マッチングアプリ[月の視点]
栞さんの話しに、正直ひいていた。
女同士、男同士、何か別の世界のようで正直不気味さも感じていた。
だったら、この人もそうなのか?
シェアハウスなんて言ってるけど、実際は俺が好きだとか?
あるわけないよな。
家についた。
「こっちが、月の部屋だから」
「ありがとう、じゃあ」
「うん、ゆっくり休んで」
俺は、ベッドにゴロンと寝転んだ。
スマホを取り出す。
マッチングアプリって話を、さっきの電車の人がしていた。
[出会いアプリ]検索
へー。
結構あるね。
やってみよう。
登録するぐらい、いいよな。
俺は、マッチングアプリに登録した。
スマホをベッドに置いて、クローゼットを見る。
こういう服が、好みか…
ってか、お金とかどうすんだ。
財布には、三万しかなかった。
デートになったら、どうすんだ。
通帳を見つけたけど、お金おろすための暗証番号しらないな俺。
そうだ、星さんに借りよう。
思い出したら、返そう。
俺は、星さんの部屋をノックした。
「はい」
「ちょっといいかな?」
「あ、待って」
涙を拭いながら、現れた。
「何かあった?」
「あっ、ううん。ちょっとね」
「彼女に怒られたんじゃない?俺と住んでるから」
「それは、ないよ」
星さんは、リビングに歩いていく。
「コーヒー飲む?」
「うん」
俺は、キッチンについていく。
カップを取った星さんに聞いた。
「まさか、男が好きって事はないよね?」
パリン…
「大丈夫?」
「ああ、うん。彼女いるよ。そんな嫌な顔しなくても。僕は、ちゃんと女の子が好きだから」
星さんは、割れたグラスを拾い集めてる。
「そんな顔してた。やっぱり…。栞さんにも、言われた。正直、不気味さを感じたから」
「イタッ…。」
「大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫」
男なのに女みたいな顔してる。
ガラスの破片を小さなゴミ箱にいれた。
「手当てするよ。」
「たいした事ないから」
「救急箱は?」
「それ」
星さんが、指した場所から救急箱をとってきた。
手当てをしてあげた。
「ありがとう」
「ううん」
「コーヒーいれるよ」
星さんは、目を潤ませながらコーヒーをいれていた。
「はい、これ」
「ありがとう」
「で、話って?」
俺は、コーヒーを飲んで話す。
「マッチングアプリを始めたんだけど、デートするにも財布に三万しかなくて、暗証番号もわからないから、お金貸してほしいんだ。デートになったら」
「わかった。」
星さんは、コーヒーカップを見つめながら言った。
「大丈夫?」
「お腹痛くなってきちゃって」
涙が、カップにポタポタ落ちてる。
「コーヒー、弱い体質だったんじゃない?俺が、それも飲むよ」
「大丈夫。飲めるから」
星さんは、泣きながらコーヒーを飲んでる。
「来週から、栞さんの職場連れていってくれる?」
「もちろんだよ」
「まだ、お腹痛いの?」
「うん、結構ね」
星さんは、泣いてる。
「彼女とも何かあったんだよね?」
「まあ、そんなとこ」
「酷い事、言われたの?」
「そうだね。」
「そうなんだね。」
「うん」
俺は、星さんを見つめていた。
「もう、飲み終わるから部屋に行くよ。いるものあったら、冷蔵庫から何でも使って。ちょっと、お腹痛すぎて、今日は無理だから休む」
星さんは、コーヒーカップをキッチンに置くと足早に部屋に戻っていった。
結婚とか迫られてるのかもな
俺もカップをキッチンに置いて、部屋に戻る。
マッチングアプリから、連絡がきていた。
かわいい子だな。
(私、まどろっこしいやり取りが嫌いなタイプです。明日、会えませんか?)
そんなタイプもいるんだな。
(いいよ。俺も、まどろっこしいの嫌いだから)
(明日の14時に、星城病院前でどうでしょうか?看護婦してるもので)
(了解)
俺は、返事を返した。
看護婦さん、アリだな。
アリ。
とりあえず、朝、星さんにお金借りよう。




