表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みんなの愛らぶyou(仮)  作者: 三愛 紫月
6/100

思い出してあげてよ[栞の視点]

(ひかる)さんが、みんなの元へ話しにいった。


あの日、すぐにでも旅行を中止にして帰宅すべきだった。


そしたら、(るい)は…。


「栞さん、俺に彼女とかいましたか?」


「しらない」


「聞いてなかったですか?それとも、栞さんが好きだったとか?」


「近づくな。僕には、彼女がいる。」


「それって、女性が好きなのですか?」


「そんな嫌そうな顔しなくても、おかしいのなんて自分でもわかってるよ。」


「嫌そうな顔してますか、俺。なんか、そんな人に会った事なかったんで。なんか」


「いいから、言い訳は」


あの日、麻美との事を打ち明けた月は、そんな顔をしなかったよ。


「へー。栞の彼女?」


「はい、初めまして」


「いい子だね。栞を幸せにしてやってよ。」


「はい、頑張ります。」


月は、ニコニコ笑ってくれた。


「ひかないのか?」


「ひくわけないだろ?好きや嫌いに、男も女もないよ。栞が、幸せになるのが一番だよ。」


「ありがとう」


今の(るい)は、好きじゃない。


「すみません。そんな風に顔に出してるとは思いませんでした。」


「謝らないでくれる。余計に傷つく」


「すみません。」


「それって、逆もひいちゃう?男が男を好きとかも」


「えっ?」


「やっぱり、ひくんだね。わかりやすいね。」


中身は、(るい)と何もかわらない。


月は、素直だからすぐに顔や言葉に出してしまう所がある。


それが、誰かを傷つける。


「すみません。そんなつもりじゃなくて」


「つもりじゃなくても、僕以外には、そんな顔しない方がいいよ」


「どういう意味ですか?」


「そのままの意味だよ。誰かを傷つけるんだよ。そんな顔したら」


「わかりました。気を付けます」


「後さ、頑張って思い出してあげてよ。色々と」


「それは、勿論。頑張ってみます。」


「そう。ならいいんだ」


(るい)(ひかる)さんを傷つけるのだけはどうかやめてほしい。


「後、(るい)が働いてるのは僕とだから。来週から、(ひかる)さんに場所連れてきてもらってくれる?」


「わかりました。」


そう言って、月は笑った。


「じゃあ、よろしくね」


そう言った後、(ひかる)さんが戻ってきて(るい)は帰っていった。


「どう?月君」


「麻美、今の(るい)は酷い人間(ひと)だよ。悪気はないけど、きっとみんなを傷つける」


「そんな、あんなに優しい人だったのに…。」


「そうだね。優しくて、いいやつで大好きだった。だけど、そんな(るい)はもういない。今の(るい)は、無邪気に人を傷つける」


そう話した僕に、詩音と華と晴海と椚さんが近づいてきた。


「みんなで、飲まない?」


「うん」


「詩音、(るい)(ひかる)さんを傷つける。前みたいに(ひかる)さんがそうなったら…。そう思うと僕は、どうすればいいかわからないんだ。」


「助けを呼んでくれる(るい)君は、いないからね。」


「うん、いない。それに今の(るい)は、同姓同士の恋愛にひいてる。」


「それは、一番辛いな。」


詩音は、そう言って目を伏せた。


「だったら、月君は出会いを探すよね」


華の言葉に、頷くしかできなかった。


「そんな…。そのまま結婚だってありえるだろ?年齢的にも…」


晴海の顔は、絶望の色に染まってる。


「その時は、僕が流星さんや宇宙(そら)さんにお願いするから」


「どうやって?」


「ブライダルチェックみたいな事だよ。」


「手術も覚えてないからだね。」


「うん、そしたら別れるかもしれないだろ?」


「そうだけど…。」


「月君の容姿ならすぐに女の子が、寄ってきそうだな。」


「だから、困るんだよ」


詩音の言葉に、僕は恐ろしい気持ちを抱えていた。


(るい)が、(ひかる)さんを置いてどこかに行くなんて事。


絶対にあってはならない。


あってはならないんだよ。


「栞、泣かないで」


「麻美、ごめん」


流れ落ちる涙を止められなかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ