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第81話・「白鳥の湖」に出てくる王子について

 不朽の名作、白鳥の湖、美しい旋律、振り付け。

 いいですね。

 実際踊るとなったらコールドでも難しいけど(みんなとそろえるのって難しいんですよ)

白鳥の湖に出れた、というだけでもいい。

 あの羽、きれいに頭に飾るのも結構技術がいって、羽が前過ぎるのも妙にヘンな頭の悪そうな白鳥になるし、後ろにゆきすぎるのも間が抜けた白鳥になる。


 白いチュチュに羽を1枚ずつボンドで自分で張り付けるようにいわれてその通りにしたが、1人30枚ずつぐらいあったか、あの配分、配列? にも悩んだ。

 前の方を多めにつけるのがいいか、それともチュチュの先に羽が今にも落ちそうという風情でつけるのがいいか、たかが数分しか出番のないコールドのくせにそんなことで悩んで手にも腕にもボンドをくっつけてああでもない、こうでもないと作りました。

 結果、悩んでつけたわりには写真を見るとみんな一緒に見えますが。頭飾り羽の位置、チュチュ部分のはねぐあい、どうってことはなかったが終わってみると懐かしい思い出になっている。


 さて白鳥の湖といえばマザコン王子!

 思えばこいつがすべての諸悪の根源で、この王子さえしっかりしていれば、そもそもロットバルトだってだましていたずらしようと思わない。そもそもオデットに会うきっかけも結婚なんかいやだとダダこねて、家来になぐさめられて、猟にも出かけたからだ。しっかり自分をもっている性格ならそれはなかっただろう。猟へは自分の意志で行き、結婚もしかるべき女性を自分でさっさと選んでいたに違いない。

 ふてくされて猟に出かけたからこそ、愛するオデットにも出会えたけど、一晩で愛をかわす性急さ。そして次の晩にオデットによく似たオディールに騙されて愛を誓うという頭の悪さ。

 最初の出会いであんなに控えめで清楚な感じで踊っているのに、どうしてわからないのだろうか。あんなに挑戦的な踊りもできるんだ、カッコいいなとでも思ったのだろうか。大体森の中で暮らしている昼は白鳥、夜は人間になるという設定で、王子と知り合ったとはいえ普通の女はその家(お城)までのこのこ出て行かないだろう、しかも招待もされていない婚約者探しのパーティーで。

 そんなこと実際にやったら単なるストーカーである。


 それでも王子は恋愛慣れしてなかったのか、純粋だったのかオディールをオデットと思いこみ、再度愛を誓う。オディールもしくは付き添いのロットバルトから愛を誓えと強要され、「昨日の夜は彼女はこんなに強気じゃなかったけど、まあ気が強いのもいいかな」 と思っていいなりになる。

 その瞬間。

 ロットバルトとオディールは勝利宣言。

「あっ、相手間違えちゃったんだ、ぼく」 とわかった王子はどうするのか、と思うとまっすぐに母親の王妃の懐に飛び込んで「わーんどうーしよー」とうろたえる情けなさ。女々しいことこの上ない。

 王妃も嘆き悲しまれるが、このマイム、王子のバカさを思えば「ああ、うちの子はどうしてこうなんだろうか、こんなのでこの国を存続できるのか、ちゃんと統治者としてやっていけるのか」と腹ただしく思っているように見える。

 だが王妃も王妃で、オディールが踊る直前まで他の花嫁候補者たちの踊りをロットバルトと一緒にどうかするとバレエ団によっては仲良く並んで酒を酌み交わしつつ観ていたりする威厳なしの王妃もいたし、よくわからない女である。

 私は思うのですが、ロットバルトやオディールはすぐに自分の正体をばらすという一連の動作がたんなる狐の化け比べレベルでほほえましく、決してだましたまま王子と結婚して王国を牛耳るという欲望はないようでそれでよかったじゃないか。

 あの去り方だって潔いし、「やーいやーい、だまさーれた!」 と喜んでいる無邪気レベル。愉快犯みたいだ。そう思いませんか?

 あのロットバルト、王子と戦うバージョンだって死に方もあっさりしているし、結構弱いですね。


 オデットも間違われて大変傷付いただろうが結局はやさしいのでおバカな王子を許してやる。(もし私がオデットなら絶対に許さん)そしてあの美しいグラン・パ・ド・ドゥになだれ込む。

 最後の最後は2人とも死んでしまうバージョン、そっちの方も見たことがあるが王子や王国の行く末を思うなら王子は死んだ方がよいとも思う。(最近は死ぬバージョンはなくハッピーエンドになっています。小さい子供も出る発表会レベルならその方が受けがいいよね)


 バレエ名作はいちいち細部にこだわっては楽しめないゆがんだ作風多し。あれは、振り付けと音楽を流して楽しむものですね。

 私は白鳥の湖が大好きです。






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