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第79話・足を高く、より高く!

 片足はすっくとまっすぐに伸び、もう片足はしゃんとあがっている。前、横、後ろ、どこからみても隙のない美しいポーズ。足が120度以上あがっていたら最高です。

 というのが理想ですが、私はそこまであがりません。

 産後バレエでは腹筋がゼロになった時期もあり、どん底時は情けないほど足があがらなかった。

 軸足まっすぐ、

 背筋まっすぐ、

 で足をあげる、だけど45度で精いっぱい、90度になると足が力尽きてぼてっという感じで落ちてしまう。鏡の前の自分の姿にがく然ともしたし、産後の身体は女性にとっては酷な無残な姿をさらしてしまう。自分がこうですので産後であっても綺麗な体型のまま維持をされている人はえらいと思います。


 主題に戻そう、足をより高くあげるには。

 ズバリ、腹筋と背筋を強くするしかありません。せっせと柔軟ストレッチをするしかありません。

 それで毎朝毎晩、何とか95度ぐらいならすくっと足を上げられるようになりました。アラベスクもまずまず。でも独身貴族時代と比べてはやはり体型で見劣りしています。

 客観的に私は自分が見えてます。ここまでかな、自分の限界が。

 年取るとそうやってあきらめがつくというか、何というか。

 体力面でもそうです。「老い」 には負けるもんか! と思いつつも自分の限界が見えてきてこれが地平線、このあたりであきらめて方向転換するか、それともあきらめずに突っ走るか。まあここまで来たんだし、生きてる限りはやれることはやってしまおう、というのが本当に正直な感想です。

 幸い私の周りの若い生徒さんは嫌な顔1つしませんのでね、ほんとイイコたち、有難いです。

 プロの人は産後でもきっちり体型も元通りにして、舞台に立ちます。産後へたになったと言われたりするようなへまはしません。影の努力もいっぱいされていると思いますが、うらやましい限りです。

 足を高く、より高く。

 もっと高く!


 ジャンプもそうです。その一瞬だけ空中に浮かぶ。

 ふわっと、その瞬間踊る人もそれを見る人も時が静止する。

 ジャンプの瞬間だけですが、きれいに180度足が開くのが理想。綺麗なポーズ。

 ああ美しい。

 私はうそは書けない性格なので、正直に書きますけど、低く飛んで最大90度、そしてぼてっと落ちるジャンプ。

 空高くではなく、ちょんと飛び跳ねてますという感覚。もちろん時は静止してくれない。普通にいつもどおりに時間が動く。

 産後バレエの敵は自分。

 自分の中の最大の敵は「老い」

「老い」の最大の敵は「寿命」

 命ある限り、バレエに触れていたいです。足が上げる位置、そりゃあ120度ぐらいはあげたいけど、それも生きていればこその話。

 バレエを楽しむ心の余裕と体力あればこその話です。恵まれているんだ、と思いたいです。

(でもやっぱりもっと上手になりたいです。)





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