第90話・バレエ関連のモノ忘れ3種
◎◎◎ その1 ◎◎◎
直前にこうやって踊りましょうって先生の丁寧な実演と説明つきで短いアンシェヌマン。だが音楽がかかると振り付けを一瞬で忘れてしまう。ど忘れしてしまって棒立ち。
未だにそうやってしまいます。プロなら絶対に許してもらえぬがごくごく普通の生徒であるからこそ許される。
「あ~、私があれだけ一生懸命説明したのに…私の努力は一体どこへ?」
と当の先生もむなしく思われたかも。
確かここはタンジュしてそれから四番入れて一度ルルベしてからピルエットだったよね? いやいきなりダブルだったかな?
混乱してくるともういけない、えーっと、もうどうでもいいや、とにかく踊っちゃえというわけで自前の即席振り付けで踊って失敗するという。後ろの初心者も一緒に一蓮托生で大コケ…という事態になりみんなで「ああっ」 と声にならない声をあげる……先生絶句。
「えーとそこは違います、こうしてね」
それでも無茶苦茶やられイスに座っていた先生はあわてて前に出て来て音楽にあわせてお手本される。やっと足並みがそろう生徒たち。大人バレエはかみくだいて説明したあげく、前にわかりやすくお手本していただかないとちゃんとそろわないのです。
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◎◎◎ その2 ◎◎◎
忘れ物も多いのが私。
過去ハンドタオル、バレーシューズ、トウシューズもロッカーに忘れたし、若い時は怒られもした。
先日はいつものようにさあ着替えようとしたら、なんとレオタードとタイツを忘れていた。
さあどうする?
幸い今の季節はすごく寒い冬、冷え症なのでサウナパンツと上着をもってきていたのでそれが幸いした。サウナパンツは今はいいのができていて、しゃかしゃか音がしないやつ。それを急きょ最初から最後まではく、上着も身体が温まっても脱がずそのままで通す。身体が温まり脱ぎたいと思っても、最後までいく。
レッスン後着替えようとしたがレオタードなしで踊りとおしたのはみんなに知られたくない……幸いロッカーに最初に直行したのでまだ他の人は来ていない。サウナパンツをはいたまま上着をはおったままでその上にコート、下にはジーパンをはく。超急いで帰りまーすという感じで教室を去る。
汗でびっしょりで気持ち悪く近くのホテルのトイレを借りて着替える。サウナスーツを脱いだらバッシャーと言う感じで汗が流れる。タオルで拭く。やれやれという開放感でほっとする。ああでもショーツが汗まみれ、これも着替えてしまいたい。でも着替えのショーツなんかないしドライヤーとかもない。ノーパンで帰るのもイヤだったし仕方なく濡れパンツを履いたまま帰宅。そういうことがあります。
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◎◎◎ その3 ◎◎◎
発表会の本番で一緒に対面になってシンメトリーで踊る相手から振り付けを忘れられたことがあります。すごく驚いたので未だにその瞬間のとまどいをリアルに脳内再現できます。
(相手を責めたりする気持は全くないです。それよりも自分がそれに引きずられてミスするところだったのがくやしい)
その人もまた仕事持ちなのでふり写しの時もあまり来られなかった。だから練習不足は当然ありましたけどちゃんとゲネプロの時も危なげなくついてこられてました。
向かいあったまま、パドシャ2回スグニュ、反対方向にもう一度、それから他のみんなと体勢を整えて最後のコーダになだれこむ。その時にあらぬ方向に行ってしまう相手。(もう一回パドシャをすっとばしてはしっこの方に走り寄っていこうとされたんですよね)
ほんと一瞬だったけど、どうしようと頭の中真っ白。すぐに相手もミスに気がついて定位置に戻ってきてくれたけど、ビデオみたらばっちり相手がいなくなってとまどっているのが丸わかりだった。私のアンオーにしたアームスが踊りつつも戸惑って縮まっている…。
引いたアングルで全体像でビデオにうつっているので、私の目線の映像はない。だけど拡大したら目が泳いでいるにちがいない。
こういうアクシデントがあっても平気で完璧に踊りたかったなーとつくづく思います。
まあ、これもいいか、という思い出になっています。




