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第18話・バレエ教室でのいじめ・その2

 …続きです。


 私達は2人で楽屋に戻った。

 すると後からクラスの半分ぐらいが私達の後をついてきた。これには驚いたが他の人達もこのクラスをしきろうとするAさんに反感をもっていたのがはっきりとわかった。Aさんはやりすぎたのだ。

 自主稽古もいいことだが揃ってないとかみっともない、という言葉は先生なら許せるが1生徒が言うセリフではない。

 入ってきた人たちはみな無言で私の顔を見た。時間にしては短いが私が何を言うか待っている。私は言った。

「せっかく安くはないお金で発表会に出るのだし、いい思い出になるとそれが一番いいよね」

 みんなはうんうんとうなづいて、あとは好きな椅子に座って思い思いに化粧直しをしたりおしゃべりしたり何か食べたり荷物の整理をしたりした。

 私がAさんを責めるのは簡単だったが楽しい1日になるはずの発表会の雰囲気を壊したくなかった。せっかくの半年以上もがんばって練習してきた発表会が、楽しみにしてきたこの本番の大事な1日が台無しになる。だから楽しい1日になるはずなのにAさんの悪口なんか絶対に言いたくなかった。

 そういえば彼女はその前の発表会の時もヘアアクセに「こうしたらどう?」と言いだし先生が最初おっしゃっていたのと微妙に変えた。私にも前に出過ぎてるからもう少し後ろにつけたら? とかいって余計なことを言った。

 Aさんは完璧主義でしかも自分のいうとおりに人を動かしたい性格だったのだろう。そんなに悪い性格でもなかったが新人の子を私いびられているんです、と思わせる言動や、先生がやるならともかくただの生徒が仕切る行為はやるべきではなかったのだ。

 私は鈍感で全然気付かなかったが、皆でしゃばりで余計なことをいうAさんを「ちょっとお…」と思っていたのだろう。


 ややあってAさんが自分と親しい友達と連れだって楽屋に帰ってきた。結局彼女がやりたがった自主稽古は人数が少なすぎてできなかったようだ。ちなみに楽屋は同じ部屋。(その他大勢は当然大部屋です。個室もらえるのは先生や先生がお呼びしたゲストだけです)

 Aさんは自分に同調してきた残っていた友人と一緒だった。そして部屋に入ると私を黙って見つめて何か言いたそうにした。が私は無視した。何も言わなかった。なごやかな楽屋にまた緊張が走るがそれは一瞬のことだ。Aさんもバカじゃない。彼女も何も言わないことに決めたようだ。

 お互い何も言わないことにしたことでよかったのだ。


 結論を言うと結局自主練習をする間もなく本番をしたが、いままでにない良い出来栄えだったことを言っておこう。誰も失敗しなかった。振付を間違えもしなかった。音楽と振りのずれも皆無。

 別の演目に出る人たちや振付をした当の先生から拍手とおほめの言葉をいただいたぐらいだ。



 Aさんにいびられたと私にうったえた子は結局この発表会を機会にそのクラスをやめた。私にはきちんとあいさつして別の教室に行くことに決めたと告げた。

 かように女同士っていうのは難しい。Aさんがヘンだとかいうのは簡単だが平たく言うとAさんはただの1生徒だった、それとクラスをまとめる人望というかカリスマ性みたいなものがなかったということと、生徒みんなが大人で自分の給料をやりくりして楽しむために発表会に参加しますという意識を強くもっていたということがあったからあれですんだのだ。

 あのクラスが週に1回のレッスンではなく、毎日レッスンのある本格的なアドバンスクラスで毎日顔をあわせるクラスだったらまた違う展開になっていたかもしれない。


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 ただチャコットやティップネスなどのオープンレッスンなどのお教室でも、いつも来ている様な人がしたり顔であとから来たくせに「ここは私のいつもいるスペースなの」 といってどかせたのを見たこともある。まるっきり新人でバーのどこにいたらいいのか分からない人に対して人差し指で黙って「ここ」とトントンとしてバーにつかせているのを見たこともある。どういう上手な人かと思ってひそかに見ていたら全然! 鎌足でバッセするくせによくもまあ、先生みたいな指示ができたもんだとあきれたこともある。

 人気のある先生が指導するオープンクラスには生徒の方も良く知っていて押し寄せる。生徒数が多すぎていきおい先生の目の届かないところがそうなっていくのかもしれない。私がみかけた現場某チャコットも横にえらく長いし、すみっこの方だった。

 本当に上手な人はバーのどこにいても目立つ。私はそういう人を見つけるのが早い方だと自負して注目してお手本にもするので(鏡があるので別にそっちの方向を向かなくとも見えます。)言えますが、「本当に上手な人」は人に指示したりしない。自分が何のためにここにいるのかよくわかっている。黙って黙々とレッスンに励みます。無言で。それが当たり前です。

 たとえオープンといえども仕切りたがる人は「新人」の区別しすぎ。他人を気にしすぎ。

 たとえバーにつく場所がわからなくともレッスンがはじめると自然とわかってくるし、先生が慣れていないひとを見てそこでしてくださいと言ってくれるものだ。順番だって最初はわからなくとも覚えていくものだ。なんで先生に頼まれてもいないくせに、スタッフでもないくせにしきりたがるのだろうか? そういう人は例外なくそこそこは踊れるが単なる人間の底の浅さが見える。黙ってじっと見ている私は顔には出さないがひそかに軽蔑している。


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 実は…私が時折顔を出すところも今そういう人が1人いて嫌いなんだ。先日は私のレオタードについて注意を受けた。

「それ、バレエ用のレオタードなの? おかしいですよ」

 バレエには向かないレオタードだというのだ。(シルビアのものでしたが)

「ちょっとあんた私の先生ですか? それとも先生に頼まれてわざわざ言いにきたんですか?」

「いえ…違いますけどね…」

とあっちの方向へ言ったが「バレエに向いた服装があるでしょ」の捨てセリフつき。

 そこのクラスはオープンで、レオタード等バレエ用品に指定はないところだ。そこは「先生が上手」なのでその後もレッスンには行っているが、そいつにはあいさつだけは仕方なくするが無視している。

 自分が10言いたいところを10も20も言ってよいはずがない。特に日本ではそうだろう。直截でさばさばしているから大好きだというひともあろうが、やっぱり限度っていうものがある。こういう手合いは無視するのが一番。そして「自分のために」レッスンをするのだ。1歩1歩前進するために。


(でももっと苦手なのが陰口大好きな人達。彼女達は必ず人とつるむ。大嫌いな人種なのでこの大事な私の人生にできるだけかかわらないようにしている。ただしバレエ関係ではプロは知らないがこういう手合いはアマでは少ない。だって大人バレエレッスンっていうのは大胆な言い方を許していただけるならある意味自己満足、もしくは個人競技的な趣味だからだ)




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