表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みんなの愛らぶyou(仮)  作者: 三愛 紫月
55/100

安西の母親[栞の視点]

「安西、僕がお母さんのお金を出すよ」


安西に縛られて欲しくなかった。


安西は、首を横に振る


「どうして?」


「叔母さん達が関わらなくなれば、美果(みか)君が来れなくなってしまう。」


「関係あるのか?」


「あるよ。連れて行ってあげるよ。その目で、見てみるといい」


安西は、そう言って誰かに電話をかけた。


里さんのお墓を後にした。


桶をしまって、安西は僕を見つめる。


「あの人に会えば、お金などで何も解決が出来ない事がわかるよ。僕もね、一度大金を稼げる機会があった。それで、母のお金を出そうとしたんだけどね。(みなもと)さんに見せられた姿に、僕は叔母さんの家族を頼ろうと決めたんだ。」


車に乗り込んだ。


晴海が、車を出した。


「ここを右に曲がるとすぐにつくよ。」


[星丘(ほしおか)精神病院]とデカデカと看板が立っていた。


安西と一緒に車を降りて歩く。


さっきの、美果(みか)さんが立っていた。


「今日は、調子が悪いけど大丈夫かな?」


「はい」


そう言って、病室を開けると個室だった。


「少し離れていてくれる?」


そう言われて、僕達は扉の近くに立つ。


「カーテン開けるよ、美鈴。」


そう言って、美果(みか)さんが、中のカーテンを開けた。


右目に包帯を巻かれている。


両手も、包帯を巻かれてる。


「美矢が、きたんだよ。」


お母さんは、手当たり次第に物を安西に投げつけた。


「美鈴、やめないか」


「死神、お前がまたきたのか、(けが)らわしい子、美樹と何をしていた。私は、ちゃんと見たんだぞ」


「美鈴」


美果(みか)さんが、お母さんを止める。


「やらせてやって下さい。」


そう言って、手を離すと安西に掴みかかる。


「お前なんて、産まなければよかった。お前の顔が、雅美さんに似てくるからバレたんだ。あの日、捨てて置けばバレなかったんだ。私は、義美さんを愛していたからあなたを産んだ。なのに、雅美さんに顔が似ていくなんて裏切り行為だ。美樹をたぶらかして、キスをしていただろ?お前は、それ以上もさせようとした。知ってるぞ、見ていた。私は、見ていたんだ。」


安西は、首を絞められ始めた。


「母さん、また目を抉ろうとしたのですか?」


「死神、お前のせいだ。」


ドンッと安西を押した。


「もうやめなさい。美鈴」


「義美さん、ごめんなさい。私は、義美さんを愛してるのよ。わかってるでしょ?私が、義美さんをどれだけ愛してるのか…。ねぇ?」


「わかってるよ」


何故か、安西の母親は美果(みか)さんを安西の父親だと思っているようだった。


「もう、休みなさい。」


「カーテンを閉めて、眠るわ」


「わかった。」


美果(みか)さんは、カーテンを閉めた。


看護婦さんが、現れた。


「よろしくお願いします。少し送ってきます。」


「わかりました。」


そう言って、美果(みか)さんは安西に手を差し伸べて起こした。


「少し話そうか?」


「はい」


「皆さんも、大丈夫ですか?」


「はい」


僕達を連れて、病院の外に出る。


「少し先に、公園があるのでそこで話しましょう」


そう言われて、ついていく。


ベンチしかない公園が、現れた。


自販機で、美果(みか)さんはコーヒーを人数分買って渡してくれた。


「母さんは、また目を?」


安西の言葉に、美果(みか)さんは頷いた。


「昨日、また美樹と美矢が夢に出てきたらしい。食事の箸を隠し持っていたみたいでね。目に軽く突き刺した。すぐに看護婦さんがきたから大丈夫だったみたいだよ。」


「そう」


安西は、苦しそうに目を伏せてる。


「叔父さんは、全財産持っていってしまっただろ?一昨日、連絡がきたんだけど。二度と戻るつもりは、ないって…。この町から出てるって、再婚相手が妊娠したみたいだよ。」


「そうなんだね、美果(みか)君。母さんのせいで、離婚させてしまってごめんね。ずっと、謝りたかった。」


「気にしていないよ。元々、会わなかっただけだよ。」


そう言って、美果(みか)さんは安西に笑いかけている。


美果(みか)さんは、時計を見つめてる。


「美矢、今度ゆっくり話をしよう。叔母さんの事も含めて。」


そう言って、晴海に向き合った。


「美矢の話を聞いても一緒に居てあげて欲しい。美矢をよろしくお願いします。美咲さん。」


「はい」


「美矢、叔母さんの所にもどるよ。最近、薬がきれるのが早くなってきてるから。ごめんね。また、ゆっくり話そう。晴海さんも…。」


そう言って、いなくなってしまった。


「藤堂、晴海さん、華さん、話をするよ。母親の事」


そう言って、安西は僕達を見つめながら話し始めた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ