第78話・ロシアバレエ
このところ、外国人教師が増えている。有名無名問わず、どこかのバレエ団に所属しているダンサーが指導しにくる、もしくは日本に永住して腰をおちつけてバレエ教室を経営するというのが近年増えている。
日本がいかに物価が高いとはいえ、基本バレエの日本人生徒は、素直だし清潔だし何よりも生徒の親の金払いがいいし。腰をすえて指導して、そしてそこからコンクール受賞、入賞者が出たら知名度も出るし、すごくいい金儲けにもなりかねないし、と思う。
林立するバレエ教室の中で、やはり注目度が高いのはロシアバレエ団出身の先生だ。ロシアといえばバレエ界の最上ブランドだろう。そして彼らのプライドの高さもまたピカイチ。
しかしながらロシア出身の先生はまだ小さいころから選抜を受け、選ばれて入学する。バレエ一筋で学校生活を過ごし成人、というパターンできている。
だから何というか親や自分のバレエにかかるお金のやりくりとか見てないし社会生活の方も全寮生活だと言うし、全部国のお金≒税金でやっていたので金銭感覚自体が違うと思う。
それとここからが一番大事。
ロシア国立バレエ学校の生徒は入学にあたり2世代前の祖父母の体型からチェックを受けるというしバレエ学校入学前から非常に厳しい競争世界を生き抜かないといけないのだ。
祖父母の体型でなんかでおとされちゃかなわないがそれでもなお希望者がいるのだろう。
そして1年次から丁寧に丁寧にバレエの基礎から教えてもらう。
そういう教育を受けてきた人が日本で希望者はだれでもウェルカムで、だれでも踊りができてバレエ教室によっては経済的に恵まれた子が良い役をもらえて、というのは信じられないだろう。
実際ロシア人講師の誰それはオープンレッスンでも体型的に恵まれたアンディオールの子しか声をかけないということも聞いている。つまり自分から見て見込みのある子しか見ない。
体型的にダメだなと思うと親が高いお金出そうが、本人いくら熱心だろうが関係ない。無視きめこむ。 またアンディオールの子はバーについてれば何もしなくとも自然とわかるので指導を入れるが普通体型の子はそこそこ上手でも全く注意をされないということもある、らしい。
厳しい教室では先生が日本人でも一番上手な子だけ集中的に見て指導も入れる、それ以外の生徒はそれを見て我がフリ治せというセルフバレエみたいなところもある。実際趣味ではなく本気でやろうと思えば、本当のバレエはそういうものかもしれない。
ロシア本場の教師にはいいところもあるのだろう。結構希望者が多いらしい。
個人的には「才能ゼロでもとにかく丁寧に1人1人まんべんなく注意」をしてくださる先生がいいですが。
」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
この人のどこに文句がある? という人が踊っているそばで、日本人の踊りは基礎からしてダメです、とインタヴューで言っている人がいて思わずのけぞったことがある。バレコンで入賞歴ありまくりの人でもロシアのバレエ学校に留学して根底から覆されるようなことを言われて自信をなくすケースもあると聞いたし、厳しいところはほんと厳しいです。
たぶんプライドよりもバレエの「視点」が日本人教師と根本的に違うのだと思う。
またロシア、次いでヨーロッパよりもぐっと歴史が浅い、オーストラリアやカナダのバレエ団のえらいさんが来日してバレコンの審査員をしていて10歳前後のチビさんがダイアナや黒鳥でもきっちり踊りこなしているのを見て手放しで「わが国ではこんな小さな子供がこんなの踊れる人はいません」 とほめているのもある。そういうところへ留学で来たらほめられつつ、のんびりのびやかに踊れるだろうと思う。
留学の壁は昔ほど高くなく、あちらも日本人生徒は真面目で大人しく問題を起こしにくいというので外貨稼ぎもあってドウゾキテクダサイ、ですね。
多少のオーディションはあっても、そこそこ上手+お金があればどこの国でも基本選び放題っていうのはすごいです。
今バレコンではサマースクール等入学で受講料が割引(割引率が入賞度? によって違う)きくのが商品というところもあり、日本人のバレエ学校選びも年々グローバルになってきていると思う。
逆に外国人が日本のバレエスクールに入学する話は全く聞かない。それは日本の国自体が職業バレリーナの地位を押し上げようとか応援してあげよう、という気がないことを象徴している。
世界のあちこちで日本人バレリーナが活躍しているのだもの、国が本気だせば長ーい目でみればロシアのプライドの高さも吹っ飛ばせるほどバレエ隆盛国になるぞとは思うのですが。
」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
ちなみにロシアも国立バレエ団は1つや2つではありません。みなさんの方が御存じだとは思いますがボリショイ、キーロフ、ダンチェンコ、ペルミ、キエフそのほかたくさんある。
日本では国立は1つだけ。公演のたびに助成金をもらっているところは多いが、このまま現行でいくのだろうか。




