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第56話・大人バレエのいたいところ

 ずいぶん前の話です。

 某先生がヴァリエーションクラスを開講。私の所属している大人クラスもヴァリエーションに憧れている人もいて大喜び。ヴァリエーションといえば、オーロラ姫やオデット。絶世の美女のお姫様、主役。その振り付けが学べるわけ。大人からのバレエでも一曲ぐらいは踊れるようになりたいものです。

 時間や曜日もなんとかやりくりすれば行けないこともない、なので私も他の人と一緒になって私も参加させてください、とお願いした。

 すると歯切れが悪そうに先生が「いや、これは大人クラスの人はちょっと……私が選抜した小中学生だけの受講になります」 という。

 断られたのだ。

 子供には無限の可能性がある。未来のプリマが私の指導で誕生するかもしれない。だが大人からではコンクール要員にもならないしね。教室としてのキャパシティもあるし、先生の時間の都合もある。だから仕方がない。

 バリエーションクラスは他にもさがせばあるし大きいオープンクラスならコマ数は少ないけど誰でもウェルカムなのに。個人バレエ教室ならそんなものだろう。これよりももっとシビアなところもあるだろう。けど私はすごくがっかりした。


 以前に大人と子供の合同クラスしかないバレエ教室の体験にいってそこの若い先生が見事に大人を無視した指導をなさるのであきれて1回こっきりの体験だけでやめたという話をした。でもこれと上のヴァリエーションの話は大人バレエの現実をある意味象徴していると思う。

 大人バレエははっきりいおう、だってこれを書いている私も大人バレエ。

 プロでもない大人バレエはイタイのだ。かわいくもない、どうかすると綺麗なお化粧をしていてもよくみるとしわがよっていたり首や肩に年齢が明らかにでていてどうもババくさい。

 それなのに、若い子が着ていれば似合うデザインレオタードも中年が堂々と着ていて暑苦しい見苦しい。

 さらに中年太りの人は更にイタクて見るには耐えられないモノもある。発表会の時は子供と合同なので仕方なく(!) 観てしまうけれど、コールドでも若いコの中一人か二人、なんとなくくすぶってちょっとテンポがずれててイタイのがいる。客席の人がナンダ、アレは……と目をこらしてみなくとも明らかに年よりだ。よく踊れるもんだなー、身の程知らずだなー……とか。

 へえ、ここの教室はこんなレベルの人でも発表会にだすんだなー、すごいなー。とか。(だんだん自虐的になってきた……)

 たとえば発表会の花のパ・ド・ドゥ。相手の男性が教室にいなくてプロを雇うとする。踊るのが子供だと何も言われないのに、こんなに若くてこの役だとよほど将来性ある子なんだと好意的に思われるけれど。大人だとこの男性プロと一緒に踊るのにいくらお金を払うんだろ、とか金持ちだな~とかリフトが多い演目だと老人介護みたいじゃないかって思われる。(←ひどい)

 かように大人バレエはイタイのだ。

 子供みたいなひたむきさ、初々しさはかけらもない。緊張感はある程度は伝わるがでも年とればとるほど、自分の年を考えもせず、いい年してあんな色のチュチュ着てよく踊れるなーみたいな憐みの視線がこっちにも刺さってくる。

 いや、思いすごしだといいのですが?


 それに大人バレエである程度踊りこめる人はやはりナルシストが多いような気がする。気のせいだといいんだけど、でもそういう人が身近にいると余計に痛々しさがただよう。ナルシストは他人の視線を気にしない。その図太さは超うらやましいですね。たいてい容姿もそこそこいいが、かような自意識過剰さ、自信たっぷりさがうらやましいというか、イタイというか。


 でも発表会に限らず、どう痛々しくともでもやっぱりみんな上手になりたい気持ちは同じです。若い人から煙たがられないように、邪魔にされないように……バレエを楽しみたいです。






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