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第62話・バレエ富士山

 いきなりですがドガの踊り子シリーズの絵はいいですね。

 ダンスシーンの一瞬を1枚の絵画にして描いている。

 ドガは本当に動きのある絵をよく描く。

 エトワールシリーズばかり有名ですが。ほかのバレリーナの絵もよく描いている。私はオーケストラの中から見たバレリーナ達の舞台の絵が大好きです。 


 エトワール。

 本作はパリオペラ座のバレリーナとそのパトロン、といった構図らしいです。はっきりいって当時のバレリーナはパトロンがいないとやっていけなかった。バレリーナに限らず画家や彫刻家などの芸術に関与する職業にはお金がかかるので貴族や資産家がバックについていないといけなかったらしい。

 絵の中の彼女たちはバレリーナとしての技量+器量とスタイルをチェックされています。生活がかかっているので死活問題です。そう、パトロンのチェックを受けているところ。

 さて、そのパトロンは舞台そでから彼女をうっとりとみているのか、それともこれからHすべく性的な妄想もまじえてこの女にはいくらでやらせてくれるか、と考えているのか、どちらだろう。

 当時の女性の服装はスカートを膨らませて足首も見せないドレスなのでバレリーナははっきりいって足を全体見せるのは一段下のクラスの女性、貧しい階層出身であった。それで幼い時からバレエという技術で特殊な能力を発揮してパトロンを得て…という構図。

 はたして絵の中の彼女が身を売るのはパトロンのためか生活のためか、そしてバレエのためか。

 私としては、彼女はバレエを続けていきたいがための努力だったと信じたい、そう思いたい。

 あのうっとりとした表情。あれは決して私ってスタイルいいし床上手だしぜひぜひ買ってね、お買い得よっ! ではなく、音楽に身をまかせて音楽の調べのままに身体を動かしていると信じたい。

 パトロンに良いところをみせるため、とかではなく。


 これはパリオペラ座の踊り子という触れ込みなのではっきりいって「売春」 という言葉にそぐわないほど上品。もっと場末の芝居小屋なんかあからさまでもっとひどかったのではないかと思う。

 イギリスやフランスがそうなっていく。

 しかし娼婦は古今東西問わず、芸術に関与している。一般女性では貴族階級でなかったら全然太刀打ちできなかったに違いない。娼婦のなり上がりで国家権力を持った女性も多い。

 でもバレエが上品というイメージを決定的にしたのはやはりロシアです。国家的な庇護があったにせよ、いろいろありすぎて有能な踊り手がヨーロッパに飛び出した…このあたりはバレエ批評家がくわしく本にしているから私ごときがいうことではないけど。


 ドガの書く絵のタッチはルノワール系列というか、ぼんやりとした鈍角な絵というか。それでもって一瞬の動きを的確に描くのがすごい。後世に残る名画と言われるのもむべなるかな。


 ところで日本ではお嬢さん芸とか言われるバレエ、ごく一部しかコアなファンがいないと言われるバレエ。もしくはバレエを習っている人しか舞台を観ないバレエ。

 はっきりいって現状ではいけないと思う。日本ではバレエよりもバレエ「教室」 の方が隆盛を誇っているが、いいのか悪いのか。裾野が広がっているとおもいたいけど、現状のままではいけないと思うこともある。

 日本の国家権力? がバックについた国立バレエ団も一応あるが国立とは名ばかりで、実情はいろいろあるとは聞く。

 日本にはバレエ教室が林立しているおかげで、バレリーナの卵がすくすくと育っている。国際的なコンクールにも日本人が続々と入賞している。バレエ後進国である日本、バレエの歴史においてはヨーロッパと比べて非常に短期間でよくぞここまで有能なバレリーナが育ったと思うくらいだ。

 先人の血のにじむような努力に感謝しないといけない。昔の日本人ははっきりいって体型が不利だった。くやしい思いを相当したこともあっただろう。それをばねにして、彼女たちは後進を育てた。今その実が実りつつある。

 そしてそれは私のような大人バレエの隆盛にもつながった。

 バレエの裾野が広がって子供のおけいこごととしか思えなかったバレエ教室も今やどこでも大人クラスがあってうれしい限り。

 プロならとっくの昔に引退している年でも堂々とポワントに挑戦してレッスンに励める喜び。身体をうんと伸ばして手も足も解放できる喜び。もちろん上手な人と見比べてはがっかりしたり恥をかいたりするけれども、それはみんな一緒。

 みんな最初からきれいなピルエットをきめたりアラベスクできるわけでもないのだ。


」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


 以下は思い付きで書いたバレエ富士山の話です。

 世界遺産の富士山でバレエの世界を表現いたしましょう!


 私は富士山登山からみたら年ばっかりくってまだ5合目半あたりかな? もちろん一生頂上には登れないことはわかっている。

 富士山の裾野・・バレエを見るだけの人

 5合目・・・・・バレエレッスンだけで満足の人

 6合目・・・・・レッスン+発表会に出れる人(コールド専門)

 7合目・・・・・レッスン+発表会(ソロにも出してもらえる)+コンクールに出れる人

 8合目・・・・・上記に加えてコンクールで入賞歴あり、まあどっかのバレエ団員にはなれるだろう。

 9合目・・・・・上記に加えて優勝歴+著名な海外や日本のバレエ団のソリスト。

 頂上!・・・・・上記に加えて世界中の人に名前が知られるプロ中のプロ!


 バレエレッスンに参加しただけで5合目にしたのは観るだけなのとやるのとはすごい差があると考えるからです。富士登山は基本誰でもできます。頂上をめざせるのも誰でもできる。

 でも「バレエ富士山」 は誰でも観れますが実際に登山する人は一握りです。しかも7合目から年齢制限アリです。せいぜい20代前半まで。そして頂上に上がってお鉢めぐりまでイケルひとは世界でも数人です。

 本当に厳しい世界でございます。






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