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みんなの愛らぶyou(仮)  作者: 三愛 紫月
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一番は…[晴海の視点]

看板をたたもうとした時だった。


「晴海」


その声に、驚いた。


「一番は、あいつしかなれないっていったよな?」


「何の話?」


腕を引っ張れた。


ガンガン


階段からバランスを崩した。


「いっ」


立ち上がろうとしたら、激痛が走った。


「晴海、立てよ」


無理やり立たされた。


ドカッ


「晴海、こんな顔してんなよ。俺にも見せた事ないよな?」


「それ、いつ撮ったの?」


「うるせー。」


グサッ…


「いっ…」


右肩を刺された。


「立て」


「痛くて無理だよ」


「やかましい、口答えするな」


腕を引っ張られて、引きずられる。


「わかった、立つから」


立ち上がっては、崩れ落ちる。


捻挫したかな?


「あんな気持ち悪いやつのどこがいいんだ。」


「彼を悪く言わないで」


「はあ?」


胸ぐらを掴まれて、引きずりあげられた。


ズキン…


足の痛みによろけた瞬間に、右目を殴られた。


ズキン…


痛みで、目が開けられない。


立ち上がっては、崩れ落ちて、引きずられて、小さな公園にやってきた。


「晴海、ボイスレコーダー聞いてる時にしか浮かべない顔を向けてんじゃねーぞ。」


ドカッ


目を、また殴られた。


「お前の目に、こいつしか映らないなら目を抉ってやろうか?」


「やめて下さい。嫌だ。」


刃物を目に向けられて、目を瞑った。


「ふざけんな」


ドカッ


「可哀相だから、右目だけにしてやる。抵抗したら、さっきのやつ殺すからな」


ドカッ


ズキンズキンと目に激痛がはしる。


「晴海の一番は、ボイスレコーダーのやつじゃなかったのかよ」


ドカッ


「誰もなれないって言ってただろうが」


ドカッ


「どうして、俺達を見たの?」


「どうして?俺は、営業だから、あの辺りはよく通ってる。俺の晴海への気持ち何だと思っていたんだ。」


髪の毛を引っ張られて、ベンチに何度も頭をぶつけられた。


ガン…ガン…ガン…頭を響く。


そうだ、俺…


昔から、この人に力じゃ敵わないのを忘れてた。


だから、怖いんだ。


俺より一回り体格の違う彼。


「あいつに見せた、お前の顔何なんだよ。晴海」


「やめて下さい。それだけは、したくないです。お願いします。」


顔が腫れ上がってるのを感じる。


右手に感覚がなく、足も痛い。


「何でだ?俺は、どんなお前でも愛せるぞ」


彼は、俺の目の前で自分の掌を切った。


「何してるの?やめて」


「黙れ」


その血で、俺に()れる。


俺の血と彼の血を混ぜるように刺れた部分に手を当てられた。


「晴海、俺のものにもう一度なれよ。ボイスレコーダー捨てて」


そう言って、自分の掌を舐めた。


俺の肩を舐めてるのが、見えるけど…。


感覚はない。



「晴海」


「それだけは、やめて」


俺は、もう安西さん以外とそんな風になりたくないんだ。


ギリギリと肩を押し付けられて、無理やりキスをされた。


必死で、首を横にふる。


それでも、しっかりと唇を塞がれて思うように動けない。


涙が、右目に染みるのを感じる。


涙があたったのか、彼は唇を離した。


「晴海、何で泣いてんだよ。あいつが、いいからか?なあ」


下半身に手をいれてこられそうになる。


「やめて下さい。それだけは、やめて下さい。お願いします。」


(さわ)られたくない。


安西さん以外に(さわ)られたくない。


渚…。


助けて


助けて


お願い


助けて


パンツの上から(さわ)られた。


「やっぱり、晴海は俺との好きだからすぐこうなってる。」


(きたな)い、(きたな)


自分が、(きたな)


吐き気がする。


「晴海ー」


華の声がした。


「逃げて、見つかると警察に連れていかれる。逃げて」


俺は、左手で彼を押した。


彼は、走って逃げた。


折り畳みナイフをポケットにしまった。


もう、安西さんに会えない。


あいつに感じた身体を、俺は、許せない


安西さんに愛されたかった。


渚、俺…。


幸せになりたかったよ。



月城病院で、(るい)君のお兄さんが手当てしてくれてる。


「一週間、入院だね」


「そうですか」


「また、料理を作れるようになるから大丈夫だよ」


「はい」


「大丈夫?」


右目を消毒しながら、お兄さんに言われた。


「何でですか?」


「ずっと、泣いてるから、痛いかな?」


「大丈夫です。」


「そうなら、よかった」


お兄さんは、笑ってくれた。


「あの、(るい)君には言わないで下さい。俺が、入院してる事」


お兄さんは、血を拭いてくれてる


「言って欲しいように聞こえるよ」


あっ…。


俺は、涙を拭った。


「何か、(るい)に話したいの?」


俺は、俯いた。


「わかりません。」


「気が向いたら、連絡してあげるよ。俺達は、犬猿の中だから。連れていってもらうなら、星城病院がよかったね」


お兄さんは、そう言って俺に微笑んだ。


「安村さん、車椅子持ってきて」


「はい」


看護婦さんがやってきた。


「手続きお願いします。」


「はい」


「じゃあね、晴海さん」


そう言ってお兄さんは、笑った。




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