から上の無い死体を発見した。

 所持品等から、死体はマンハッタンの製紙工場で働く労働者の一人と言うことが判明した。そして、その後月に一人のペースで同じような死体がニューヨークの各地で発見されている。

 被害者に共通点はなく、場末の労働者だったり娼婦だったり、浮浪者だったかと思えばブルジョワ層の老紳士の死体も先週発見された。

 警察はやっきになって犯人を探して入るが、現在手掛かりすら見つかっていない状況だ。

「まだまだ続くとしたら、おそらくそろそろか」

 第三の死体が発見されてから、警察による夜間外出の注意がされているがどれほどの意味があるのだろうか。

「まぁ、おかげで飯の種に困らないと言うのは皮肉な話か」

 新聞記者の大半は、真実なんて追い求めちゃいない。死肉があれば、群がるだけだ。

 俺も、誰もかれも。

「マフィアの関与か……」

 先ほどのクリストの会話を思い出す。

 正直、今回の件にマフィアが絡んでいるという可能性を、俺はほとんど考えていなかった。おそらく、警察にしても考えてはいあないだろう。

 基本的に、マフィアと言うのは死体を隠すものだ。いくら警察に対して賄賂を掴ませようと、そこに決定的な証拠があれば警察とて庇えるものではない。

 だから、基本は闇から闇へ。

 首の無い死体と言う状況から、警察当局や俺たちマスコミはカルト集団と言う線で考えていたが、何やら雲行きが怪しそうだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ