表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みんなの愛らぶyou(仮)  作者: 三愛 紫月
98/100

嫌われたね[栞の視点]

「こんなに素敵なお店なら、通いたいぐらいだよ」


坂月(さきづき)さんは、笑っていた。


華がワインを持ってきた。


写真の話をすると、坂月(さきづき)さんの周りの雰囲気はもっと変わる。


キラキラして、まるでダイヤモンドみたいだ。


化け物がついていないから、華は人見知りしてるのではないだろうか?


魚料理を持ってきて、華がいなくなった瞬間に坂月(さきづき)さんは、ため息をついた。


「はぁー。嫌われてしまったみたいだね」


「大丈夫だと思いますけど」


「そうかな…。まさか、美咲華君があんなに可愛らしい人だと思わなかったから、正直ドキドキしてる。」


そう言って、坂月(さきづき)さんはワインを飲んだ。


「藤堂さんも美人だから、その従兄弟はどんな人だろうと思っていたけれど…。あんなに可愛いと思わなかった。」


タクシーの中で、従兄弟だと話した。


「華を好きになったのですか?」


「一目惚れなんて、本当にあるんだね。口から心臓が飛び出そうな程、ドキドキしてる。」


魚料理を食べ終わった坂月(さきづき)さんは、胸を撫でながら言っていた。


「こちら、お口直しにソルベをどうぞ」


何故か、椚ちゃんがやってきた。


「ありがとうございます。」


「お下げいたします。」


椚ちゃんは、お皿を下げて行く。


「やはり、嫌われたみたいだね。」


坂月(さきづき)さんは、ソルベを食べている。


「お料理も雰囲気も、素晴らしいから通わせてもらいますよ。藤堂さん」


「はい、お願いします。」


あんなに頬を赤く染めていたのに、嫌ってるはずない。


「お待たせしました。」


椚ちゃんが、お肉料理を持ってきた。


「少し、失礼します。先に、食べて下さい。」


「はい、どうぞ」


坂月(さきづき)さんは、そう言って笑った。


キッチンに行くと、華が詩音の手伝いをしていた。


「華」


「なに、しおりん」


坂月(さきづき)さんの事、嫌い?」


「初めて会った人に嫌いとかないから」


「誰、それ?」


「一緒にきてる人。るか君の友達なんだ。」


「るか君の?」


詩音は、驚いた顔をしながら僕を見つめた。


「華になんか関係あるのか?」


「それは、別に関係ないよ。写真家さんだから、写真撮ってもらったらと思って」


華に合う人だから連れてきたなんて言えなかった。


「もう、戻るよ」


「栞ちゃん、俺も行くよ。一緒に」


椚ちゃんが、戻ってきた。


「詩音」


「華、火見ててね」


詩音は、僕についてくる。


「何で?」


「俺に任せて」


そう言って詩音は、テーブルにやってくる。


「初めまして、美咲詩音(みさきしおん)です。」


詩音の事を見て坂月(さきづき)さんは、お肉を食べる手を止めた。


「失礼しました。坂月伊吹(さきづきいぶき)です。」


名刺を渡した。


「写真家さんなんですね。どんな写真を撮られてるのですか?」


「はい、こちらになります。」


小さなブックレットを差し出す。


「これは、素敵な写真ですね」


「ありがとうございます。」


「これは、もらってもいいでしょうか?」


「はい、どうぞ。大丈夫です。」


「では、ごゆっくり」


詩音は、頭を下げてキッチンに戻った。


「すみません。」


「いえ、お肉料理も素晴らしいですね」


「お口に合ってなによりです。」


「藤堂さん、私はまたこのお店にきますよ。藤堂さんのお友達として」


そう言って、坂月(さきづき)さんはワインを飲んだ。


僕も、お肉料理を食べる。


どうにか、坂月(さきづき)さんと華がうまくいく方法はないのだろうか?


「藤堂さん、どうかされましたか?」


「いえ」


美咲華(みさきはな)さんのお兄さんですか?美咲詩音(みさきしおん)さんは?」


「はい、そうです。」


「やはり、美形な家系ですね。」


「あっ、あの、写真を撮って欲しい人がいるのですが…。」


「構いませんよ。お時間が合う時でしたら」


「また、連絡させていただきますね」


「はい、大丈夫です。」


坂月(さきづき)さんは、ニコッと微笑んだ。


その笑顔から、本当に優しいのがわかる。


まるで、(るい)みたいだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ