第66話・女だらけのレッスンで
バレエ人口は圧倒的に女性が多い。だけど少数ですが男性がいます。私はどれだけクールな男の子でも平気です。異性への意識もありません。
年齢的にもビジュアル的にも恋愛の対象にはもう論外、圏外の年齢&外観になってしまうとこんなもの、でしょう。
でもこうなるとかえって気楽です。これでも若い時には海外から来た男性から誘われたりしましたけどね。(というか女性を誘うのが礼儀の国からきた人だった。帰国後他の人にも、しかも何人も誘っていたのが判明してなるほど、女性を扱いなれていると思った。あまりのあざやかさに怒るというよりもみんな感心しました。彼は会話がまるで通じないのにおもしろかった。寝ませんでしたけどそれでよかったと思う。プロのソリストとかではなく下っ端でしたけどいい思い出になってます。)
上手な男性プロがレッスンに参加。だからといって、わあ、かっこい、あの人に気に入られたい、今度の発表会ではあの人とパ・ド・ドゥを組んでみたい、とは全く思いません。
むしろどれだけ踊れるか上達されたのか一緒に踊りましょ目線よりも、「観客目線」 で観ます。
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今の平成生まれの子は(私は昭和生まれです) 体型的に恵まれた子が増えている。身長高く手足長くバレエ的にヨーロッパ系の人と並んで踊っても遜色ないぐらい。
そして体力もある。持久力かつ底力のある子はバーの上よりも高く飛ぶし、天井に手のあとがつくぐらい飛ぶ。
バレエをする男性は少ないです。だからこそ目立つし、先生も指導に力が入る。少なく注目されるからこそ、上手にならざるをえないということもある。男子生徒が1人しかいないところでは自動的に王子様役になったりもする。
はじめて1年もたってないのに、発表会のために10年以上バレエをやっていた女の子と初めてのパ・ド・ドゥをいきなり組まされたりもする。大変なのか、いいところなのか当事者にはしかわからない想いもあるのはあるだろうな、と推測する。取材というか、好奇心でそのあたりをインタビューしたみたいですね。
さあバレエをしている男の子、全員がんばれ。
さて、ある人が子供を連れてレッスンにいった。子供は男の子。そこのバレエ教室には男性は1人もいない。
先生が「ねえ、キミ、王子様になりたくない? バレエをおどってみない?」 と勧誘されたそうだ。
男の子はすぐに首をふって断った。あとでその人(親)が「踊りたかったら踊ってもいいのよ?」 と言うと「バレエは女の子を持ち歩くからイヤだ、男は損だ」 と答えたそうだ。
笑い話になったけど、それはその親子が他の男の子のバレエレッスンを見たことがないせいでもある。
私はボーイズクラスも見学したことありますは、いつも女の子と踊っていない。むしろとんだりはねたりのレッスンが多くてハードでした。
ただパ・ド・ドゥだけの公演とかみていると確かに男性が女性をリードしているように見えないこともない。女性を持ち上げたり、ピルエットのお手伝いをしているようにみえる。それが面倒そうとか思うのだろうか。
そのあたりの心理は男の子でしかわからないけれど、でもパ・ド・ドゥもお互いの協力努力がないといいものにならない。女の子も頼りっきりだといい踊りはできない。男の子もまたしかりだろう。 バレエ男子、もっと増えないかな? 私バレエアニメの原作でも書こうかな?
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女性だらけのレッスン場に男性1人で受講されたとき。
その人は実は発表会用に先生が頼んだ人だった。(私はコールドなので一緒に踊らない。) 彼の視線は常に自分の身体。着替えに半裸の女性がいてもものすごい美人がいても関係なし。無駄口もたたかない。
まさにプロの人だった。
自分の身体を丁寧に、丁寧に、持参の器具をつかってほぐしておられた。その間は誰ともしゃべらない。それはもう真剣に。
自分が踊ることによってお金をもらっておられるのだ。身体が資本なのだ。代役はなし。女性のなかにぼく1人男はイヤダ、など下世話な感情なんか皆無だった。
プロの男性ダンサーってこんなに丁寧にバーをするんだ、ストレッチするんだとびっくりした。だけどプロだからこそ、こうしてやるのが当たり前なんだという意識もわかってよい勉強になった。
確かに怪我が一番コワイ、プロとしての当たり前の日常のヒトコマだったかもしれないが私にとっては良い刺激で感銘をうけた。
楽しく踊ればいいのよ~というスタンスでのバレエレッスンもまたいいけれど、発表会をきっかけでプロを(一緒に踊れないけど)見学というか仰ぎ見ることができてよい勉強になった。




