見てると苛々する[るかの視点]
安西の焦れったさは、俺を苛々させた。
ネックレスを引きちぎった俺は、星に怒られていた。
「あんなやり方は、駄目だよ。わかる?」
「はい」
「大切なものが、なくなったらどうするの?弁償なんか出来ないんだよ。わかる?」
「ごめん。」
「るかは、すぐに感情をぶつけるけどうまくない人だっているんだよ。ちゃんとわかってる?」
「わかってる」
星に怒られると、自分のやった事が酷くいけない事なのを理解する。
「ちゃんと反省しなくちゃ。二人にうまくいって欲しい気持ちは、僕だってわかる。晴海君に幸せになって欲しいから…。だけど、展開が早すぎるのわかった?」
「わかった」
星に怒られて、胸が締め付けられた。
「謝ってくるよ」
「邪魔しないの」
キッチンから料理を運んできてる。
「食べてよ。二人とも」
華君に言われた。
「麻美は、もう少ししたらつくって」
栞が、もどってきた。
「るか、何かしたの?」
俺の顔を見て、栞が言った。
星が、さっきの出来事を栞に話した。
「それは、駄目だよ。反省だね」
「やっぱり、安西に謝ってくるよ」
「駄目だよ。いい雰囲気になってるんだから、ご飯食べよう」
そう言って、星と栞に連れていかれた。
うまくいったなら、よかったよ。
「ちょっと強引だったんじゃない?」
華君が、俺をジッーと見ていた。
「俺は、何もしてないよ」
「したよ、大切なもの引きちぎった。」
「星、それは…。」
「焦れったかったんだね。安西さん」
「そうなんだよ。ウジウジしてたからつい。」
星は、パスタを渡してきた。
「るかみたいに、そんな風にみんな出来ないんだよ。わかる?」
「わかるよ。」
「僕にだって、強引だったでしょ?誰にでも通用するもんじゃないんだよ。」
「わかってるよ。安西には、ちゃんと謝るよ」
華君は、ワインを飲んでる。
「でも、それぐらい強引にされなきゃ動けなかったんじゃないのかな?安西さんは、きっと凝り固まっていたんだよ」
「そうだな。僕も安西は、そうだと思うよ。だけど、ネックレスはやりすぎだね」
「栞まで、言うなよ。」
美咲さんと椚さんもやってきた。
「ピザ作ったよ。二人は?」
「向こうにいる」
「詩音、悲しい顔してるの?」
「だって、一日でそんな事さ」
美咲さんは、ピザを食べてる。
「10分もあれば、人間なんて恋に落ちるだろ?」
俺の言葉に、華君が拍手をした。
「なんだよ」
「たまには、いいこと言うね。」
「確かに、そうだね。好きになるのに時間なんて関係ないよ。」
そう言って、華君と栞は笑ってる。
「晴海が、幸せならいいんだよ。だけどね」
「安西の見た目が問題か?お爺ちゃんみたいだもんな。」
「いや、それは気にしてないよ」
「また、傷つけられて欲しくないんでしょ?」
「安西は、傷つけないと思うよ」
俺は、ピザを食べながら言った。
「確かに、安西は人を傷つけないと思う。だから、よけいに傷ついちゃう人が現れてしまうんだろうね…。きっと」
「安西は、優しすぎるんだろ」
ワインを飲む。
「でも、詩音。安西は、晴海を傷つけないと思うんだ。僕が言うのもおかしいけど、信じてあげて欲しいんだ。」
「そうなったら、ちゃんと言ってくれるなら信じてみてもいいよ」
美咲さんは、そう言ってまたキッチンに椚さんと行ってしまった。
「兄として、嫌だったのかな。」
華君が、そう言って笑ってる。
「華君だけ、一人じゃないの?」
「るか、失礼だよ」
「大丈夫だよ。僕は、愛する人を待ってるから」
「いつ、もどってくるんだ?」
「さあね、もどってきてくれるかはわからないよ。ただ、海の華の住所は送ったよ。でも、詩音が怒るかもね」
そう言って、笑いながらワインを飲んでる。
「華君も、うまくいくといいな」
俺の言葉に、華君は頷いていた。
また、後で安西にはちゃんと謝っておかなきゃな…




