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大人の魅力ムンムンのギャルが転校してきた



 ……我ながら、中々に面白い夢を見た気がする。

 長年疑問に抱いていた『ギャルのパンティ』問題について、具体的にどのように解決するかを検証するいい機会だった。

 惜しむらくは最後まで結果を見れなかったことと、実際にギャルのパンティを手にすることができなかった点だ。

 アレだけリアルな感覚のある夢なのだから、きっと(ぬく)もりや匂い、味などが体験できていたであろうに……


 まあそれはともかくとして、やはり神でも曖昧な定義の願いを叶えるのは難しいということがわかった。

 実際は夢なので俺の推論が大きく反映されている可能性は否めないが、普通に考えて理想通りの願いを叶えるのは一言二言では到底足りない。


 そもそもな話、当時と今とではギャルの意味合いがかなり異なっているのだ。

 今は白ギャルと呼ばれる美白のギャルも存在しているし、少し昔にはコギャルやヤマンバギャルと呼ばれる強烈なメイクのギャルも存在した。

 それに同じ英語の「GAL」でも、イギリスとアメリカとではニュアンスが全く異なっていたりする。


 つまり、ギャルと一口に言っても人により認識が違ってくるため、願いを正確に叶えてもらうのであればイメージをしっかりと伝える必要があるのだ。

 また、当然ながらパンティにも種類は豊富にあるため、どういう見た目、色、質感が好みが伝える必要があるだろう。


 要するにこの手のフワッとした内容の願いは一言で要求するのは不可能で、別途調整をしたうえで初めて成立することになるのだ。

 それができなかった昨夜の願いは、残念ながら不成立と言ってもいいだろう。

 まあ所詮は夢なので、仮に成立したとしても理想通りに叶うとは思えないが。


 そんなことを考えながら歩いていると、目の前を歩いていた男子生徒が急に立ち止まったせいでぶつかってしまう。



「お、わりぃ……ってなんだ陰キャかよ」



 振り返った男子生徒は、クラスで一番のイケメンと定評のある陽キャ、伊藤誠だった。



「げぇ~、キモオタじゃん!」



 そしてそれに抱き着いているのは、同じくクラス1可愛いと評判の白ギャル、西園寺ヒカルだ。

 どうやらコイツが急に抱き着いたせいで、伊藤誠は立ち止まることになったらしい。全く、迷惑な話だ。



「ギャーッ! キモオタがコッチ見た!」


「おいおい、畑山~、いくらヒカルが可愛いからって、白昼堂々視姦するなよな~」


「キモ! キモ!」



 二人は好き放題言っているが、俺は相手にせず無視して通り過ぎる。

 何か言い返してやりたい気がしないでもないが、こんな奴らに時間を割くのはマジで時間の無駄なので無視するに限る。



「おいおい、無視かよ」


「陰険~」


「ま、きっとヒカルのことを視姦した記憶を忘れないうちに抜きたいんだろ」


「キモ~! 変態じゃん!」


「キモオタは妄想の中でしか女とやれないからな。俺と違って」


「も、もぅ~! 誠ったら!」



 後ろから白昼堂々と下ネタ満載の会話が聞こえてくる。

 俺からすれば、お前らの方がキモイと言ってやりたい。言わないけどな。

 ……ストレスだ。





 始業までの時間を、伊藤が刺殺されたり首を切られたりする暗い妄想をしながら過ごす。

 我ながら陰険だと思うが、妄想にとどめているのだから伊藤には感謝してもらいたいものだ。



「あ~、いきなりだが転校生を紹介する」



 始業のチャイムが鳴り、教室に入ってきた担任がいきなりそんなことを言い出す。

 あまりに唐突なので妙な違和感をあったが、次の瞬間そんな違和感は吹き飛んだ。



「チョリ~ッス! あーしの名前は闇崎 龍子(あんざき りゅーこ)っス~、よろぴこ~」



 担任に続いて入ってきたのは、黒髪褐色肌の女子生徒だった。

 それも、スタイル抜群の美人……

 ほとんどの男子生徒が、彼女の大きく開かれた胸元に視線を釘付けにされている。



「あれ? なんか反応薄い? もしかしてあーし、なんか失敗した?」



 転校生――闇崎竜子は、自分の大分怪しい自己紹介が原因でクラスが静まり返ったと思っているようだが、実際はもっと複合的な理由によるものだろう。

 恐らくだが、大胆に着崩した上着から覗く豊満な乳房、ミニスカートから生えるスラリとした健康的な美脚とルーズソックス、そして何よりそのとてつもない美貌を前にして、男女問わず言葉を失ってしまったのだと思われる。


 しかも闇崎は、どう見てもギャルのような出で立ちでありながら、間違いなく大人の色香を放っていた。

 肩まで伸ばされた黒髪は両脇に垂らされているものの、後ろ髪はまとめてあり僅かにうなじを覗かせている。

 さらに表情は少し気だるげで左目の下には泣きぼくろがあり、まるで人妻や未亡人のような色気を感じさせるのだ。

 そのギャップは凄まじく、まるで大人の女性が制服を無理やり着させられたような、強い背徳感が(にじ)み出ていた。



「ん~、まあいいかぁ……っと、龍ちんはっけ~ん! センセ、あーし龍ちんの後ろの席がいいっス~」


「龍ちん? ……ああ、畑山か。いいぞ。畑山! 空き教室から闇崎の席を取ってきてやれ!」


「な、なにぃぃぃっ!?」



 まだ状況に頭が付いて行っていないというのに、何故か俺が席を用意することになってしまった。

 いや、そもそも何故俺の後ろなんかに? いやいや、それ以前に龍ちんという呼び名はなんだ!?

 まさか、俺と闇崎は面識があるのか!? 昨今流行りの子どもの頃男だと思っていた友達が、実は女だったパターンだったり……?

 いや、俺にはそもそも幼馴染などいないし……



「あ、あーしも手伝う! 龍ちん、一緒にいこ?」



 俺が混乱して固まっている隙に近づいてきた闇崎が、腕を掴んで引っ張り上げてくる。



「うおぉぉぉっ!?」



 そしてそのまま強引に教室の外に連れ出されてしまった。



「お、おい! 放せ! 事情を説明しろ!」


「う~ん、メンドイから、とりあえず空き教室いこ? そこで色々したげるからさ♪」



 い、色々?

 俺は、何をされてしまうのだ……?




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― 新着の感想 ―
[一言]  願いからすると、こっちのコは付属品で、本体は……。  おまけのほうが魅力的!
[一言] Nice boat.( ˘ω˘ )
[一言] 陽キャ奴最後包丁で刺されそう
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