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公平の神は公平に抽選で聖騎士を選ぶ  作者: 園日暮


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エピローグ


 俺は船の上にいる。

 傍にはナナイもいる。

 もちろんポンドも一緒だ。


 しばらく離れていたせいか、帰ってきたら抱くと泣かれるようになってしまった。

 もう二度と離れないからな。


 「いや、無理だろ」

 船にはフェイも乗っている。



 ギルドに帰還後、フェイの処罰が決まった。

 俺の「審判ジャッジ」の結果、「公平神ジャッジ」は無罪の判決を下した。

 ギルド内部には不満を持つ人もいたが、神の法を優先しフェイの罪はギルド禁止区域への侵入のみとなった。


 処罰は暗黒大陸からの追放。

 もう距離的に禁止区域に侵入できないように遠くへやってしまおう、ということだ。

 それでパーティ揃って、内地へと戻る船旅としゃれこんでいる。


 俺は()()()()、フランはパーティから抜け、着いてこなくても良かったわけだが、


 「ん?」


 後ろから袖を引かれて振り向くフェイ。


 「おお……。なんだ、フラン?」


 フランは黙って海面を指さす。


 「おお、なんか変な魚が飛んでるな~。トビウオか……、トビウオかよ」


 トビウオの魔物に襲われた時のことでも思い出したのか、嫌な顔をするフェイ。

 水面を飛び跳ねている魚は、凶悪な人相で、口には痛そうな牙を生やしている。


 「違う。あれはシンカイハゲタカタコヒトデ」

 「……何の何の何だって?」

 「口がある深海魚にそっくりで、頭部がハゲタカそっくり。魚みたいに見えるけど実際にはタコヒトデの一種」

 「……誰が名前つけてやがるんだ」

 「口に生えてるように見える歯は棘。下部分が尻尾まで開きになってて、そこで獲物を捕食する」

 「そんな危なそうなもんが、気軽に海面を飛んでんじゃねえよ。襲ってこないだろうな」

 「魔物じゃないけど『扉』の影響で生態が変化した種。このへん大陸に近いから」

 「……で、襲ってくんのかよ」

 「……さあ?」


 なんだかんだフェイも変わってきてるってことかな。いいことだ。


 なんたらヒトデに襲われたり、船の揺れで過労したりしないように、ポンドにはLv8の神技カンナギ不公平アンフェア」を使ってある。ポンドに掛かる危害はすべて俺が受けるようにしている。


 「いやあ、一日中船の上って変な感じですね」


 ついでにジャスの奴も船に乗っている。

 元々内地への亡命を希望していたから、ようやくという感じだ。 

 神器もなくなったことだし、この機会に、ついでに暗黒大陸からは遠ざけておいた方がいいとの考えだろうか。


 俺はLv11の神技「公平な評定」を使う。

 いちいち神に祈ることなく、頭の中で念じるだけで簡単に使える。


 その「公平な評定」で人を見ると、神の手による一つ上の次元からの能力評定が見れる。

 それで自分を見ると……


 レイク・イット

 腕力 24(+10) 器用 25(+10) 知力 22(+10) 敏捷 26(+10) 生命 45(+25) 精神 64(+45)

 パラディン(ジャッジ)Lv5 ファイターLv4 レンジャーLv3 ギャンブラーLv2 神威Lv15


 すごい異物・・がある。

 俺はため息をつきながら、ギルドでの会話を思い出していた。 




 「解放神の使徒ジャスの内地への移住を許可することにした。ついては、聖騎士レイク。君が使徒ジャスの監視にあたるようにね」

 ギルド長は相変らず、ちっこい。


 …………現実逃避をしてる場合じゃない。


 「え~……オホン。ギルド長。私ごときでは、その任に耐えうるとは思えませんが」


 「我々の肉体は神技を使うほどに変化する」


 ギルド長は俺の意見を黙殺して喋り始めた。


 「神技の使用は、我々の体を通して、神が奇跡を行使する行いだ。神の御力が肉体を通るたび、肉体はその影響を受ける。その結果肉体は変容する」


 初耳だな。


 「これはギルドでも高位に就いている人間にしか伝えられていない」


 自分は全然高位でも何でもないのですが。

 嫌な予感しかしない。


 「『神器』はその変化を著しく強化する。その果てにあるのは、限りなく神に近い存在への変容。従属神化だ。

 まあ、よほど高レベルの神技を使い続けていない限り、目に見えるほどの変化はおきない」


 それでギルド長の肉体年齢と、実際の年齢に大きな違いがあるのか。

 グリムの肉体なんか、20代にしか見えなかったけど、実年齢273才だったしな。

 神技によって変容した肉体って訳か。


 ……あ! 

 グリムの肉体を見た時は、公平神ジャッジが降臨してたから見るだけでそんなことまで共有できてたけど、今もギルド長の年齢が分かってしまうってことは……。


 「聖騎士レイク。君の体は神の降臨により、著しい変容が行われた。任務に支障はない。そうだね」


 ギルド長は幼い相貌に、有無を言わせぬ圧を纏わせて否定の言葉を言わせなかった。


 「聖騎士レイクは表向き正騎士級だが、今後は従属神級として扱い、適切な任務に当たってもらう」



 だいたい、この「神威Lv15」ってなんだよ。

 Lv15までの神技が使える? ちょっと疑問に思ったら、頭に答えが浮かんできた。それも分かるのか。Lvってなんだ。どんな神技が使えるんだ。

 「天廷大法典 Lv15」とかあるし。なんだこれ?

 ああ、邪神の肉体と、融合したグリムと、その体から漏れ出していた何万年と貯められた異界のエネルギーを凝縮したやつを、潰したやつか…………あれ、使えるのかよ。今も。


 そりゃあな、俺の体で使うんだから、公平を期して俺の体に影響がでないようにする。それは道理だよ。

 でも、使った後もそのままなのかよ。


 これまでの神の大雑把さを考えれば、そうなるだろうな、となるけどさ。

 人の社会で生きていく上の不便さなんて、考えないんだろうな。


 人には身の丈ってものがあるし、他人にも身の丈を超えたことは求めるべきじゃない。

 でも、身の丈を逸脱した人間が社会の中にいれば、当然他の人からも相応の要求がされる。


 それが嫌なら社会と自分を切り離して生きるしかない。


 聖騎士は神の加護で、人から逸脱した人たちで、聖騎士ギルドはその人たちが社会生活を行うための組織だ。

 逆に言えば、ギルドからの要求に答えていれば、俺の社会生活を保障してくれるわけだ。


 いまさら、あの二重加護者の爺さんみたいに、人里離れて仙人みたいな生活はできない。

 娘とも離れ離れになってしまうわけにはいかない。


 神にしてみれば、人の社会なんて知ったことじゃないんだろうな。


 そう思って、俺は「公平な評定」でジャスを見た。


 ジャス・ドゥ

 腕力 54(+30) 器用 45(+30) 知力 40(+27) 敏捷 46(+27) 生命 59(+37) 精神 58(+37)

 ダークプリースト(エア)Lv15(12+4) ファイターLv10 レンジャーLv6 シャーマンLv9 始原Lv1 終焉 v1 ■▲≠§Ж‰※★Lv1



 やばいことになってる。いろいろと。

 12+4でLvが15になってるのは、15が限界値だからだが、……他が……なんというか。

 「公平な評定」で認識できない技能まであるし。


 ……そういえば、あそこで解放神エアがジャスに降りた理由は何だったんだろうか。

 それまで避けていた公平神ジャッジとの接触を押してまで、解放神エアにはあの時、あの場で、ジャスに降りる理由があったんだろうな。

 それもおそらく……「世界を救うため」に。


 その結果がこれ……か。



 かつて誓った。


 どうして俺に公平の神に加護が宿ったのだろう。

 俺が見いだせた公平は、人にはせめて公平な機会が欲しい。特に子供には。

 なら、それを為す。そのための加護。それが加護の消失阻止にもなるだろう。



 まあ、それは幻想だったわけだが。


 解放神はジャスに何をさせたがっているのか。ジャスをどうするつもりなのか。


 生まれた時より強力すぎる加護を授かり、ずっとそれに振り回されて生きてきたジャス。


 任務とはいえ、気が進まないし、自信もないが。

 こいつに公平な機会を選べるようにしてやるのもいいかもしれない。


 幻想だったのは、「そのための加護」の部分だけだしな。

 後は俺が見つけた理由だ。



 こうなったら、すべてのものに公平なる機会をもたらすために頑張るか。

 

 さて、頑張るために奴らの様子でも見ておくか……と。



 「なんかおっさんが真面目な顔で考え込んでるな」

 「きっとポンドちゃんのことでも心配しているのでしょう」

 「……。おっさんが真面目な顔で考え込んでる時って……エッチなこと考えてる時なんだよな」

 「そうなの!?」

 「おお、ケイジのおっさんがそうだった」

 「ああ、君の養父の? う~ん、でも……」

 「そういえば、レイクパパさんは、いつも髪の毛から話します」

 「急だな、フラン。何の話だ」

 「人のことを語る時は、『あの青髪の』とか。『あの長髪の茶髪』とか」

 「……言われてみれば、そうだったか」

 「髪フェチなんでしょうか」

 「そんな……別に罪を犯したわけでも……例え、髪にこだわりのある異常な妄想をしていたとしても、別に誰に迷惑をかけた訳じゃないんだから……実害はないよ」

 「ナナイママさんに報告しましょう」

 「……フラン。お前もフード被っといたほうがいいんじゃねえの」


 うん、まあ、頑張ろう。

 奴らが公平な機会を掴めるようになって、一人前になるまではな。

 ()()()()はな!





 後に、内地ポセイダン大陸に、光と闇の聖騎士親子の異名を轟かす、レイク・イットとその養子ジャス・ドゥ・イット。


 少なくともその異名が確立されるその日までは、彼――レイクに、「()()()()」は、やってこないことは確かである。



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