電話[安西の視点]
ブー、ブー、ブー
「ううーん」
頭が割れそうに痛い。
「はい」
その電話に飛び起きた。
「安西さん、帰りますね」
星さんと麻美さんが、玄関を出る所だった。
「あの、月城病院に連れていってもらえませんか?すぐ、着替えます」
「はい」
僕は、すぐに用意をした。
「何かありました?」
「晴海さんが、入院したみたいで」
「急いで行きましょう」
麻美さんと星さんが、病院に送ってくれた。
ロータリーで、車を停める。
「月!!僕もおります」
橘が、待っていた。
「それでは、また。私も母の病院に行くので」
麻美さんは、そう言って僕と星さんを降ろしてくれた。
「ありがとう」
車から降りて、橘の元に行った。
「ついてきて」
橘に言われてついていく。
「安西、頭ボサボサだしカッターシャツボタンずれてる。服はヨレヨレだし。まあ、そのまま会う方が晴海君も喜ぶよ。」
橘にそう言われて、慌てていたのに気づいた。
「ごめん、僕も気づかなかった。」
「いいんじゃないか?」
橘は、そう言って笑ってくれた。
病室の前にきた。
コンコン
「はい」
そう言って、華君が出てきた。
「一人で、行って」
橘は、そう言って俺の背中を叩いた。
「わかった」
僕は、扉を開けて病室にはいった。
「晴海君…」
「安西さん」
僕の姿を見て、驚いている。
「ごめん、情けないね。こんな姿できてしまった」
「ボタンかけ違えてる。髪の毛も…。服、パリッとしてないよ」
晴海君が笑ってくれた。
「起きたままきたから」
「じゃあ、これがいるね」
晴海君は、左手で水を渡してくれた。
「ありがとう」
僕は、水を飲んだ。
「きて、直してあげる」
晴海君は、そう言って左手でカッターシャツのボタンを頑張ってはずしてくれる。
「痛かったね」
僕は、晴海さんのおでこを撫でた。
「安西さん、触らないで」
「ごめん。バイ菌はいったら駄目だよね」
「そうじゃない」
晴海君は、カッターシャツのボタンを止めてくれる
「いいよ、自分でやる」
晴美さんが、僕に触れられたくない気がして胸が抉れそうに痛くて押し潰される。
「ごめん。僕に触られるの嫌だよね。ごめん」
「嫌じゃない」
「どうしたの?」
「こんな事された人に、感じた自分が許せないんだよ。安西さんは、何も悪くない。俺が、汚いから安西さんに触れてもらえる立場じゃないから…」
「よかった」
僕は、晴海さんの手を握りしめた。
「何言ってるの?」
「よかった。僕が、触れるのが嫌だと思ったから。違うなら、よかった」
晴海さんの目から涙が流れてくる。
「僕でもそうなるか触らせてくれない?」
「安西さん」
「美矢でいい。もし、そうなるなら僕は晴海に抱かれていい。」
そう言って、僕は晴海の唇をなぞる。
「汚いから、駄目だよ」
「汚い?そう思うならそれでいい。汚くても、僕は晴海を愛してる」
僕は、晴海の手を自分の胸にもっていく。
「安西さん」
「美矢って呼んで」
晴海は、泣いてる。
「美矢、駄目だよ」
「痛かったら、やめる」
僕は、晴海のそこに触れた。
「美矢」
「僕でもなったね」
「恥ずかしい…」
「綺麗だよ、晴海。退院したら、僕を抱いて」
唇を重ねる。
晴海は、いったん僕を突き放した。
「綺麗じゃない。あいつとキスした。俺は、美矢を裏切った」
「じゃあ、またすればいいだけの事。そっちより、僕がいいって晴海に思わせるから」
僕は、晴海の唇をふさいだ。
優しく唇を唇で噛む。
ゆっくり舌をいれる…。
晴海は、優しく僕の胸を触る。
久々の快感がやってきた。
唇を離した。
「触って」
僕は、晴海の手を自分のズボンに入れた。
「美矢…これ」
「少し感じたみたいだね」
僕は、晴海に笑った。
「もっとしたい」
晴海は、左手でぎこちなく触れる。
「美矢……。美矢の全部に触れたいんだ。」
「晴海、治ってからにしよう。大丈夫、それからでも」
晴海は、僕から手を抜いた。
「美矢、料理を作れなくなったら生きていたくない。俺は、ギターも失った。また、料理も失ったら生きていけない。」
「先生は、治るって言ってるんだろ?」
「うん」
「大丈夫、治るから」
僕は、晴海に笑いかけた。
「同じだね。」
晴海は、手を拭いて僕の右目に触れる。
「綺麗な顔が傷だらけだ。」
僕は、晴海の顔に触れた。
「美矢を愛してる。もう、誰もいらない。だから、俺を嫌いにならないで。」
「ならないよ。僕は、晴海に救われたんだ。」
僕の手を握りしめて、キスをしてくれる。
「晴海は、綺麗だよ。汚くなんてないよ」
泣きながら、僕の手にキスをしてる。
「生きているだけで、嬉しいよ」
晴海は、左目で僕を見てる。
僕は、晴海の唇を触る。
温もりを感じるだけで、幸せで、幸せで、涙が止まらない。




