友達からで、いいですよ[晴海の視点]
俺は、安西さんから離れた。
「友達から、始めませんか?」
そう言って、俺は笑った。
「一週間だけ、時間をくれないか?ちゃんと晴海さんの気持ちに答えを持ってくるから」
「友達からで、いいですよ。」
「それは、出来ない。だから、ちゃんと答えを持ってくる。」
安西さんは、そう言って俺の頬に触れてくれた。
「わかりました。一週間待ちます。」
「よかった」
笑ってくれる。
白髪と白い目…。
左側は、愛する人に捧げた。
「この傷も、愛する人にされたのですか?」
るか君が、ネックレスをちぎった時にはだけた胸から傷が見えていた。
「これは、僕が傷つけてしまった人がつけた傷だよ。一番好きな人にしてあげれなかった。僕の中から、一番を追い出せなかった。」
「なぜ?追い出さなくちゃいけないんですか?」
俺は、安西さんの鎖骨の傷に触れた。
「それは、相手を傷つけるから。」
「無理なら仕方ないじゃないですか…。それも含めて、安西さんですよね?」
「晴海さんも、愛する人を亡くしたんですよね?」
「はい、愛した彼は、俺の手からするすると落ちていきました。」
「目の前で、亡くなったのですか?」
「はい。目の前で、落ちていきました。」
涙を、安西さんが拭ってくれる。
「僕は、二人の人間を死なせました。晴海さんに、愛される資格なんてありません。」
「資格は、俺が決める事ですよね?そんなに自分を責めないで下さい。」
安西さんは、泣けないようだった。
苦しそうに眉を寄せている。
「高校の時の僕は、酷い人間だったのだと思う。男女共に、僕に抱かれたいと望む人がやってきた。僕は、一度だけ願いを叶えてあけだよ。それが、いい事に思っていたから…。でも、その行為は僕が一生一緒にいたいと望んだ相手の命を奪ったんだ。自業自得だ。僕が、その女の子と一緒にいればよかったんだ。そしたら、彼は今も生きていたんだよ。だから僕は、晴海さんが思うような素敵な人間ではないんだよ。」
安西さんは、俺の目を見ないようにしていた。
「これ以上、安西さんは何を捧げるのですか?目に、髪に、心に、傷に…。安西さんが愛した人は、そんなに酷い人ですか?俺は、許してくれてると思いますよ。」
そう言って、安西さんの白髪の頭を撫でた。
「晴海さん、ありがとう。そんなに優しい言葉をかけてくれて」
「いえ。ご飯食べましょう。俺の兄弟のご飯は最高に美味しいんですよ」
そう言って、安西さんに笑った。
立ち上がって、栞ちゃん、るか君、星君、華の所に行った。
安西さんもついてきた。
「安西、さっきはごめんな」
「いいんだ。お陰で、向き合う覚悟ができたから」
そう言って、安西さんはるか君に笑った。
「これ、晴海が作って煮込んでるビーフシチュー温めてきたよ。」
華は、安西さんにビーフシチューを渡していた。
安西さんは、いただきますと言って、ビーフシチューを食べた。
「美味しい。5年ぶりだ。こんなに美味しい食事は…」
「安西、最後の彼を亡くしてから味覚なくしてたの?」
「俺は、生きるためにずっと食ってた。だけだよ。藤堂」
「それなら、これからは美味しく食べれるね。安西」
栞ちゃんは、安西さんに笑っていた。
「まだ、返事もらえてないの?」
「うん、そうだよ」
「うまくいけばいいね」
華が笑って言ってる。
「そう祈るしかないよ」
俺は、笑って言った。
何をどうしたって、亡くなった人には勝てない。
俺自身、それを一番わかってる。
それでも、誰かをまた愛したくなるのは本能ってやつなのかな?
しばらくして、麻美ちゃんがやってきた。
親睦会は、あっという間に終わり。
るか君は、星君を引っ張って急いで帰ってしまった。
「優君、飲んでないから送ってくれるって」
そう言って、兄貴と椚さんに残ったメンバーは送ってもらった。
渚、俺と一緒に幸せになろうな。




