第49話・稽古事の人間関係
バレエに限らずなんでもそうだと思いますが、大好きなお稽古事をしているのに、時間とお金をやりくりして楽しみにしてきているのに、それ以外のことに煩わされるのはイヤですね。
先日実家の母より、くら~い声で電話報告がありました。
母は実家近くのスイミングスクールに通っています。高齢者向けのプールに入って水の流れを利用したウォーキングやアクアビクスをするわけです。肥満や老化、腰痛予防です。
母はそれなりに楽しく通っていました。ある日のレッスンを終えてシャワーを浴びようとしていた時、あいにくとどのシャワールームもふさがっている。母は予定が入っていて早くシャワーを浴びて身なりを整えてスクールを出ないといけない。いつもは3つあるけど、今日は1つは調子が悪いらしく使用禁止。残る2つは使用中。
急いでいるときに限って、シャワーがなかなかあかないものです。母はちょっといらいらして待っていたそうです。
「あれ? マルマルさん(母の名前です)まだシャワーあかないの?」
と通りすがりに誰か友人が聞いてくれたので母は何気なく「ええ、まだあかないの、予定が入っているのでちょっと困っているのよね」と言ったそうです。
それがシャワー内にいた人に聞こえたのですよね。いきなりシャワーカーテンがあいて
「前で嫌味も言われては、ゆっくりシャワーも浴びれないわよ、最低ね!」
すると隣のシャワールームもカーテンがあいて別の人の声がした。
「ホント、私にも聞こえた、いや~ねっ」
お二人ともスイミングスクールに長く通っていて母とももちろん顔見知りで世間話もする。
母は悪かったと思いすぐに謝りました。
「ごめんなさいね、この後駅で待ち合わせがあるので、つい……」と弁解したそうです。
だが母の言い分では謝っている最中なのに当の二人のお顔は鬼のように堅く怖く「さあ、行こう、行こう」と無視してロッカールームへ行ったそうです。
母は急いでシャワーを浴びてロッカーに戻り、またあの2人に会う。急いでいたなりにももう一度詫びて着替えて駅に急いで行ったそう。
後は後日談。
皆さん察しがいいでしょうが、あの日残された例のお二人が母のことを悪口三昧。
で、以下はスイミングスクール中で広がった母の悪口。
「あの人はシャワーを浴びている私たちを追い出した」
「シャワーは一つだけで使えばいいのに、二人とも早く出ていけと言った」
「ひどい人だ。そういう意地悪を言う人だとは思わなかった」
「そういえばあの人は、いつも時間ぎりぎりにレッスンにくるくせに大きな顔をして、いい場所をとる」
「確かにそうだ。わがままでどうしようもない人だ」
当日母に話しかけた人、当事者ですね、母をかばって事実はそうではないと言ったそうです。きっかけはどうであれ、母が急いでいたことによる。母はあちら側にとっては早く出ていけととられても仕方ないし、自分が悪かった。だからきちんと謝罪もしたつもり。それで終わった話だと思っていた。
が、もう遅い。
当の二人は母を悪人として悪口を広めるのがきっと楽しかったのだろう、またおもしろがって同調する人もいたらしく次のクラスからほとんど全員が母が挨拶しても無視するようになったらしい。挨拶しても誰も挨拶を返してくれなくなった。こんな事態になるとは思わず母は茫然する。
このスイミングスクール、本来の練習生や学生、大会に出るような子は午後や夕方、夜に出てくる。だからスクールの経営上の対策から、空けておくのももったいない、高齢者用に平日の午前にクラスを作ってあるわけだ。
必然的に比較的元気で、ある程度スクールに通えるヒマもお金もある元気な老人が集まってくる。しかも女性ばかりときている。
母はくだらないきっかけでそこで無視という集団いじめにあったわけだ。もちろん全員が全員ではないだろうが、こういうお稽古事は遊びでくるようなものだから、おもしろくない。水泳大会に向けてクロールの成績をあげにくるわけじゃない。人間関係重視でくるわけだ。
母は結局、そこをやめてよそへ行くようになった。
残った友人の情報によれば、例の二人は別の人をターゲットにいじめているそうだ。男性の若い先生にいい年をしてコビを売ったとか売らなかったとか。
怖いですね、老人パワー。
でも老い先短い老人の楽しみごと、もう人間関係修復が大事とか、どうのこうのという年ではない。よその、別の世界に移るということも一つの選択で、また楽しいスイミングライフを送っている。そういう意味では母の選択は正しかったわけだ。
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で、今度は私の話。
先に私よりもずっと年長な人のトラブル話をしたことがありますが、あれ以降も険悪です。
さきほどの母のように思いきって、別の数あるバレエスクールに移ったら解決にはなるでしょうが私は移りたくない。問題になるのはその人の存在だけなので、先生が問題なし、というより私がその先生に習いたい、のです。
その先生に師事するようになってから、ある敏いバレエの先生は「ちょっと踊りが変わったね、誰かいい先生見つけた?」と聞かれました。
踊りが変わったのは、自分でもそう思う。その先生の指導法のおかげだ。だから、そこの教室は不定期で行っていますがその人の存在があるというだけでよそへ行きたくないのですよね。
第一、先生には来るなとは言われてないし。
だがあの人がイヤ…。
初心者の成人がきてもごく若い人ならかわいがられるけど、私のような子持ちで踊りに癖のある人は、近親憎悪なのか態度で嫌味を示す。だから私のような人は、いつかない。生徒数も明らかに減っている。理由は初心者生徒がいつかないから。その先生は見たところ商売気があんまりないのでそれも問題ですが、私が見たところ「その人の存在も大きい」と思う。
確かに初心者には最初は親切だ。私だって新顔の時にロッカーの場所など教えていただいたし。
だけど通ってくるうちに…のパターン。そういう嫌味や注意の現場は絶対先生の見ていないロッカー室や、バーの端っこです。
私より長くかつ定期的に通っている人も同じようなことは言っている。だから言われるのは私だけではないのだ。
私の場合レオタードが自分が気に入らないからって変だと言われる必要も何もないし、私もバレエを年数だけはしているから、場所位置も心得ているし、バーの譲り合いも知っている。
全クラス受けに来ているわけでもないたまにしか時間をやりくりして遠方から来ている私に対して「なんで?」とか思う。
こういう人にありがちなのは「教室のムードメーカー的なところ」。基本的に朗らかでいい人なのだ。 これはお約束。
いつもきているので先生も遠慮するし逆に重宝して事務的な仕事も頼んだりもする。どうやらその人は先生と昔からの知り合いらしく一緒に食事をしに行ったりもするらしい。
だから他のまわりは何も言えない。言われても内心はまたウエカラメセンで何かいってるわ…と思いつつ私以外の古い人は上手に話をあわせて笑いあったりもする。
弱ってしまうのは一緒にいた人も(つまりその人の仲良しさん)私に敵意ある視線をぶつけてくること。バレエやっているときは夢中なので何もわからないけれど、しゃべったこともない人、私が誰かもよく知らない癖にその人と歩調を合わせて私が挨拶してもさっと横を向いたりする。
たまにしか行かない私に対してそこの生徒代表(上手と言う意味ではなく、いつも来ているという意味で)がそういう仕打ちをするんであきれた。いい年をしてつまらないことをするんだな、と思った。
今後当の先生まで巻き込んで先生自身がその人に同調されたら、もうその先生とも縁がないと思ってそこの教室はすっぱりやめようと思っている。メールで相談済みですが先生はどうぞきて下さい、といっていただいたのでたぶんそれはないだろうと見ている。
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なぜ全然関係ない母のスイミングスクールの話から始めたかというと、その先生の存在の有無が私にとってウエイト100%を占めるのだ。母のようによそのスクールに移ったらいいという問題ではない。
そのクソババアがいてもなお私はその先生に習いたいのだ。もっと上手になれそうだと思うから。(全く気に入られてはいないが、だが来るなとまでは言われてない)
若い子、まったくの初心者には慕われてもこういう大人組に敵意を持つっていうのは芸術家気質というよりは、単なるわがまま気質だろう。
こういう人の存在が頭に離れなくてうつになった人をしっている。そして他人をうつにさせる人は絶対に自分では悪いことをしていないと思うのが問題なのだ。そして一部には人気ありときてるから始末に負えない。(自分の気に入りの若い子、幼い子、そして上手な人には超親切だから)
私はバレエだけをしたいのに、こういう余計な感情にとらわれる自分をまだまだだとは思う。
近況:先日以前来られてやめられた人から聞きましたが、例の人から「ここは上手な人しか来れないクラスなのよ」と言われたそうです。いろいろあってイヤになったのでもう行きません、と伺いました。経営者たる先生にとってはこれは完全に営業妨害だと思うが私は知らせる義務はないし多分ずっとこのままだろうなと思う。




