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プロローグ
チクタク、チクタク――
カチコチ、カチコチ――
それはまるで、時計の針が動く音のような。
それはまるで、ゼンマイが回る音のような。
「時は満ちた。舞台は整った。役者は揃って、客も満員」
それは男の声だった。
時計のような、ゼンマイのような音に負けない、よく通る男の声。
照明の付いていない、暗い部屋に響き渡る男の声。
「さぁ、幕を開けよう。賽は投げられた、機械仕掛けの神だけが物語の結末を知っているぞ」
チクタク、チクタク――
カチコチ、カチコチ――
音は止まない。
「さぁ、開演だ」