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みんなの愛らぶyou(仮)  作者: 三愛 紫月
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帰宅と電話[月の視点]

家に帰った、服を着替えて部屋に寝転がった。


もう少し、寝るかな



ブー、ブー


「はい」


「流星だけど、元気?」


「あー。元気だよ」


「戻ってきたんだね、(るい)


「そうだね」


(るい)美咲晴海(みさきはるみ)さんが宇宙(そら)兄さんの所で入院してる。」


「えっ?何で?」


俺は、起き上がった。


「詳しくは、俺も知らないけど。(るい)に話してくれって言われただけだから…。宇宙(そら)兄さんの事だけど、いつか許してやってくれないかな?」


「何で?」


宇宙(そら)兄さんは、宇宙(そら)兄さんなりに、(るい)や俺を愛してくれていたんだ。いつか、許してやって」


「考えとく」


「305号室だって。じゃあ」


流星は、そう言って電話を切った。


俺は、服を着替えて家をでた。


駅まで行って、タクシーに乗った。


「月城病院まで、お願いします」


「はい」


月城病院に連れてきてもらった。


305号室か…。


個室だ。


コンコン


「はい」


「晴海君」


俺は、病室に入った。


(るい)君…来てくれたんだね」


右目にガーゼを当てられている。


「晴海君、何があったの?」


晴海君は、引き出しを開けた。


「預かっていてくれない?俺を刺したナイフ」


左手で、俺に渡した。


「わかった。預かるよ」


「料理、また出来るようにお兄さんがしてくれるって。よかったよ。料理作れなかったら死ぬのと同じだから」


晴海君は、そう言って笑った。


両唇の端が切れてる。


「ただ、右目の視力が落ちるかも知れないって話なんだ。今朝言われてね。まあ、それでも見えるならいいかな」


「晴海君。安西と二度と会わないつもりなんだな」


俺の言葉に、晴海君は黙った。


「誰にやられたかなんて聞くつもりはないよ。でも、安西に会えない理由は聞かせてくれない?」


俺から、華君が入ってきたのが見えた。


しっーって、華君が指を口にあてた。


「彼に、(さわ)られて反応した身体が気持ち悪い。安西さんに、()れられたくない。」


そう言って、泣いてる。


「晴海君、大丈夫だよ。安西は、そんな事気にしないよ」


俺は、晴海君の手を握りしめた。


「それでも、許せないんだ。俺は、自分を…。」


「そうなったって事は、愛していた人だったんだね。何もおかしい事はないよ」


(るい)君」


俺は、晴海君を抱き締めた。


「安西さんに、本当は会いたい。安西さんに()れて忘れたい。昨日の事…。全部。取り除いて欲しい。でも、俺が彼を傷つけたから…。だから、全部悪いのは俺で。こうされたのも、仕方なくて」


「そんな事ないよ。悪くなんかない。晴海君は、ちゃんと彼を愛していたんだよ。ただ、安西への気持ちと違っただけだ。それで、こんな風にするのはおかしいよ。彼の愛は歪んでる。晴海君をこんなに傷つけて…。晴海君、その愛に自分の気持ちを奪われたらダメだよ。安西に会いなよ。(きたな)いって思ってるならちゃんと伝えなよ。いきなり、さよならされたら安西は生きていけなくなるよ。」


晴海君は、俺に左手で必死にしがみついた。


「会いたい、会いたい、安西さんに会いたい。渚のかわりなんかじゃない。初めて、全部奪って欲しいと思った。安西さんに()れられたい。俺を抱き締めて欲しい」


「わかった。晴海君…。俺が連れてきてあげるから」


「でも、怖い。やっぱり、会えない」


「大丈夫、安西はそんな奴じゃない。俺が、保証する」


晴海君は、離れた俺を見つめて頷いた。


おでこのアザが痛々しい。


俺は、立ち上がった。


「少し待っていて」


晴海君は、頷いた。


病室の扉の前で華君が泣いていた。


一緒にでた。


(るい)君、来てくれてありがとう」


「ううん、流星兄さんに連絡をもらったから」


「晴海は、ずっと安西さんに連絡しないでって言い続けるから…。理由がわからなくて、聞けてよかった。」


「安西を好きなのに、そうなって(きたな)いって思ってしまったんだと思う。今の安西には晴海君が必要だから…。もう二度と会わなくなるのは違う気がしたんだ。」


「晴海にも、安西さんが必要だよ」


「わかってる。ちょっと安西に連絡してくるよ」


俺は、そう言って病院の電話をかけれるBOXに入った。


痛々しい晴海君の姿が、頭の中を流れた。




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