第75話・目がまわるっ!
シェネすると目がまわってきますね?
私はすごくまわります。2,3回転ぐらい短いのなら目はまわりませんがレッスンスタンダードコースというかごく普通の? 短い距離ならまわります。まあこれは一時的なものでシェネを終えるとちょっとだけとってつけたようなポーズ(目がまわっているのでやや投げやりです) をしてささっと奥へ引っ込みます。
目がまわるのはまわりが回って見えます。もう毎回毎回の話なので慣れっこになってそれで気分が悪くなったりしたことはありません。次の左側から入る時にはすでに目がまわっているのは収まっています。 で、今度は反対側に目がまわるのだ…。
すごい上手な人に恐る恐る聞いたら「いえ、私も実は目がまわってますよ」 と告白された。
「ほ、ほんとですか、あなたのような上手な人でも目がまわるんですね」
奇妙な安心感が私を包む…。
心強くなった私は先生にも恐る恐るお伺いしてみました。先生はにこやかに返事されました。
「ええ、実は私も目が回っている…時もあります」
「そうなんですか、先生のようなプロのお方でも、目がまわるんですねっ!
どういうプロでも私よりはひどくはないけれど、きっと目はまわっている。
プロでもアマでも実はみんな一緒なんですね! 」
先生は笑顔のままで困ったように言われた。
「いえ、プロ中のプロなら目がまわってないと思いますよ、あのですね、表裏きっちりしていれば理論的に何回まわっても目がまわらないはずなんですよ。
少しずつだけどずれていくから目がまわるんです。正確なパを誇るプロなら目はまわってない…はず…ですが」
先生も確信がないようできっぱりと言わない。
私はバレリーナのインタビュー記事を読んでいてもどかしく思うのはいつもそこです。今度の公演のあらすじや由来、役への思い入れとかはまあ当然インタヴュアーの仕事だからそつなく聞いてはくれるが、踊る人たちのためへの一言コメントを聞きだしてくれたらもっといい記事になる、と思います。
たとえば冒頭の話題のように「あなたはシェネをするときなんかいしても目がまわりませんよね? 」とか。
さらに。
「手の動きあのすばやさはどうやって練習したんですか、くわしく教えてください」
「貴女も私と一応私と同じ人間じゃないですか? ゲネプロとかレッスンで失敗するときって貴女でもありますよね? そういうときは自分で自分のこと、どう思いますか」
「前の公演の◎◎役の時、第3幕の◎場のヴァリエーションで1個パをとばしましたよね、あれはどうして、ああなったんですか? ああいうときはどうやって頭の中や体でフォローするんですか? 観客にわからないけど失敗ってあるじゃないですか、ああいうときは楽屋でみなさんにあやまるのですか? 」
(宝塚では公演終了後各楽屋部屋全員に対して謝罪にいくらしい、バレリーナはどうだろう)
「オーケストラとかピアニストと動きがあわないときってどうしてもあるじゃないですか、普段言いたいことってどんなことがありますか、オケの人同士の軋轢って聞いたことあるけどダンサーとオケの場合もありますか? そういう時は指揮者とダンサー、もしくはオケ集団VSダンサー集団になるの? もしそうなったときは仲裁は誰が? 貴女のばあいはどんな? 音のあわせはどっちが優先でどっちが譲りますか、オケ側が間違えたりしたらわかるでしょ、1人だけ音はずしたな、とか。どう思いますか? 指揮者が次の場でちゃんと打ち合わせしたのに、早く音を出したせいで息をちゃんと整えながら出れなかったとかあるでしょ? どう思いますか、腹がたちますか? オフレコで記事にはしませんからどうか教えてください」
「コリオグラファーのふりつけでこんなのヤダとか思いませんか? こんなの観客に受けないよ、やってられない、とか」
「腹の立つ観客、嫌いなファンっていますか?
何時間も待っている出待ちの人に対してどう思いますか?」
「上手に踊れるようなおまじないとかゲン担ぎがあったら教えてください」
「ポワントで痛いと思った時どうしてますか。
これは仮定ですが貴女は今日は本番なら調子が悪いです、そういうときはどうしますか。
生理中で気をつけることは?
やっぱり薬は必要にあわせて飲みますか? 」
「気の合わない人と踊る時や気に食わない人と踊る時ってどうやって気持ちを整えたりしますか? 」
…、オフのときは何をしてますか、という質問はどうでもいいので、そういうことを聞いてほしいです。でも失礼かな? 怒りだす人もいるかもしれない。
履いてるポワント、気に入りのレオタードファッションとかその公演にでるバレリーナで一覧表にするなど、そういう企画をしたらおもしろいと思う。案外バレエ団ごとに特色みたいなの、出るんじゃないかな?
(クロワゼや大人からのバレエでプロのファッション紹介してくれるときもあってこういうのは大好き、もっと特集してほしいです)
まあ真実お友達になってくれないと本当の本音を教えてもらえないかもしれません。




