第20話・シェネの話(私の場合)
センターレッスンもたけなわの頃。アンシェヌマンにシェネが入ります。
くるくるくる…上手な人は足も1番に揃えて手もまあるくまあるく。そして速度も速い。
くるくるくる…ああ、美しい!
シェネはソロで踊る人や役をもらって1人で踊る人には舞台上では必ずといっていいほど入る。私のように万年コールドだとほとんどシェネは舞台上ではしませんが。だけどレッスンでは必ずシェネは入りますね。
シェネは大事なのはとってもよくわかる。
私自身はシェネは好きでも嫌いでもない。短い距離だとまあいけるが長い距離、たとえばレッスン場のはしからはしまで、や1周まわってとか言われたら必ず目がまわる。
「目がまわる」…のはあまりよくない。
バレリーナは決して目をまわしてはいけないのだ。
何十周まわろうが、フェッテでもピルエットでも回転技は数多いがバレリーナは決して目をまわさない。どんな役であろうと目はまわらない。舞台上でもへろへろになってあ、めがまわってるな、という人も見たことはない。
以下は私のシェネ話です。
レッスンはレッスンなので人様には見せない。よってレッスンではいくらでも目をまわしてもいいのだ。
なぜ目がまわるのか? 顔の付け方はいまだによくわかっていないせもある。勢いよく4,5回ぐらいなら目はまわらないが端から端まですると目がまわるのは、顔の付け方が悪いからだ。少しの距離なら大丈夫ってのは、ごまかしの他ならない。私の練習不足でもある。
シェネってのは振付ではおまけのようでおまけではない。大振付という言葉があるのかどうかは不明だが最後の大技のタメをはるような時にさあいくぞ、というバレリーナ特有の気合い技? にもなりうる存在だ。
それから大技が終わって小技? そして終焉、になろうとするときに決めのポーズをする直前にシェネが入ったりする。ハンバーグで言えばつなぎになるのだろうか。あんまり目立たないが、なくてはならないのがザ・シェネ!
アラベスクやピケはある程度ごまかせるがシェネもまた短距離ならばごまかしがきく。だけど見る人が見ればシェネの足の運びで、短距離でもああ、この人上手だなってわかるときがある。だから自分のヘタさが腹立だしいのだ。
おもて、うら、おもて、うら…何百回練習したやら。レッスン終了後のすみっこでも着替える控室でも家でも庭でも駐車場でもした。なのに、ちょっと距離がのびると目がまわる。情けなくなります。
「あと、すこーし、何かのきっかけでいくらでもできるようになりますよ、がんばってー」
上はおやさしい私の先生のセリフです。それ何年か前にも伺いました。小さい子ですらクリアすると綺麗にいくらでもまわっているのに。つくづく自分の不甲斐なさが腹立だしいですね…。




