表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/129

106

「……そうか……マキュベリー家の執事は魔の森で死んでいたか……」


「ええ。第二騎士団団長のホークスより報告が上がってきました」


王太子の執務室。

向かい合わせに座ったザイル、サキレス、カイロスの三人の間に、重い空気が落ちる。


「カイロス、遺体は持ち帰ったのか?」


「いえ。本日は別任務があり、そのままにして帰還しています。明日、回収に向かう予定です」


「……明日になれば魔物に食われ、残らぬ可能性もあるが……暗くなった森は危険度が増す。判断としては妥当だ」


難しい顔のザイルに、サキレスが別の書類をめくりながら口を開いた。


「殿下、調査部の塔からの報告ですが……例の赤い花の無効化に成功したようです」


「おお!それは朗報だ。さすがはベールだな」


「……ただ、無効化した花はあの独特の匂いも消えるようで、そこから先の調整を……。まだ完全に完成したとはいえないようですが」


「そうか。しかしベールなら……いや、ヘーゼル嬢がいれば、それも時間の問題だろう」


「そう願いたいですね。こちらでは、薬が完成した際に備え、引き続き花の所在を追っています」


「ああ、頼む、サキレス」


サキレスが軽く頷くと、今度はカイロスが地図筒を手に前へ乗り出した。


「では殿下、護衛の件です。こちらの地図をご確認ください」


テーブルいっぱいに広げられたそれを見て、ザイルが目を細める。


「……これは、マイル村の地図か?」


「はい。殿下の『花祭り作戦』を遂行するための動線を組みました。殿下には村中の道を隅々まで覚えていただく必要があります」


「……隅々まで……。カイロス、それは嫌がらせか?」


「何をおっしゃいます殿下。花祭りを舞台に選んだのは殿下でしょう。殿下が一度でも動きを誤れば、市民が巻き込まれますよ」


「……カイロス、お前……まだ怒っているのか?」


カイロスの物言いに、ザイルが困ったように問いかける。


「怒ってなどいませんよ。王族を守る騎士団長が知らぬ場所で、殿下が勝手におとりになっていた……まあ、よくある話ですからね」


「……それは悪かった、と謝ったはずだろう……」


ザイルは明らかに不機嫌なカイロスを見て、サキレスへ『助けてくれ』と視線で訴える。

サキレスは肩をすくめた。


「カイロス、もうそのくらいにしておけ。殿下だって良かれと思ってされたのだ。……まあ、王太子として褒められた判断ではないがな」


「サキレス……もういい。私だって分かっている。無茶だし、軽率だった。ただ……王族として、これ以上この件に周りを巻き込みたくなかったんだ」


サキレスはため息を吐く。


「だとしても、行動に移す前に、ひと言相談してほしかったですよ……」


「……それも反省している」


カイロスもあきらめたようにため息をつく。


「では、ひとまず反省はそこまでにしていただいて。……殿下、よろしいですか?作戦の説明を始めます」


「わかった。隅々まで覚えるとしよう……」


「では、当日の配備ですが……」


そこから、三人の作戦会議は夜がふけるまで続いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ