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第17話・バレエ教室でのいじめ・その1

 バレエ教室のいじめ。

 私が見聞きした話しをかこう。これは②の独身貴族時代の話しで昔の話しだし、今そのお教室はなくなっているので、書いてみよう。


 発表会で群舞で踊ることになりました。総勢20人ぐらい。そのお教室のそのクラスの全員が出る。1つの出し物を一生懸命に覚えて踊ることになったわけです。

 それは大人からのクラスでした。子供は1人もいない。そして出演者20人ぐらいのうち3分の1ぐらいが私のような子供からやっていた人で残りは大人からはじめた人たち。

 別に本格的にしていたわけでもないし、それに週1回のクラスだったのでわきあいあい和やかムードです。かけもちで私達の踊りにも出るけど、ソロにも出るような人はみんな週2,3回~毎日レッスンやっています。週1のレッスンだけではなかなか上達しないしね。

 私はこのクラスで特に親しい友人はいなかった。べったりで私達友達~とか言うタイプではないのですが、帰り道が途中まで一緒ということで、ある年下の子とよくしゃべったりしていました。その子はそのクラスの中で一番の新参者でしかもバレエがはじめて。だけど先生からお誘いを受けて喜んで発表会に出ると決めたわけです。

 バレエは小さい頃からあこがれていたという子だったのでそりゃ熱心に受講していました。だけどはじめたばかりで身体が硬いのは仕方がないです。子供大人に限らずバレエを始めたばかりの子はみんな一緒。手足が硬く動きがぎこちない。当然です。


 さて早くも発表会の当日になりました。

 早めに楽屋に入って身体を慣らした後ゲネプロをします。1回してから楽屋に戻る廊下でその子が思いつめた様子で私に訴えます。どうしたのか、と思って聞いてみると「Aさんが…私がいるせいでこの演目が乱れてしまう。揃わないからもっと熱心に練習するように」 と言う。しかもさっきも言われたばかりだという。舞台メークした目に涙がにじんでいる。

「Aさんがそんなことをいうの…?こんな本番間際になって??」

「いえ、ずっと前からです。でも今日もさっきも言われたの…私がんばっているのに、私これ以上上手に踊れません…しく…しく…」

 Aさんは子供からやっていた人でその点は私と一緒です。でもはっきりいってソロとか踊れるレベルではない。だけど大人からはじめた人が多いこのクラスでは中心となって最初の踊りの冒頭で「さあ踊りましょ」のマイムをしたりします。先生とは個人的に親しいのか家に遊びに行ったりしているとはちらと聞いていました。だけどそんな指導がましいことをする人だとは思いませんでした。

 よく聞けば最初からその子のことが気に入らない(注:Aさんの言い分は聞いてない。その子の受け止め様です)みたいでまわりの人がいないというか誰も聞いていないときにそういう新人いびり? をしていたらしい。

 私は誰とも親しくしていなかったのでAさんとも個人的にしゃべったりしたこともない。だけどAさんはこのクラスのムードメーカーみたいな面はあるな、と思ってはいたが揃ってないから練習しないととかいうアドバイスはそりゃ先生の仕事じゃないか? なぜAさんが彼女にそんなことを言うのか?

 彼女が帰り途がたまたま一緒と言うだけの私に訴えたのは、当のAさんが私に発表会の伝言があるとき等遠慮がちにものをいったりするせいもあるかと思う。私の方が少し年長であることと、レッスンのときは仕事のためぎりぎりで遅く来て終われば会話にも加わらずさっさと帰る私が煙たかったのかもしれない。


 発表会の本番用の綺麗なお衣装をつけたまま、私達は廊下のすみのソファに腰かける。私は彼女に「発表会は良い思い出を作るために出るものでしょ。自分が楽しいから踊るんでしょ、だから泣くのはやめましょうよ。自分が一生懸命踊ればいいだけのことだし、Aさんのために踊るんじゃないでしょうが」 などとなぐさめたわけです。

 そして気をとりなおした彼女と連れだって指定された楽屋に戻るとき小部屋が並んでいる前に少々大きめの踊り場というほどのことでもないがスペースがある。そこへ私達がでるクラスのみんなが集まっていた。

「?」とおもっていたらAさんが私達に向かって探したいたのよ、とかいう。そしてAさんは言った。

「あの、まだ揃ってないしこのままではみっともない発表会になってしまうから場当たりは終わったけどまだ時間あるし自主的にみんなでここで稽古しませんか?」という。見ればかけもちでソロに出るような子にも声をかけたらしくみんなで揃っている。Aさんの視線は私の横にいる彼女を見ている。彼女はそっと私の影に身をよせた。Aさんが怖いのだ。

 私はAさんにはっきり言った。

「ゲネプロは終わったしあとは本番だけ。今から稽古したければ、やりたい人だけがやれば? 私はこの子と楽屋に戻るから」

 Aさんの顔色がメークをしていてもはっきりと変わった。Aさんはみんな集まってくれているし私達も当然一緒に稽古に加わると思い込んでいたのだ。Aさんの返答を聞かずにさっさと私達は楽屋に戻った。


                               …続く…



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