第85話・アレグロの焦り
たとえば本日のメニュー。
センターも佳境に入り、飛び跳ねる印象のテンポの良い音楽が流れてくるとキター、とか思います。
アッサンブレ3回、顔つけてグリサードアサンブレこれも。
スグニュ、シェネ3回ぴちっと止めて5番にいれて右足前プチバットマン4番これは早く
ダブルで回るそしてポーズ。
最速にするからやってみて。
その次裏返しで、できる人はバッチュも入れてね、ごまかしはだめよ♡
先生は振り付けを口で言う。そしてCDのスイッチを入れる前に私たちの顔をちらっとご覧になる。大人クラスでは自信のなさそうな顔ばかり。先生、内心ため息をついているかもしれないが「じゃ、私からお手本しますね、よく見ててくださいね」とにこやかに踊る。
私たち、先生の後ろで鏡を見つつ真似して踊る。アサンブレできない人にはアサンブレゆっくりの繰り返しだけを指示する。
私は思うのですがアダージョはゆっくりでも丁寧に。これで上手下手がわかる。
そしてアレグロは最速でもポーズきちんと、で上手下手が丸わかりなのです。ううん、どれをとってもセンターにはなくてはならぬ。
このメリハリのついたレッスンを毎回するからこそ、バレリーナ達はどういう踊りでも(つまり人間でもない白鳥や妖精、人間だけど王女、貴族等)人間離れした踊り、もしくは気品ある振る舞いができるのだ。
しかし私の場合。
この振り付けだと最速で流されるとカエルの横飛び状態になる。どひええぇ…。これでパドシャも入るとお相撲さんが踊った方が上手ではないかというぐらいな見事な? 踊りになります。
そこには報われない努力あるのみ。




