第8話・バレエを知らないひと達の話
以下はバレエを全く知らないひとから見たバレエ観の話しです。
バレエをという言葉を知ってはいても太もも丸出しの超ミニの横広がりレーススカートで踊るヤツ。とか、とても有名な白鳥の湖の言葉だけは知っていても中身はぜんぜん知らなくて、人間が白鳥に化けて踊るヤツ。とか言われたことがあります。確かにそうなんだが、化けて人をだますヤツだろう、と言われてキツネじゃないのに…と絶句した覚えがあります。
特に後者の人。じゃあ、一度一緒に見て見ましょうよ、とてもきれいだしおすすめですよ、と私がお誘いして観にいきました。
その人もバレエ初体験。結構わくわくしてこの公演を楽しみにしておられたようでこちらもテンションがあがります。外国のバレエ団の公演で主役は有名なバレリーナ。いやがおうにも期待感が高まります。
なのに、第1幕。
無事に終わりやっぱり綺麗だなあ、と私はうっとりしていたのですが、相手の人、だんまり。どうしたのか、よくなかったのかと思って聞いてみると、あちらは「白鳥の湖」って聞いていたのに、白鳥がただの1羽も出てこなくてふに落ちなかったらしい。
そういえば白鳥の第1幕は確かに白鳥は出てこない。王子が今度女王が開く舞踏会で結婚相手を決めなさいと言われていやだ~と思っている。だけどお付きのものがあそこに白鳥の一団が、あの森の湖に降り立っています、狩りにでも行きませんか? と結婚を嫌がる王子をなだめてなぐさめるのです。
第1幕は話しはそこまでで、確かに白鳥は出てこない。そう説明してじゃあ、第2幕が楽しみだね~と気をとりなおしてもらう。
そう、第2幕もおもしろい。王子とオデットの出会いがある。美しいパ・ド・ドゥやパ・ド・トロワ、4羽の白鳥の軽快な踊り、見どころはいくつもある。それにオディールとロットバルトがでてくるぞ~
3幕の結婚を誓うシーンで絶対波乱万丈を起こすこのオディール&ロットバルト。いいぞ~~。
なのに、第2幕では相手は退屈してうとうとしていたという。バレエを知らないひとには難しいのか?ただひたすら手足を動かしていて音楽も退屈でついうたた寝をしてしまったわ~と言われた。
そうですか、退屈でしたか?
そう言われれば自分自身も子供の時に観た白鳥の湖も確か退屈でぐずっていた覚えがある。おもしろいのは4羽の白鳥のシーンだけだった。それを思い返せば怒れないが。
それともう1つ。バレエを全く知らないひとからトウシューズをみて「纏足」みたいだねと言われたことがある。彼は男性でバレエを言葉だけダンスの一種、とまでは理解していたが観たことがなかった。テレビの宣伝かなんかで観たのだ。
あれを履いていて痛くないのか、纏足、知っているか、ほら、昔の中国で女児が小さいうちから小さい足になるように包帯を巻いておくヤツ。きつきつに巻いておくと足も成長しなくなるんだ。昔はそれが当然の風習だったんだよ。
そういや、その彼は歴史オタクだった。日本史にも中国史にも異常に詳しくもちろん三国志や水滸伝も大好きときている。
纏足は中国の上流家庭の子女の証とまで言われていたらしい。成長しても普通の靴では歩けない。足のサイズは13センチぐらい。よろよろとしか歩けない。今でいえば立派な小児虐待だか当時は大真面目な風習だったのだ。纏足をしていなかったらいいところにお嫁に行けなかったらしい。
私はトウシューズを纏足みたいといわれてある種の新鮮な? 衝撃をうけたが実際バレエを知らないひとから見たらそう見えるのかもしれない。
トウシューズなんか履いて歩く人は町中ではまずいませんしね。バレエを観る機会のないひとはホント、とことんまで観る機会がないのです。というわけでちょっとびっくりしたので書いてみました。
そうそう…その人からもう1つ。
トウシューズはいて踊る人って足の爪あるの? って聞かれたこともありました。履いているうちに爪がなくなると思っているらしかったです。