幸せになって(時雨、氷河、まやたく)
誓いが終わると俺達三人は、星を見つめていた。
「何で、こうなるんだろうな?まやたく。」
氷河を真ん中にして、俺とまやたくは話していた。
「俺は、矢吹にずっと幸せになって欲しいんだよ。」
「そんなの俺だって同じだよ」
氷河も頷いてる。
「氷雨に会えれば、幸せになれるかな?」
「さあな。今の矢吹の中を誰が埋めてるかなんて知らないから」
「俺も知らないよ。」
結婚式パーティーが、終わった。
星と話した。
氷雨に会わないでいいと言われた。
やっぱり、星の中を月君がしめてるんじゃないのか?
氷河の車椅子を押しながら帰る。
まやたくと話しながら、歩く。
「あのまま、もどらなかったら星は壊れないかな?」
「壊れるよな。矢吹は強い人間じゃない。」
「し…し…しぐれ」
「喋ったのか?氷河」
車椅子をとめて、まやたくと氷河を見つめた。
「し、し、しぐれ、ま、ま、ま、まや。」
「喋れたのか、氷河」
俺は、氷河の頭を撫でる。
「ひ、ひ、ひかる。」
上手く言葉を話せないのをもどかしそうにして、氷河は紙とペンを取り出した。
(ひかるを支えてあげて欲しい。)
「わかってるよ」
(ひかるは、弱い所があるから)
「わかってる」
俺は、氷河の頭を撫でる。
「まやたく、星を支えてやろうな」
「わかってる。所で、氷雨君は元気?」
「ああ、元気にしてるよ。子供と嫁と元気にしてる。まあ、氷雨は星が好きだから。内心、つまらないんだろうけどな」
「そうか。氷雨君が知ったら星に走って会いに行きそうだね。」
「そうだな。氷雨は、会いに行くよ。星を忘れられないって、毎週俺に酔って言ってくる。」
氷河とまやたくが笑ってる。
「それでも、氷雨は家族をとったから。俺が、男を好きじゃなかったら変わってやれたんだけどな。そうは行かなかった。」
「仕方ないよ。そんな風にうまくいかない。」
「そうだよな」
氷河は、俺の手を掴んだ。
「星には、幸せになって欲しいな。氷河、まやたく。」
「当たり前だよ」
氷河は、頷きながら泣いていた。
「その為に、俺達、あの日行ったのにな。」
「そうだよな。時雨も氷河もその為に戦ったんだもんな。」
まやたくが、泣いてる。
「だから、俺は星に今までの分も幸せになって欲しいんだ。俺達が、奪った10年も…」
氷河も泣いて頷いていた。
「矢吹が、助けて欲しいって言ってきた時は俺達が必ず助けてやろうな」
「当たり前だ。いつだって、その準備はできてる。」
そう言って、三人で泣いた。
「帰ろうか?」
「ああ」
氷河の車椅子を押して歩く。
「時雨は、氷河との暮らしは、どうなりそう?」
「それなりだよ。辛くても悲しくても俺が氷河と過ごしたいだけだよ。」
「そうか」
「まやたくは?どうなんだ?」
「結婚ってよくわからなかったけど、こんなに楽しいんだなって思ってるよ。」
駅について、エレベーターに乗る。
「明日香には、会ったか?」
「ううん。美子が行っても、会ってはくれないんだって」
「そうか」
「時雨は、会いに行った?」
「いや、あいつに会いに行こうと考えるだけで足が震えるよ」
ホームで、電車を待っている。
「酷い事されていたから、無理もないよ」
「明日香は、マジで化け物だったな。あいつは、父親のせいであんな風になっただろ?」
「そうだね」
「仕方ないことだろうけど。みんなの人生を駄目にした。俺も加担していたから、何も言えない。それでも、あの日普通に話し合ってくれるって信じてたんだよな。」
電車が、やってきた。
まやたくと一緒に、氷河を乗せる。
「そうだよな。」
「明日香にとって、俺達の人生なんてどうでもいいものだったんだよ。」
「時雨。いつから、明日香に支配されてたんだ?」
「月君が、星を月の星公園で助けてからだよ。どれだけ、明日香に玩具にされてたと思う?女なんか見たくもなくなるぐらいの事をやられてた。」
「し、し、しぐれ」
「ああ、ごめん。話しちゃ駄目だったな。まやたく、次で降りるよ」
「うん」
次の駅で、まやたくは氷河を降ろすのを手伝ってくれた。
「また、飲もうよ。俺、時雨も氷河も大好きだから」
「ああ、飲もう」
まやたくと別れた。
「氷河、ごめんな。嫌な事思い出させてな。」
氷河は、首を横にふった。
「星を支えてやろうな」
俺は、そう言って氷河と帰る。
笑っていろよ、星。




