第48話・アタマ真っ白現象
何を考えているのか、何をやっているのか、自覚しているようですが自覚していなくて、思考能力が瞬間的に欠落している現象を「アタマ真っ白」と名付けます…。白髪などとは関係のない話です。
(前置きとして私は幼いころから一貫して誰にも認められない、目立たぬ生徒であります。透明、空気状態と思っていただけたらわかりやすいと思います。)
たまに…。
先生の視線がこちらを(私の方を)向くときがあって、それをコンマゼロ以下の速度で動物的に察知します。人に見慣れられない人なので、先生がこっちをご覧になっている! というとき、見事に失敗するのです。
特にピルエット。
練習時はそんなに何回もしないのに、プレパレーションで…あ!!先生の視線がこちらになっている! っと思うと頭の中で「たまにはせんせいのめのまえでじょうずにおどりたいわ」 …とアタマが真っ白になりワーンとなって結局失敗するということです。
だめだ、失敗した~と思いつつ先生のお顔をみると先生はもうこっちを見ないで他の生徒さんをご覧になっている。ほっとすると同時に貴重なピルエット、失敗した…とがっくりしてしまう。
なんにせよ、少しでも上達したいという気持ちは一緒で、別にプロでもないし、レッスンなのだから失敗してもどうってことはないけど、見られていると思うと、少しでもいいとこみてください、という欲望が頭の中で渦巻いてくるのです。
この時間は本当に1秒にも満たない瞬間といいってもいいくらいなのだが、まさに先生の前できれいに踊りたいという気持ちが沸いてきます。
上手に踊れない自分が一番悪いのはわかっています。ですので、私は欲張りなのか、見栄張りなのかと思うわけです。
その短い時間確実に血圧はあがってるだろう、気の弱いダメな話で恥ずかしいですが私はそうです。
それともう1つ。
アタマ真っ白現象状態になりやすいのが苦手なアレグロ。センターでアサンブレとかしますよね。今週はなんとかついていった、と思っていると「じゃ、次それの裏やって」 と先生が一言。
するともうできない。アサンブレいつも表しかしないから基本から全然だめ。
さあ早く後ろにさがるんだ…と頭の中ではきちんと理解はできてはいる。しかし身体がついていけないという。
でもできる人、得意な人はどういわれても練習時間ゼロで音楽が流れても臆することなく完璧にする。頭いいですね。
アレグロ、アサンブレ、クペ。パドシャも入るともっと不得手苦手で全然だめだめだわ。ワルツも内容によっては左右対象にきちんとできなかったりする。だから私は最前列最初に踊るのは苦手です。




