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第92話・男女の性差

 

 バレエもまた然り。男性と女性の差は振り付けにはっきりと表れる。

 特にクラシックバレエ、古典はその差が顕著だと思われます。ユニセックスなんてものは、ない。

 男性は男性らしく、女性は女性らしく。

「らしく」、がどうなのか? を知りたかったらバレエを見たらいいのだ。

 その差を笑いながら見たかったら、逆にグランディーバなど男性が女性の役を演じるバレエ団もあるので、そっちも見たらよい。性差の逆転がおかしみを出してくれる。


 今回なにをまた、当然なことを。


 どうしてこういうことをまた書きたくなったのか、というと。

 全幕ものでも圧倒的に女性のダンサーが多い。だがどれだけ数が多くとも、演目の見どころ、見もの、というか目玉になるシーンって男性の役割が非常に重要になるのだ。

 見どころ、ここのシーンが見たいなーと思うにはやはりクライマックスの主人公のパ・ド・ドゥにどうしてもなってくる。

 まったりと鑑賞している時間がないとき、ここだけ見たいから早送りしちゃおっというとき、残るハイライトはやっぱり男性が踊るシーンになってくる。群舞はもうすっとばしちゃう。

 男性がヒロインを仰ぎ見たりするシーン、空を仰ぐシーン、いずれも男性独特の手のふりがある。小さな細かい振り付けにも1つ1つ意味があって、それは男性独特、というのが非常に多いのだ。

 まさにクライマックス中の男性ソリスト。舞台を所狭しと飛び回るバレエの技、光る汗、さあどうだっ! といわんばかりの手の振り、男性らしさをバレエで表現しつつダンスノーブル、高貴さも同時に出す。男性バレエの醍醐味でしょう。見る側もそして踊る側もまさに我が意をえたり! 


 こうしてみると、脇役で添え物で…でも彼女たちがいなくては舞台がはえないコールドはどうでしょう。個人的に男性ばっかりのコールド、クラシックの演目でみてみたいです。マシュー・ボーンの白鳥は斬新な解釈でバレエ史を新たに塗り替えましたが、ああいう現代的な感じじゃなくって、古典での話し。お笑いなし、での話し。真面目に。

 男性だけの性差を超えたコールド、もちろん多少の振り付けは変えないとヘンだとは思う。ソリストの魅力&振り付けがよかったらけっこうお客さんが入るんじゃないかとは思いますが。だが古典バレエの冒涜と感じられたら、へたすると不特定多数の人から攻撃をうける。冒険がすぎるので既存のバレエ団は手は出さないだろう。(だけどマラーホフさんがポワントをはいて短時間だけど実際に舞台上で真面目に踊って喝采をうけている。)

 芸術はなんでもありだと思います。こうとりとめなく、新しいバレエの魅力を考えるのもまた楽しいです。真冬、厳寒の夜長にて。




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