表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みんなの愛らぶyou(仮)  作者: 三愛 紫月
9/100

星生きててくれよ[時雨の視点]

俺は、(ひかる)からの連絡に涙が止まらなかった。


(るい)君は、女の人と結婚するのか?


そして、迷う事なく(ひかる)を捨てるのか?


最悪じゃねーかよ。


(えが)いた未来は、破滅の方へゴロゴロ転がってるじゃないか


俺は、(ひかる)と電話を切って氷雨にすぐかけた。


「兄さん、どうしたの?」


「氷雨、今話したい。一人になったら連絡くれ。」


「待って、部屋に行くから」


氷雨は、部屋にあがってく。


「大丈夫だよ。」


「星を助けてやって欲しい」


涙がとまらない。


「僕が、助けられる?」


「やれなくても、やってくれ。(ひかる)が、壊れてしまうんだよ。生きてたくないって言うんだよ」


うまく言葉を繋げずに、泣いてしまう。


「兄さん、何を言ってるの?」


(るい)君の記憶がなくなって、出会いを探し始めた。結婚相手が見つかるまで、(ひかる)が月君にお金を貸すらしい。見つかったら、捨てられるって…。俺に殺してって」


「そんな何で、(ひかる)が悪いことをしたわけじゃないでしょ?」


氷雨が、泣いてるのを感じていた。


「氷雨、今の(ひかる)に必要なのは愛されてるって感じれる気持ちだよ。だから、明日星(ひかる)に会ってきてくれないか?」


「何時?」


「時間は、しらないけど。氷雨から連絡してやってくれよ。場所、俺が用意しとくか?」


「いい。僕が、(ひかる)を連れてくから」


「利用したくないって言ってたけど、利用されていいんだろ?氷雨は…。」


「いいに決まってるよ。僕は、(ひかる)の役に立ちたいんだ。これから先もずっと…。」


「よろしく頼んだぞ」


「わかってる」


そう言って、電話を切った。


氷河の時も思ったけど、神様なんていないな。


いるなら、記憶をとっとと戻せよ。


(ひかる)を幸せにしてやってくれよ。


ガンッと机を叩いた。


悲しくて、悲しくて、堪らなかった。


「もしもし」


「どうした?」


(ひかる)から、連絡あって」


「そんな、酷い事あるの」


「だろ?氷雨に会いに行ってくれって頼んだ。」


「矢吹、大丈夫かな?俺、栞さんに連絡しておくよ」


「よろしく頼むよ。」


「わかってるよ。時雨、俺たちで矢吹の命は守ろうな」


「わかってる」


「じゃあ」


「ああ」


まやたくと電話を切った。


今は、(ひかる)に出来ることをしてやりたい。


それが、正解か間違いかなんてわからない。


ただ、今の(ひかる)は愛を失くした。


(るい)君が、(ひかる)に与えていたあの穏やかな愛を失くした。


どこにいっても、あの愛は手に入らないのがわかる。


誰に頼んだって、貰えやしないのもわかる。


俺は、今、氷河(ひゅうが)の愛を受け取っているから(ひかる)の気持ちが痛い程にわかるんだ。


だから、あの愛のかわりなんてない。


でも、氷雨に愛されてるって思うだけで少しは違うだろ?


(ひかる)、少しは心が救われるだろ?


(るい)君の記憶を一日でも早く戻せよ。


(ひかる)をまた愛してやってくれよ。


俺に見せてくれた二人の愛をまた見せてくれよ。


たいした願いも叶えてくれない神様なんて、いてもいなくても一緒だよ。


ブー、ブー


「もしもし」


「あ」


「氷河か?」


「う」


氷河は、さっき言葉を話せた。


「し、し、」


「いいよ、無理すんな。」


俺は、氷河に寝る前にお話をするのが日課だった。


「今日のお話は、何がいいかな?」


あの日から、大量に絵本や小説を買った。


氷河が、言葉を話せるように眠る前にお話をする。


「これかな?」


「な、な、いて、てる?」


「えっ?」


「な、な、な、いてる?」


「気づいたの?」


「う」


「そうか…氷河は、すごいな。俺の事ちゃんと見て愛してくれてる。でもさ、今、俺この愛を失くしたら生きていけないよ。わかるんだよ。それぐらい愛されてるから」


氷河が鼻をすする音がする。


「泣いてんのか?愛してるよ、氷河。」


何も話さなくたって、氷河が俺を愛してるのがわかるんだよ。


眼差しや行動や鼓動や体温や、電話の息づかいや…。


だから、大丈夫だよ。氷河。


「じゃあ、今日は俺が氷河を愛してる話しでもしようか」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ