第16話・産後バレエその2
食事中の人は遠慮してほしいためにいったん区切らせてもらいました。
それでは、さっきの続きに入ります。
③の産後バレエ真っ最中の私ですが、身体の変化にすごく悩みました。産後太りのぶよんとした体型の変化よりも切実な悩みです。
それは「尿漏れ」
実はお産のトラブルが少々ありまして、その後遺症で尿漏れがおきたんです。それと腹筋が皆無になりました。尿漏れと腹筋は当然つながりがあります。
ここでいう尿漏れとはおねしょとか尿失禁ではなく、くしゃみをした瞬間や笑った瞬間、言葉を出した瞬間等に自分の意思に関係なくぴゅっとおしっこがでてしまうのです。
この「あっ今膀胱からおしっこが出てしまった!生暖かいおしっこがパンツを濡らした! 」と思うわけです。尿意もなにもないのに、いきなりおしっこが出てしまう。いい気持ちなんか全然ない。階段を下りた拍子にも出る。立ちあがった拍子に出る。車から下りたとたんにどっとでる。出る。出る。
それが「ザ・尿漏れ」
乳飲み子をかかえて悩みました。手術もしないと行けないのだろうか? 検診のときに医師に相談しても時間がかかるけど治ると思うとの頼りない返答だった。
加えて腹筋。普通の生活でたとえばソファにすわりますよね。立ちあがろうとします。でも身体がソファに沈んだまま立ちあがることができない。彼に引っ張ってもらってやっと立ち上がれる。車からも一人で降りれなくとくずれるようにへたっと車からころげおちるわけです。一度ベビーを抱っこしたまま椅子から下に落ちてしまった。腰をうたなくて本当によかった。あの時は危なかった。
産前産後はバレエを休んでいたし少しでも腹筋を回復させたくてベビーが寝ているうちにストレッチをしようとするわけです。軽くプリエをする。まあできる。
さてグランプリエ。
えっ、できない…?
グランプリエで身体を沈ませるとそのままグランプリエのまますっと立ち上がれない。それがわかったときの恐怖といったら、私は元の身体に戻れない、バレエが踊れない…。
それでも毎日少しずつしました。バレエストレッチを。そして折見て昼間ベビー連れでも(レッスン場にベビーを連れて置く)OKのところ。
ベビー連れの件は先生に直訴したらあっけなくOKがでた。あとはまわりの人たちに説明、幸い寛容な人たちばかりでうれしかった。(レッスン中は私の場合は誰にも預かってもらえなかったので)
そうやって少しずつバレエを再開。もちろん尿漏れパッドをしっかりとつけて。
でもバーをやっている時点ですぐに疲れてべったりと座ってしまう。足を何気なくひょいと挙げた拍子にピュ!
心の中でうめき声をあげつつそれでもがんばりました。
前に書いたように大人から再開したバレエの先生はいずれも良い先生で、「あちゃ~」と思われたことも一杯あるに違いないけれどほんのちょっぴりの良いところを(多分苦労して)探してほめてくれるわけです。ほめてくれるったって、レオタードの色とか足の甲の運びとかどうでもいいことですが…来週もがんばろう、と思わせてくださった先生に感謝です。
話しは元に戻りますが薄紙をはがすように治るっていうのはこういうことかと思いました。週に1回のバレエレッスンとお風呂上がりのバレエストレッチ。これで治ったんです.あの時の頼りない医師のいうとおりだった。時間はかかっても治ったんです。尿取りパッドは今ではもう不要です。
今でも妊娠前のことを思えば完全には治っちゃいません。でもおかげさまでずいぶんとマシにはなりました。足も独身時代のようにはいきませんが少しはあがります。
多少の身体の不調もバレエレッスンを受けることによってずいぶんと楽になるのです。怪我もねん挫もしましたがそれでも細々と続けていけるのはよほど好きなんだろう。我ながらあきれてしまいますが、それでもバレエっていいなあって思います。